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竜王様は生贄系ダンジョン配信者に愛でられたい  作者: 黒崎ちか
2-2.浅草ダンジョン(地下四階)
55/57

2-10.【オーガ】変異種に会うまで30体 5


 スタミナ切れは起こっていなかったようだ。ゆっくりと火を消し、再びコメント欄を見る。


「大丈夫みたいですね」


 リスナーさん達に言うようにカメラに向かって話した。すぐにスマホを見ると、リスナーさん達が反応してくれていた。


『コントロールよ』

『びっくりした』

『火の粉が飛び散らんのすげえ』

『真白さんの火、好き』

『何で飛び散らないの』


「真白が凄いからですよ。ふふっ。無理は禁物ですし、そろそろ帰りましょう」

「はい」

「皆さん。今日も応援ありがとうございました。今日も一日頑張りましょう」

「次回の討伐は決まりましたら案内します。チャンネルとつぶったーの登録お願いします」


『登録してるよ~』

『仕事頑張ってくる』

『これからテスト。嫌だ』

『気をつけて!』

『おつ』

『お疲れ様』


 コメントを見ていると竜輝さんが配信を閉じるためにスマホを操作し始める。相変わらず手慣れているなな。竜輝さんはすぐに操作を終え、そのまま私の方を見た。


「真白。お疲れ様でした。家に帰りましょうか」

「竜輝さん。その前に確認したいのですが、本当に三十体倒したんですよね」


 恐る恐る竜輝さんに尋ねると不思議そうな表情をした。


「僕が真白に嘘をつくと思われているんですか? 僕はあなたに誠実で」

「そうじゃなくて、実感がわかないんです。オーガですよ! しかも三十体」


 あっという間だった。まだそんなに時間も経っていないだろうし、数え間違いをしていることも考えられる。

 ノルマはこなした方が良いし、足りなかったら討伐をしておいた方が良い。


「真白は普段耐久ばかりしていますからね」

「耐久?」

「今日は一時間近く戦っていましたよ」

「えっ?」


 そう言いながら竜輝さんがスマホの時計を見せた。今は八時五十八分。本当だ。一時間経ってる。

 そっか、配信は竜輝さんが見ていてくれるから配信時間も気にしていなかった。


「もう九時……」

「ふふっ、良くも悪くも耐久をしていたので、集中力が鍛えられているんですよ。やっぱり足りないのは魔力ですね。もう少し火を強くしましょうか。そしたらオーガ耐久が出来ますね」


 火のレベルか。どれくらいあげるのかな。火のスキルツリーは……四十五? あれ、上がっている。


「真白? どうかされましたか?」


 竜輝さんの声が聞こえた。答えた方が良いのに言葉がでない。

 なんで? さっき上がった? わからない。どうしよう。


「真白。まずは深呼吸しましょう。はい。息を吸ってー」


 突然聞こえた声の通りに息を吸って吐く。


「ふふっ。もしかして火のレベルが上がっていましたか?」


 私が深呼吸をし終えると竜輝さんが言った。もしかして竜輝さんが原因?


「何かしたんですか!?」

「ゆっくり話しますから」


 竜輝さんに詰め寄ろうとしていたが、竜輝さんは変わらず微笑んでいた。


「僕がきっかけを作ったかもしれませんが、何もしていませんよ。安心して下さい」


 変わらずに柔らかく笑いながら竜輝さんが続けた。

 とりあえず、竜輝さんの想定の範囲内か。そう考えると少し落ち着いた。


「話を整理しましょう。真白の火のレベルが上がっていたんですね?」

「はい。えーっと、今四十五。ありました」


 恐る恐る返事をすると竜輝さんが困ったように苦く笑った。

 想定内って言っていた。それでもわけがわからなくて心臓の音がうるさく感じる。


「オーガを討伐したくらいですね。どうやら青鬼と戦っている時に無意識に割り振ったようですね」

「無意識で?」

「そもそもそれが普通ですよ。自分でどう強くできるか考えられるのは人くらいですからね」


 火が足りないって思ったけど、まさか、その時に? 

 竜輝さんに確認するように見ると竜輝さんが穏やか表情で言った。


「気にしないで下さい。青鬼を当てたらどうなるか、試した僕も悪いですし」

「えっ!?」


 試したって? じっと見つめるが悪びれる様子はない。


「見たくなったんです。青鬼が出てきたら真白がどうするかを」

「どうするか?」

「はい。難なく討伐してしまいましたね」


 そう言うと竜輝さんが目を細めて嬉しそうに笑った。その様子を見ていたら怒りたい気持ちがなくなった。


「だって倒さないと」

「はい。そうですが、その……少しは戸惑うかと思ったのですが、真白は臆することはなかったですね」

「困らせたかったんですか」


 悪趣味だ。少し睨むように竜輝さんを見ると動揺しているのか慌てる様子で首を横に振った。


「違います。きっと真白は立ち向かうって思っていましたから。そう思ったら見たくなったんです!」


 開き直ったように少し強く言った。

 竜輝さんが慌てるのは珍しいので、そのまま見ているとそっと目を反らし小さく笑う。


「やっぱり、真白は輝いています。真白はヒーローみたいですね」


 竜輝さんが目を細めた。そんな風に言われてしまうともう何も言えなくなる。


「あーもう。わかりました。ただあまり期待しないで下さい。竜輝さんがいないで浅草に来るのは無理なんですよ」


 観念するしかない。肯定をするしかなくなるが、反論もさせてもらう。強者に立ち向かうと簡単に言っているが、こっちは命懸けだ。

 変異種と戦わせられても困る。ちゃんと伝えると竜輝さんが空を見上げて考える素振りをした。


「無理です。真白は僕の主なんですよ」


 いつもと違って真剣な表情だった。

 目が離せなくてそのままじっと見つめていると、柔らかく微笑んだ。


「ふふっ。そうだ。格好良いご主人様。あなたの眷属のお願いを聞いてくれませんか?」


 この言い方は嫌な予感がする。婚約者欄とか言ってきそうな雰囲気だ。


「内容によります!」


 うっかりトキメキそうになった気持ちを投げ捨てるように言いきる。婚約者欄はあげない! 気を引き締めて竜輝さんの言葉を待つ。


「オーガと戦って下さい」

「オーガ? 次の配信ですか?」

「いえ、今からです。ここには後一時間いられますし、追加で二十体。火をあげるのに使った分の回収しませんか? 今の真白なら討伐出来ます」


 スタミナ切れはない。

 それに気持ちもまだまだ行けそうだ。だったら早くリカバリーしておいた方が良い。


「は、はい!」


 返事をすると柳井先生に確認してから枠を立て直して、残り二十体。合計五十体倒した。

 竜輝さんに見守られながら、今度はちゃんと体のレベルを上げた。


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