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シャーロキアンのアドラー〜虚構アドラーの誕生〜  作者: ヨハン•G•ファウスト


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第四幕:変装の発見

ねえ、あなた。私はアドラーよ。

そして、アドラーを愛するシャーロキアンの一人なの。

なのにーーアイリーン・アドラーと名乗っている。


第三幕では、鏡の中のアドラーが話しかけてきたのを話した。

叔母さまからもらったウィッグは、私をアドラーに変えたんだ。

そして彼女は、復讐をさせたがった。

でも私は、暴力を使っての復讐は望んでいない。

私が、私がそんな事をしたらーー大事な人たちが不幸になるんだから。

バレない方法、そんな都合のいい復讐がしたかった。


私はウィッグを外して、眺めた。

こうやって、被り物を外すことで、私は私に戻る事ができる。

「別の自分になる?」と口にした。

「いろんなウィッグを使えば、変装できるんじゃないかしら。ホームズのように......」

思わず口からでたアイデアは、私を虜にした。

私はメイク道具を使って、顔色を変えたりした。印象が変わる。

暗い女は明るくなり、

明るい女は暗くなる。

私は叔母さまにも似せられる。

あの金髪のキャロラインにすらなれる。


でも、メイクだけで本当に“別人”になれる?

そこで私は考えたの。

歩き方を変えれば? 姿勢を変えれば? 声の調子を真似すれば?

ーーそうすれば、人は簡単に騙されるかもしれない。


その発見を共有したくなった。

キャロラインなら、きっと私の喜びを理解してくれる。

そして彼女の前で彼女自身になってみせた時の気分ったら……。

ねえ、想像できる? あれは最高にスリリングだったわ。


それから......しばらく経ってから、私はキャロラインのいる屋敷へと移動した。

それから彼女の部屋で私は変装してみせた。

私たちは、もともと似ていたから、特に難しくはなかった。

彼女は驚いて、こう言った。

「すごいわ!ーー!あなた、女優になればいいじゃない。でも、歌えと言われても歌わない方がいいわ。

一生笑い者にされるから。気をつけて!」とキャロライン。

「......。わかったわ。」と私は言った。

「でも、なんで変装なんてするの?」とキャロラインは私に聞いてきた。

「なんとなく。面白そうと思っただけだわ。」

すると、彼女は私の目を見つめてた......。私から何かをくみとろうとしているみたいだった。

「あんまり人に見せびらかさない方がいいかも。」

しばらくして、彼女はーーそう言った。彼女はそっと私の手を握った。

私たちはーーその後、何も言わなかった。


しばらくして、彼女は変装のことがすっかり気に入ったらしく、

ウィッグやメイク道具を次々に用意してくれた。

これからもずっと一緒に笑ってくれる、

それだけで私は救われた気がした。


彼女には感謝している。これからも、ずっとーー。


(こうして、第四幕はキャロラインとの思い出によって幕を閉じる。)

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