表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/24

06話 <立入禁止>

 現れた<立入禁止>の標識はまるでバリアのように黒剣熊(サーブルベア)の斬撃を防いだ。

 なるほど。今までの標識は実体を持っていないホログラムのようなモノだったが、<立入禁止>だけは巨大な標識そのものが円形の防御襞になるわけか。

 と、標識の効果について考察していると


「【氷獄(コキュートス)】!!」


 <立入禁止>が爪を受け止めたのとほぼ同時にユーバックの声が響く。

 すると巨大な氷の柱が天を突くように具現化し、ソレの内部に黒剣熊(サーブルベア)は閉じ込められた。

 氷柱から伝わってくる冷気によって、近くにいる俺から零れる息は凍てつき白く染まる。

 一種のアート作品のようになってしまった熊を呆然と見つめているとユーバックが駆け寄ってきた。 


「コレで暫くは安心だと思います。それにしても、フィーラさんが投げ飛ばされた時はもうダメかと思いましたが…まさか貴女が腕の良い魔術師だったとは。いやはや、御見それしました」


 俺もダメかと思ったよ…。

 それにしても、「腕の良い魔術師」か。あんな凄い魔術を使う人から良い評価を貰えるっていうのはかなり自信になるな。

 だがまあ普通にここは謙遜しておこう。どう考えても俺より彼の方が数百倍強そうだし。


「腕が良いだなんてそんな……ついさっき初めて魔術を発動できたばかりのペーペーだよ、俺は」


「ついさっき…?いやいや!流石にそれは嘘でしょう……嘘ですよね?あの一撃を防ぐ防御結界を展開できるんですから、そんなはずは…」


 誓って嘘じゃないんだけどなあ。

 まあこういった状況では転生者は得てして図抜けた力を持っているモノだ。

 現時点ではまだ俺TUEEE!な感じはしないけど、恐らくそれに近いポテンシャルは得ているはず。


 しかし、そういったアドバンテージに甘えていては生前のような人生に終わってしまう可能性が高い。

 逆に言うとこの才能を最大生かすことができれば、この世界でも有数の実力者になれるかもしれないということ。

 となれば話は簡単。やはり生前とは意識を変えて常に全力で日々を過ごすしかない。

 決して慢心せず、かと言って卑屈になったり消極的になったりもせず、いい塩梅で自分を追い込み生きていくことにしよう。

 ……って、何だか意識高い系インフルエンサーのbioみたいになってしまったが、まあ間違ったことは言ってないよな?


 こんな風に改めて決意を固めたところで、フィーラの声が上空から聞こえてくる。


「【風神の怒り(テンペスティア)裂唱(グラディウム)】!!」


 刹那、不可視の斬撃により氷漬けの熊とトレントの身体が真っ二つに切り裂かれた。

 いやソイツらだけではない。周辺の木々ごとだ。フィーラが発した鎌鼬のような強力な一撃により、森一帯が更地と化してしまった。


 決意を固めたは良いものの、俺にはこのレベルまで上り詰める為のイメージが今のところ全く湧いてこないんだよな……。 


 規格外な魔術の余韻で発生したそよ風が俺たちの髪を揺らす。

 …というか森林保全が云々とか言ってたけど、これ大丈夫なんだろうか。いや、絶対大丈夫じゃないだろ。

 だって保全するべき森が無くなっちゃってるんだもん。


 隣で口をあんぐり開けて呆然としている少年のこの表情からしても、彼女がしでかしたことの重大さは伝わってくる。


 ユーバック少年の心労は計り知れないが……。


 


お読みいただきありがとうございます!

☆☆☆☆☆評価やブックマーク登録していただけると泣いて喜びます!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ