異類婚姻譚のある暮らし
(軟骨は煮込むと美味い)はばたけるきみの背中を指でまさぐる
異類婚姻譚のある暮らしでは花ではなくて肉をそなえる
曇り空、満月、海の夢に出て「厄災だね」と君は囁く
口紅を塗るか落とすか悩むひと 人魚姫とのキスの前には
ラプソディ・イン・ブルーながれる わたしのからだに青色は少ない
月光のない窓辺、花瓶の温い水、天使は踊り場から去る。
魔女の子であるあなたは業務上の理不尽を丁寧にささやく
わたくしの部屋にある月が潮の満ち引きで生態系をこわす
標本にされるつもりで息を吐く 水と酸素はきみにあげるね
剥離した後の空気を花びらは知っているのに笑ってばかり