二日目、「おウチ帰るぅぅぅぅうううう!!」
桜ヶ丘高校生徒会。
学内でも行事ごとにしか顔を出さないと言われている存在。学校の主な行事を決める集団。
生徒会長。副会長。書記。会計。雑務。からなっているといわれている。
……本来はどうかは分からないけど。
「てなわけでとぅ~ちゃ~く」
桜田会長から案内されて連れてこられたのは生徒会室棟。生徒会役員がここで授業を受けたり、生活していたりするらしい場所だ。一般生徒は立ち入り禁止エリアとなっていて、立ち入るためには何かの条件が必要だとか……。
「ん? なんだか落ち着かない様子だね、紀夫君」
「は、はぁ。なんか、いまいち実感がわかないというか、何というか……」
そう言ったとき、「はっはっは」と笑う桜田会長。
「なぁに、あたしの時にはすっごい強引だったよ。無酸素室に入れられて真っ白のジグソーパズルやらされたりとかしたから」
「えぇっ!?」
思わず驚いてしまう。確かそれって宇宙飛行士の試験の項目に入ってなかったっけ!?
「まぁ、あたしの代からはそれは廃止にしてるから。だいじょぶだいじょぶ」
肩をぽんぽんとたたく桜田会長。いや、すごく不安なんですけど……。
「まぁとりあえず生徒会室に入って入って。他のメンバーにも紹介するから」
「あ、はい」
桜田会長に促されて生徒会室棟に入る。
きぃ、と音を立てて生徒会室棟のガラス張りのドアが開く。桜田会長が入った。それに続いて僕も――
びーっ、びーっ!!
「ひぃっ!?」
急な警報音。な、なに!? 何なの、これ!?
「あ……まっず」
「か、かかかか会長!? なんですかその『やっちまった』的な発言!?」
会長は頭をかきながら「あっはっは」と説明する。
「いや~ずいぶん前に変態用の防犯装置をつけたんだけど……どうやら解除してなかったみたいだね。てへっ☆」
「てへっ☆ じゃないですよ!! どーすんですか!!」
防犯装置、というからには警察の人たちが大挙して押し寄せるのだろうか。
「いや? 警察はこないよ?」
はい?
「じゃあ誰が来るんですか?」
「だから誰も来ないって。来るとしたら――」
ひゅん。
目の前をナイフが通り過ぎた。すぐ近くの壁に突き刺さる。
びぃぃん……と小刻みにふるえた後、ナイフは元からそこに刺さってあったかのように静止した。
「こんなふうなトラップ?」
「ひぃえええええええええええ!!」
帰りたい!! なんか無性に帰りたい!!
「いやだぁぁぁぁ!! おウチ帰るぅぅぅぅうううう!!」
「あ、ちょっ……ドアにはさわらない方が」
言うが早いかドアにふれる。ホントに帰る!!
と思ったらばちっ。
「つっ!?」
「だから言ったのに……ドアには今電流が通ってるからだめだよ」
「……何ボルトですか?」
「6600ボルト」
なぁんだ……てっきり十万ボルトとかそんなことを言うのかとばかり……妙に良心的な数字だなぁ。
(※ちなみに6600ボルトは高圧線と同じくらい。即死します。By作者)
「とにかく、ドアにはふれないようにね。危ないから」
「はい……」
と、しおれていると桜田会長がナイフが飛んできた方向をふっと見つめる。三秒ほどした僕の方に向き直り、そして、
「走れっ!」
ナイフが飛んできた。びぃぃん。
もう一本ナイフがびぃぃん。
そして視線の先には
ナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフナイフがたくさん飛んできたぁあっ!?
「うわわわわぁぁ!!」
急いで階段めざして逃げる。
「かいちょぉぉ!! 何でこんなめんどくさい物がぁぁぁ!?」
「防犯対策!! 生きてここから逃しはしないために!!」
「どーしてそこまで厳重に!?」
「察して!!」
察せねぇよ!! こんなにナイフが必要になる事があったなんて察せねぇよ!! あんたら生徒会だろ!? 何があったんだよ!?
(※いろいろありました。By作者)
「ひとまず三階まで上がれば何もないから!! がんばるんだよぉぉぉおおお!!」
「うがぁぁぁぁぁあああああ!!」
とにかく僕らは無我夢中で逃げるしかなかった。
さぁ、ミッションインポッシブれ!!
というわけで、まだまだ続くよ。