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竜王様は生贄系ダンジョン配信者に愛でられたい  作者: 黒崎ちか
1-3.浅草ダンジョン(地下一階)
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1-36.魔物と命令

 眷属の命令に背ける。リンドヴルムさんは何気なく言っているけど、そんな事は聞いたことがない。

 と言うかそれが本当なら眷属の魔物はダンジョンの外に出せないし、あり得ない話だ。


「嘘じゃないですよ。僕は真白の命令に背けます。背こうとすれば。ですが」


 私の聞き間違いじゃないかと考えているとリンドヴルムさんが言った。急いでリンドヴルムさんの方向を見ると「顔に書いてありましたよ」と言いながらくすくすと笑った。

 そんな笑って言う話じゃないのに。あり得ない。そもそも私はリンドヴルムさんには危害を加えないように言ったが、触らないでとは言っていない。


「私はリンドヴルムさんに触らないでと命令してませんよ」


 していない命令に背くというのはおかしい。

 そんな真剣な表情をしていないし、ごまかそうとしているみたいだ。

 もしかして何か隠そうとしている? リンドヴルムさんを見ながら考えていると、リンドヴルムさんは表情が変わらず微笑みながら言った。


「命令と言っても口にしないといけないわけではないですからね。僕が真白の記憶を見た時に真白は僕に触れないで欲しいと願ったんです。だから僕から真白に触れることは出来ないんですよ」


 触れないで欲しい。それなら思ったかもしれないな。寄生されるかと思ったし、なら考えられるかもしれない。


 よくよく考えるとリンドヴルムさんが私に触れてくることはなかった。距離感がおかしい割に手を差し伸べることもないし、紋を光らせる時も手の甲を近づけていただけ。

 命令していたからと言われても説明がつく。

 そしたらならなんであの時は私を支えた? 命令に背いたって言っていたけど、そんな事が出来るの? いや、それ以前になんで魔物が自分より弱い人の命令を聞くんだろう。


「リンドヴルムさんはどうして命令を守るんですか?」


 その質問になぜかリンドヴルムさんが少し驚いた表情をした。だがすぐに笑う。


「僕が真白に忠誠を誓っているからです」

「忠誠? 確かにここで暮らす以上守って欲しいことはありますが、全てに誠実じゃなくていいですよ」

「ふふっ。普通なら僕みたいに強い魔物は誠実じゃないと一緒にいてくれないんですよ」

「一緒にいてくれない、ですか?」

「いつ僕が真白を殺すかわからないでしょ」


 リンドヴルムさんが笑いながら言った。竜だからと言いたいのかな。だけどリンドヴルムさんは信じたいし……ってなんで笑っているんだ。真剣に考えるのが馬鹿らしくなってくる。


「なんでそう笑いながら言っているんですか」

「真白がそう思わないのを知っているからですよ。けれど僕を危険と思う魔物や人もいる。だからあなたを裏切らない。あなたのためならなんだって出来ると心に伝えるんです」


 伝える? リンドヴルムさんは何か言っていったけ? と言うかリンドヴルムさんは勝手に花の紋を刻んでいたしな。

 ん? もしかして花の紋の事? 眷属は人の命令に背かないからダンジョンの外へ出ることが許可されている。授業の時の先生の言葉が頭に浮かぶ。


「もしかして花の紋ですか」

「ええ。そうですよ。今僕が真白の隣にいれるのも、僕が真白に忠誠を誓っていると知っているからです。この紋ははっきりと見えるので、わかりやすくて便利ですね」


 そう言いながら手の甲の紋を光らせた。便利なのかな? なんかすごく他人事みたいな言い方だ。私の命令に従うってこんな穏やかな表情で言う内容ではないはずだ。


「なんで、そんなに呑気に言っているんですか! 私に命令されるんですよ」

「真白に命令をして貰うのは嬉しいですよ。真白の不快な事がわかりますからね」

「わかりやすいって。そんな単純なことじゃないですよ。嫌なことだって」

「嫌な事はないですよ。真白は僕のことを無下に扱いませんからね。それに真白がする命令は真白がされて嫌な事と困る事だけなんです。僕は真白に可愛がられたいので、嫌な事をしようとしたと時にこれはいけないと教えてくれるのは助かります」

「背こうとしたとき? あー……ダメって言い過ぎないように気を付けます」


 なんかリンドヴルムさんにあんまり言いすぎるのもよくなさそうだな。なるべく気を付けよう。

 そう思いながらリンドヴルムさんを見ていると気まずそうに視線をそらした。

 なんだろう? そのまま見ているとリンドヴルムさんが小さく息を吐いてから私の方を見る。


「気持ちは嬉しいのですが、少し違うんです。真白が教えてくれるからではなく、その、真白の命令に背こうとすると胸が、すこっ……。いえ、かなり苦しくなるんです。それくらいじゃないと信用して貰えませんからね。ですから普通は命令に背くような愚かなことはしません。安心して僕を側に置いていて下さいね」


 苦しく? その割にリンドヴルムさんは他人事のように呑気に話しているからか、その言葉を飲み込むまでに時間がかかった。


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