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episode5「カイギ」

コイルが来てから数週間。光風荘はどうなったのでしょうか?

コイルが来てから数週間。

最初とは見違えるほどにコイルは光風荘に適していった。

いや、適しすぎてると言ってもいいほどだった。


今までみんながやってきた雑務を、彼が担うことが多くなったのだ。その度にみんなは、「ありがとう」を零していった。

それと同時に、彼のかける甘い言葉に乗せられていく人も現れていた。


ユエ、ネイ、シノは特に顕著な変化を見せた。

まさに3人はコイルに気に入られてるかのように扱われていて、同時に3人もコイルの言動、行動には吸い寄せられているようだった。


ユエ:「あのさ……ちょっと悩みがあるんだけど、聞いてもらってもいいかな。」

コイル:「うん。いいよ。」


ネイ:「ふわぁ……眠たい……」

深夜まで周辺の監視をしていたネイに対して、

コイル:「こら、眠たいなら寝な。ちゃんと周りに頼って。」


コイル:「シノ、調子はどう?」

シノ:「……まぁまぁかな。」

コイル:「そうか、今日も散歩行こうぜ。」


人によってはもう頼れる存在になっていたり、

言われるがままにされていくものも現れるほどだったのだ。


そんな状況を、アクトは訝しげに見ていた。

今までに見ていた中でも、光風荘になじむまでにかかった時間の平均より、

はるかに速いスピードで周りの心に馴染んでいる。

アクトは、ずっと疑問視していたのだ。


ある日の夜、アクトとコイルが二人きりで話すタイミングができた。コイルの部屋に入って、アクトが挨拶する。


アクト:「失礼するぞ。」


この瞬間、アクトは他の部屋とは違う空気を感じていた。

奥から出てくるコイル。「いらっしゃい。」の声と共に、空気感が一変した。

それまでの光風荘にはなかった、ありえない雰囲気だった。


アクト:「……最近、周りのやつとやけに絡んでるが、もしかして知り合いか?」

アクトはなるべく相手の気に触れないよう慎重に探っていく。


コイル:「まさかそんなわけ、ただ普通に話してたら、仲良くなってるだけだよ。」

コイルはあっさりと答えた。


アクト:「うちの奴らがこの光風荘に入ってから馴染むまでに時間がかかっていたのを見てたら、

お前はしっかり馴染んでいるようでな。まるで元から知り合いだったかのように打ち解けたからな。」

コイル:「あぁ……僕はただ単に人と喋るのが好きなだけさ。」

コイルの何気ない回答に、アクトもなかなか言い返す場所がなく案ってきているのを感じていた。


すると、次の言葉で少し雰囲気が変わった。

コイル:「でも……みんながそれでもここまで秩序を保ってる。

僕がみんなを見るより、あなたたちに任せる方がいいのかもしれないね。」


アクトはその言葉が非常に腑に落ちなかった。

アクト:「……言い方が引っかかる。

"任せる"っていうのは上に立つ人間の言葉だ。」


アクトは副リーダーとしての威厳を守るため、続けて、

アクト:「確かに来て間もないうちにみんなと打ち解けてるのはいいことだ。それでも俺やレーヴィが光風荘を統括しているのは知ってるだろう。

それには従ってくれ。」

コイル:「そうか……気を付けるよ。」


アクトは今の瞬間を見逃していなかった。

少し見せたコイルの悲しげな顔、感情をつかみにかかろうとする感覚。アクトは乗せられないように、ゆっくりと返す。


アクト:「楽しむのはいいが、節度を守れよ。」

コイル:「うん……わかったよ。」


アクトはそういって立ち上がり、部屋を出る。

アクト:「邪魔したな。」


アクトは自分の部屋に戻りながら考えていた。

あの悲しげな顔といい、言動といい、実際に喋ると引っかかることが多い。

しかし、周りは打ち解けている。自分がおかしいだけなのかと悩んでいる。



コイル:「アクト君……君は秩序を大事にしているね。でも、忠義というものは、信じ合えるからこそ、存在するんだよ。」


俯きながら、悲しげな笑いと共に零したその言葉。

まるで、アクトの本質をあの一瞬で理解したかのような、重たい言葉だった。

”カイギ”その意味をみなさんはどう受け取りますか?

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