0日目 ③ 裏話
…深い森の中。
俺は歩いていた。
あたり一面に満ちる草木の匂い。
その合間を潜り抜けるようにして、血の匂いがツンと鼻の奥をついた。
「こっちか…。」
俺は周囲を警戒しながらも、匂いのもとへと進んでいく。
いつも通り…。
いつも通りだ…。
いつも通り、…殺すだけ。
近づくにつれ、匂いが濃くなる。
もう、何度この匂いを嗅いできただろうか。
そして、俺は背中に背負った鉄の大弓と鉄の矢を引き抜き、矢をつがえる。
…それにしても、あの娘。
ずっと、村を出てからというもの、ずっと拭いきれないうざったさが胸の内を覆っていた。
あの仕草、あの言葉、あの表情…。
・・・・・・
『世界って、すげぇ広いんだぜ。あたしは、いろんなもん見て、いろんなこと知って、いろんなやつに出会いてぇんだ。だって、その方が面白そうだろ。なぁ、◯◯◯◯…。』
・・・・・・
と、そうこうしていると、目的のやつが現れた。
口から血を滴らせ、牙をこちらに向けている。
食っている途中だった骸を踏みつけ、殺意を向ける。
俺は、弓を構え、そいつに向かってこう告げる。
「悪いな、お前じゃ俺を殺せない。」
…
書きたくなっちゃいました。