episode2 「踏み込んだのは、たった一歩。」
物語が始まります。訪問者現る。
夕暮れ。光風荘の空気は静まり返っていた。
そんな静かな空間のアパートの階段に、
誰かの足音が響いてくる。
その足音は、あまりにも軽く ──けれど、耳に残るほど鮮明だった。
誰もが、どこかで「来る」と知っていたのに、その瞬間はとても静かだったのだ。
そして、ついに接触する。
「こんにちは」でも、「初めまして」でもなかった。
一歩廊下を踏みしめただけだったのに、空気が一変した。
(ゆっくりと、10号室の扉が開く)
それはとても柔らかな笑みを浮かべて立っていた。
顔立ちは整っている……
まるで絵画のように整った顔立ちなのだ。
誰よりも先にそれに目を配らせたのは、トウマだった。
トウマ:「……あ、新しい人?」
???:「はい。今日からよろしくお願いしますね。」
その声は、とても自然ながら耳に響くものだった。
周りもそれに気づく。
ユエ、アクト、ネイ…次々と集まってきた。
軽く頭を下げるものもいれば、距離を取っていくものもいた。
アクト:「……」
ユエ:「えっと……お名前聞いてもいい?」
???:「あぁ、私の名前はコイル。よろしくお願いします。」
ネイ:「コイルさん…素敵な名前です。」
コイル:「ありがとう。ネイ君。」
その言葉に、ミレイとアクトが驚く。
まだ伝えていないはずの名前を、先回りするように言った。
コイル:「改めて、私の名前はコイルと言います。少し遠い所からですが、光風荘の存在を知りましてやってきました。
まだまだ知らないことが多く、ご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いします。」
とても整った挨拶だった。むしろ整いすぎてるぐらいだった。
この短く整った挨拶に、心を惹かれるものもいた。
ユエやネイが寄り添う中、アクトやミレイ、トウマはこの雰囲気が逆におかしく感じていた。
レーヴィも声に気づいてやってきて、目の前の人物を見る。
しかし、
レーヴィ:(僕の脳が拒んでいる……これは危険だって感じる。でも、なぜだろう…笑顔を返さなきゃいけない気がする。これは……目が離せない)
コイル:「"こんにちは"、レーヴィ君。」
レーヴィ:「…あ?……」
名前を呼ばれた。まだ、誰も教えていないのに。返事をする前に、肩に手を置いてきて、
コイル:「今日から、よろしくお願いしますね。」
レーヴィはその場で硬直した。そして気づく。
これは…普通の人間ではないと。
間違いなく、危険だと胸騒ぎがしていた。
アクト、トウマ、ミレイも同じ感情を抱いていた。
それはまるで小さな巨人のような、矛盾を感じる始まりだったのです。




