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四日目、「いや、そんなのありませんから」

はじめに言っておこう。


更新遅れてすんません

ぶっ倒れてから翌日。

僕は見知っているようで見知らぬ部屋で寝ていた。


「……?」


壁に掛かってある物、部屋のレイアウト、ベッドの位置にやわらかさ。間違いなくここは僕の部屋。

……なのに。


「……何で妙に広いんだ?」


失礼ながら僕の部屋はこんなに広くはない。せいぜいが畳10帖くらいだ。それなのに今いる部屋は畳が20帖ほど。……わぁ、二倍もひろいや。


「あ、おきた?」

「うわぁ!?」


隣からカーテン越しに現れたのは会計、紅則先輩。寝ぼけているのか目が閉じているし、寝癖もつきまくっていてなんだかもう取り返しがつかない髪型になっている。


「せ、先輩。その髪……」

「? ああ、これ?」


紅則先輩が髪にふれる。すると、


ことん


「わぁぁぁぁあぁぁぁぁあああああ!?」


髪が! 先輩の髪が落ちた!!

驚いているといきなり部屋のドアが開いて、『ドッキリカメラ大☆成☆功!!』とかかれた看板を持ちながら桜田会長と桧木副会長と月島さんがやってきた。きょうも可愛いよ月島さん。


「ドッキリカメラ!!」

「だいせいこーう!!」

「おはよう、紀夫君! 今日もいい天気だよ!」


と、さわやかににこやかに話しかけてきてくれる月島さん。ああ、ホントに彼女は――


※――――


「はっ!?」


気づけば僕は食堂にいた。


「こ、ここは!?」

「食堂だよ」

「も、紅則先輩!?」


紅則先輩は隣で卵かけご飯をもりもりと食べていた。醤油の瓶が近くにない。代わりになんか酢がおかれているのは気のせいだと思いたい。


「まったく……朝っぱらから三人組をみて気絶って……君、心臓でも悪いの?」

「あ、いや、その……あはは……」


笑ってごまかすしかない。好きな人のにこやかな笑顔を見ただけでノックアウトになっただなんて……!


「まぁ、好きな子の笑顔を見てノックアウトになった、なんて笑い話にもならないけどね。あっはっは」

「ものすごくばれてるっ!?」


驚いて紅則先輩の顔をまじまじと見つめる。


「そりゃ君、誰でも分かると思うよ? たぶん分かってないのは当の本人くらいかな?」


そう言ってあごで後ろを見やらせる先輩。見るとそこには月島さんが優雅に、華麗に――――なんだかよく分からない黒い物を食べていた。


「…………!?」

「いやぁ、僕らも最初は驚いたよ? ウメさんの手料理を拒否反応なしでもりもり食べてるんだもん」

「いや……あの……あれ……」

「本人曰く、『なかなかイケル』だそうだよ。食べてみる?」


僕は無言で首を縦に振る。冗談じゃない、あんな物を食べたら確実に死に至る!! あっ、でもなんで月島さんは食べれているんだろう……もしかして毒じゃない?


「紅則先輩、ひょっとしてあれ」

「言っておくけどダークマターを食べたら三日三晩全身の激痛と高熱にさいなまれるよ。その間ずっと点滴」

「やめておきます」


食べようだなんて馬鹿な考えは起こさない方が身のためだ。うん。


「ところで、僕の朝ご飯は……?」

「カウンターに行けば注文できるから」


そう言われてカウンターに行く。するとなるほど。カウンターには食券販売機(お金取るんだ……)トンカツ定食や焼き肉定食といった定番の物から卵かけご飯や納豆ご飯、果てはカブトムシ(幼虫)とまである。カブトムシ?


「カブトムシ(幼虫)って……食べられるのか?」

(※ゲテモノですが食べられる国もあります。By作者)


何はともあれ、僕は朝ご飯はパン派の人間。ここはおとなしく食パンと牛乳を……。


「おっはよー! 紀夫君! 朝食はとってるかーい!?」


と会長が騒がしく乱入、と同時に食券カウンターで勢いよくボタンをぽちっ。


がしゃっ(カブトムシ(幼虫))。


「「……………………」」


無言。ちなみにゼロ円。


「じゃっ」

「じゃっ、じゃないですよ会長!? これどーするんですか!!」

「案外普通に食べられるかもしれないよ?」

「食べられませんよつーか食べたくない!!」

「偏食は嫌われるよ?」

「異食もいやですよ!」


とりあえずカブトムシ(幼虫)はゴミ……。


「っ!?」


な、なんだ!? この刺すような痛い視線は! まるで四方八方から弓矢を構えられているみたいな……!


「き、気にせずにそのまま……」


捨てようとゴミ箱へ食券をのばす。

するとどこからともなく矢が!!


「比喩表現じゃなかったの!?」

「とにかく、あきらめて食べなよ」

「ううぅ……」


そのまま配膳カウンターに行く。

なんか妙にちっちゃい子が働いていたけど、気にしない。


もらったお盆には白い陶磁器の皿。そして……。


「…………(うねうねと動く幼虫を見つめる)」


カブトムシの、幼虫…………っ!!


「やっぱ無理ぃぃぃいいいいい!! こんなん食えない!!」

「おまっ、あきらめるなよ!! もっと頑張れよ!!」

「修○先生みたくいってもダメですから! こんなん食えませんから!!」


などと会長とぎゃーぎゃー大騒ぎしていたら、


「あっ、カブトムシの幼虫ー。いっただっきまーす」


月島さんがやってきてかぷっ。


「むっしゃむっしゃむっしゃむっしゃ……」


頭以外を残して体を全部ひとかじり。それをおいしそうに食べている月島さんは可愛い、んだけど……。


「いかんせん、食ってる物がものだからなぁ……」


翌日、学生食堂のメニューにカブトムシ(幼虫)を加えようという案が出た。

試しにやってみたところ、誰も頼まなかったので以来、廃止された。

桜ヶ丘の生徒はその話が出てきたとき、すかさずこう言うようにしているらしい。


「いや、そんなのありませんから」


……僕、選ばれていなかったらこれを言うことになっていたのかな……。

抄華「抄華と!」

春樹「春樹の!」

抄華・春樹『サクコー放送室~!! イェイ!!』

抄華「というわけで皆さんこんにちわ、青嵐のガンナー、桧木抄華です!!」

春樹「知らないところでわら人形を打ち込まれていた紅則春樹です!」

抄華「ちょっ、大丈夫ですか!? 紅則くん、そんなことをされて!?」

春樹「大丈夫、ちょっとタンスの角に小指ぶつけたり、ドアに指を挟んだりしただけだから」

抄華「なんていうか、地味に痛い攻撃ばっかりですね……」

春樹「実害がないからそれでいい!!」

抄華「って、実害出てるじゃないですか!!」

春樹「さて、次回の新章っ!! サクコーはっ」

抄華「愛、それは禁断の一文字!!」

春樹「恋、それは人生の醍醐味!!」

抄華「もてない男にとってはむかつきもしないそんな感じの今日この頃!! 五日目、「うおおぉぉぉぉおおおおおおお!!」こうご期待!!」

春樹「カレーって、甘いとか、辛いとかだろ!? これくせーんだよ!!」

抄華「口を開けばガッカリ王子!!」

抄華・春樹『ばいばーい!!』

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