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8・友人


 森を抜けてから3日ほど過ぎたころ、私はアデューラの町にたどり着いた。

 私が思っていたよりもはるかに大きな町で、木造建築を基本に様々な建物が並んでいる。分かりやすいロゴの入った看板が建物の入り口に置かれ、或いは吊り下げられて、馬車が並んで通れるような大きなメイン通りを中心に、たくさんの店が立ち並んでいるようだった。

 人の出入りも頻繁で、この町の出入り口には大きく立派な門があり、基本的に日中は解放されているらしい。町の出入口手前には十字路があり、北と東西から多くの人が町を出入りしていて、そこにたどり着く頃には、今までどこにいたのだろうかと思うほど多くの人でにぎわっていた。

 後から聞いた話しだが、プレミさんたちが来た北側の道は人通りがなく、基本的には東西の道から来る人のほうが多いのだとか。プレミさんも北側の道は月に2・3回行き来するくらいらしい。そう言う意味でも、私がプレミさんたちに出会って、町までの同行をお願いできたのは幸運だったと思う。

 アデューラの町はそれなりに大きな町だとプレミさんには教えられた。

 主要なギルドと、大きな神殿もあり、いくつもの大きな首都の間にあることもあって貿易の拠点にもなっているのだとか。そりゃ大きいに決まっている。

 改めて街並みに目を向ければ、それは驚くほどにファンタジー色の強い場所でもあったし、西部劇の世界のようにも見えた。だけど、西部劇の映画を見たときに感じる、あの閑散とした感じはなく、人があふれていると称しても全く問題ないほどに、たくさんの人が集まっている。

 そして驚くのは、様々な種族がごちゃ混ぜになっていることでもあった。グライブのような獣人もいれば、エルフやドワーフのような、ぱっと見で私にもわかる人たち、逆に、人ではないと分かるけど種族までは分からないような人たちと、本当に様々だ。ちなみに、プレミさんは妖精族らしい。妖精ともちょっと違う種族なのだとか。

 約束通り、町まで連れてきてもらった私は商業ギルドに向かうというプレミさんとは別れ、傭兵ギルドを探すことにした。もちろん事前に場所はプレミさんと護衛の人たちから聞いておいたが、いざ自分の足で歩き始めれば、軽く途方に暮れそうになる。

 とにかく人が多くて、おまけに見慣れない街並みと入り組んだ道に、教えてもらったばかりだというのにすでに迷いそうになっている自分がいるのだ。

 プレミさんの護衛をしていた人たちはハンターギルドに所属しているらしかったので、一緒に連れて行ってもらうことも考えたのだが、グライブが元々傭兵だったことを思えば、傭兵ギルドのほうがいいかと思った。

 分からなくなったらまた誰かに道を聞けばいい。そう思って、私はプレミさんたちにしっかりとお礼を言った後、教えられた道を進む。

 お上りさんよろしくキョロキョロと私はあちこちに視線が泳いでいた。

 だって、とんでもなくファンタジーだ。様々な人たちが楽しそうに歩いている姿や、店の軒先でお酒を飲んでいる姿、見たこともない植物を売っている店やら、それを眺めて今日の夕飯の献立を考えている様子の人たち。ここには様々な人々の、様々な生活感と言うのか、そういうものをとてもよく感じ取れるのだ。

 おいしそうな匂いがしたり、甘い匂いや薬のようなにおい、様々な音、そういうものが、私が異世界に居るのだということを実感させていく。

 不安もあるが、それは私の好奇心を刺激する誘惑のようにも思えた。

 きっと、彼がそばに居てくれたなら、私はその手を引いて走り回っていただろうことも、簡単に想像できてしまう。

 優しい太陽のような金色を思い出すと泣き出してしまいそうで、私は軽く首を横に振ると真っ直ぐに目的地を目指した。





 途中道が分からなくなって、結局、何人かに道を聞くことになったが何とか目的地にたどり着いたようだった。

 メイン通りから少し奥に入った路地の一角。目的の建物は想像よりも小さく、2階建ての古民家のようにも見えた。それが誰かの住居ではないと分かるのは、ドアの横に分かりやすく立てかけてある大きな看板のおかげだろう。

 大きな盾の前に3本の剣が描かれている看板。これが、傭兵ギルドの目印で合っているはずだ。

 目の前には3段ほどの小さな階段と踊り場。その踊り場を囲うように策が囲っていて、玄関扉の横には窓が左右にひとつづつ。特にこれと言った目立つ装飾もなく、唯一目立つ存在と言えば看板のみといえた。

 場所はあっているのだろうけど、非常に入りにくい。メインから少し横道に入っただけだというのに、人の通りは極端に少なくなり、メイン通りの店先にはたくさんの人がいたというのに、ここには人が集まっている気配が一切ない。

 まあ逆に言えば、傭兵を雇う人がたくさんいるほうがどうだろうとは思うけど。

 だが、ずっとここに居るわけにもいかず、私は『よし』と自分に気合を入れて、思い切って玄関のドアを恐る恐る開ける。

 こっそり頭を玄関の中に居れて室内を見やれば、外見と同じだけの広い板張りの室内には大きめのテーブルが4つと、それぞれのテーブルに椅子が6席分置かれていて、5人ほどのひとがかたまって座っていた。

 私がゆっくりと扉を開けて室内に入ると、その5人はこちらに顔を向け、それぞれじっとこちらを見つめてくる。若干、逃げ腰になる私だが、それも仕方ないと思ってほしい。

 何しろ、その5人ともが、目つきが非常に悪いのだ。一言でいうなら怖い。

 2人は確実に人間の男性で、大きな体格もさることながら1人はハゲているおじさん、もう1人は無精髭のおじさんと言うには少し若い感じの男の人。そして残りの3人は人間ではなく、1人はトカゲ? っぽい感じで、1人は青い肌の色をした耳のとがった人と、最後に狼や犬に近い感じの獣人で、そんな彼らを前にすると、私の場違い感が居心地の悪さに拍車をかけてくる上に、彼らの目つきも本当に怖くてさらに逃げ腰になってしまうのだ。

 それこそ最初の選択を間違ってしまったのではないかと思うほどに、今すぐに回れ右をしたくなってくる。

 それでもここで引き返すわけにはいかないと、私は恐々と室内を見回してみる。すると、テーブルとは反対の位置にある部屋の奥角に、大きなデスクと長机がくっついたような場所があり、デスクの前には眼鏡をかけた耳の長い男性が座っていて、じっとデスクに向かい何やら書き物をしている様子が見て取れた。

 長机のほうにはデスクの人と向かい合うような位置に丸椅子が二つ並んでおいてある。もしかすれば、あそこが受付のような場所なのかもしれない。

 大きなデスクのある後ろにはさらに扉が見えるが、多分、事務所的な場所だろうと結論付けて、私は考えるのもそこそこに受付の人っぽい眼鏡の男性に声をかけようと足を向ける。

 どう考えても、話しかける相手が目つきの悪い5人と眼鏡の男性の2択しかないなら、まあ後者を選ぶよね。

 そして私が眼鏡の男性に話しかけようと近づいたとき、私はふいに腕を掴まれて引っ張られ、たたらを踏んだ。危うくコケるところだったが、何とか踏みとどまれて私は自分を引っ張ったであろう人物へと顔を向けた。

 そこには青い肌の男性が、作り笑いと分かるような笑みを顔に作り私を見下ろしていて、私は一瞬、全身の毛が逆立つのを感じた。自分よりも体格や背の大きな男性と言うのは、やはり威圧感があって怖い。と言うのもあるが、その作り笑いや、私を見つめるその目に、とても嫌なものを感じたのだ。

 未だ掴まれている自分の腕に力を籠めるが、私の力ではそう簡単に振りほどけそうにもない力の差があって、私はさらに怖くなる。だけど『怖い』を顔に出すことだけは、何としても避けようと自分なりに相手をじっと見つめ、目をそらすまいと努力はしていた。

 すると、目の前の男性はクスクスとおかしそうに笑いながら。


「大丈夫、大丈夫。俺、怖くないからさっ」


 そう言って、他の4人に顔を向け、同意を求めるように「なあ?」と声を上げた。

 すると、残りの男性たちも何が面白いのか同意するように「ああ」と頷きながら、小さく笑い声を漏らして見せる。

 すごく、嫌な感じだ。


「あの、放してください」


 私はそう言って掴まれている腕を引きはがそうとしてみるが、やはり私の力では全く抵抗することもできないようで、びくとも動かない。


「落ち着きなって。傭兵がご入用なんだろ?」


 そう言うと、青い肌の男は空いている方の手で私のあごを掴んで、自分のほうに無理やり向かせて顔を近づけてくる。

 じっと見られる居心地の悪さに抵抗しようとはするのだが、どうにも相手の力が強すぎて振りほどけない。それがさらに私の気持ちをいらだたせた。本当に、こいつはいったい何なのだろうか。


「探しているのはあなたじゃない」


 間違いなく、そう確信を持って言えた。

 グライブの知り合いや友人が、こんな粗野で乱暴なはずがない。


「傭兵なんてみんな同じだって。俺たちならさぁ――」


 男はそう言うと、じっくりと私の顔から体を舐めるように見下ろして。


「――仕事以外のお楽しみってやつも、サービスしちゃうよ?」


 私に顔を戻すと、楽しそうに口を三日月の形に吊り上げて見せた。

 そんな男の言葉と態度に、その視線に、私の全身が気持ち悪さと嫌悪感に震える。この男たちの目的の一つが嫌でもわかったからだ。


「放してって、言ってるでしょっ」


 触れられていること自体も不快でしょうがない。だからこそ必死に抵抗する私だが、男はただおかしそうに、そんな私をみているだけで。


「抵抗されちゃうと、余計に燃えちゃうよねぇ」


 そう言うと、恍惚とした表情を見せて、紫色の舌をちらりとのぞかせた。


(うぅ。気持ち悪いっ!!)


 嫌な汗と鳥肌が収まらない。冗談ではないっ。

 私は力の限りで目の前の男を突き飛ばすと、今度はあっさり解放されて、私はやっと目の前の男と少しだけ距離を開けることができた。そして、私は目の前の男を睨みつけるようにして見上げると。


「私は、傭兵なんて求めてないっ! 人を探してるだけよっ!」


 そう言って掛けているショルダーバッグの肩ひもを両手できつく握りしめた。

 私がそう言うと、男は不思議そうな顔を見せた後、ニヤリとまた顔に笑みを張り付け。


「誰を探してんの?」


 と聞いてきた。

 どうせ目の前の男は知ってても知っていなくても、知り合いだと嘘をつくに決まっている。だけど、私はあえて。


「グライブと言うひとを」


 そう言って、男たちの様子をうかがった。

 すると、トカゲが「ん?」と首をひねり、何事かを思い出したように「ああ!」と頷いて見せ。


「グライブって、あの『闇夜の月』のことか?」


 そう言うと、ガタっと音を立てて、なぜか受付に居た眼鏡の男性が席を立ち、足早にドアの中に入っていってしまう。なぜそっちがいなくなってしまうのか。むしろ助けてはくれない感じなんでしょうか? と、内心、心細さと不安で泣きそうになりながらも、私の脅威は去っていないので自分の中の弱虫を隠しつつ。


「そうです」


 と答えて男たちとの会話を続ける。

 受付の男性のことなどどうでもいいのか、男たちも大して気にした様子もなく。


「そいつ、100年以上も前に死んだんじゃなかったか?」


 そう犬のような獣人が言うと。


「いやいや、俺たちの『知り合い』にそんな名前のやつがいたような気もするなぁ?」


 なんて、青い肌の男が答えた。すると、他の4人も顔にいやらしい笑みを張り付けながら、そんな気もするなぁ。なんて、分かりやすい嘘をつき始めた。


「どんな人なんですか」


 私がそうやって警戒心むき出して質問すれば。


「どんなって……えっと、獣人、だったよな?」


 青い肌の男はそう言って犬のほうに顔を向ける。すると、犬のほうも悩ましい顔を見せ。


「確か、狼だった気がするな」


 そう答えれば、何かを思い出したようにトカゲも。


「そうだった。狼人間で、伝説級の傭兵だったな。どっかの国で兵士になったんじゃなかったか?」


 そう言った。


「人狼じゃなかったか? 夜みたいに黒い体だったとか聞いた覚えがある」


 そう言ったのはハゲのおじさんで。


「いや、狼人間だから、人間に変身して今でもグランダル王国で兵士をしてるんじゃないのか? そんな噂を聞いたことあるぞ?」


 そう言ったのはもう一人の人間で、いろんな噂がごちゃ混ぜになって、もう何が何やら分からない状態だった。ただ一つ言えることがあるとするなら。


「どうせ知り合いではないんでしょ」


 と言うことだ。私はため息交じりにそう吐き捨てて、ここに居るだけ無駄だろうと、ハンターギルドに行こうと思い立った。この人たちと一秒だってかかわっていたくない。

 私は急いで男たちに背を向けると、急いで入ってきたドアに向かおうとするのだが、先ほどの青い肌の男がまたも私の腕をつかみ引き戻されてしまう。

 今度は腰までがっちりホールドされるというおまけつきだ。これでは身動きが取れない。


「そう急ぐことないじゃん? ちょうど、ここには俺たちしかいないんだし」


 そう言うと、男は私の腰をがっちりと抑え込み、私の上着を掴むと力任せに上着を引き裂いた。あらわになる私の胸と下着に、私は一瞬、頭が真っ白になる。


「おいっ。最初は俺だろっ」


 横から無精髭の男がそう言って怒鳴る。


「前回は譲ったじゃん」


 青い肌の男はそう言うと、紫色の長い舌を、私の胸の谷間に滑らせて、舐めあげるように首筋へと這わせた。その瞬間、酷い吐き気と悪寒、それに恐怖と怒りがないまぜになった感情が、一気に私の中に噴出した。


「いやっ!!!!」


 無我夢中で男を引きはがそうと爪を立てる私の両腕を、ハゲが私の後ろに回り込んだと思えば、力任せに押さえこみ、口をふさがれて。


「早くしろよっ」


「待てってっ」


 そんな男たちの言葉のやり取りに、私は悔しさで涙がにじむ。

 私は、こういった経験がない。つまり、男性と体を重ねたことが一度もないのだ。初めての経験が強姦とか、いやすぎるだろう。

 どうせ奪われるなら、グライブに奪われ――って、なにを考えてるのだろうか。今はそれどころではない。

 とにかく、何としてでもここから、この男たちから逃げなくては、私は恐怖で震える体に抵抗しろと命令する。

 殴られたっていい。一生残る心の傷を植えつけられるくらいなら。

 ここで何もせずに諦めたら、それこそ、私は一生苦しまなければならないのだ。

 私はもがきながら、私の口を押える手に力の限りでかみついた。


「ぃっでぇぇー!!」


 その叫び声と同じくして私の手の拘束も解かれる。そして、私はすぐさま目の前にある青い肌の男の顔を夢中でひっぱたいて、ひっかいて、とにかくバカみたいに両手を振り回して。


「ちっ! おとなしくしろっ!!」


 青い肌の男は苛立たしげにそう言うと、私の右腕を押さえたと思えば、こぶしを握ったもう片方の手を振り上げる。

 殴られる。と思った私はとっさに両目をきつくつぶって、来るであろう痛みを覚悟した。





 一体どれくらい時間がたったのか分からない。だけど、私の後ろでドサリと重いものが落ちるような音が聞こえた後、おかしなくらいの静寂があたりを支配していた。


(なに?)


 何が起きているのか、全く把握できない。

 私は恐る恐る両目を開けて、目の前の男を見ようと視線を向けるが、男の顔より先に見えたのは真っ白い何かで……それが大きな刃であることに気が付いたのは、人の腕が私の視界の右側に見えたおかげだった。

 曲刀と言うのか、弓なりの形を描く剣のシルエットは磨き抜かれた美しいもので、その美しい剣の刃は真っ直ぐに青い肌の男ののど元に突き付けられている。

 男たちが静寂に食いつぶされた理由はこれだったのかと、私はふらりと後に倒れかけるが、そんな私を今までなかったはずの壁が急に支えた。


「まったく。これだから傭兵ギルドはますます依頼人が減っていくんだ」


 それは、壁から響く男性の声で、私はゆっくりと後ろを振り返り、息をのんだ。

 そこには、私よりもずっと背の高い、この世のモノとは思えないほどの美しい人が立っていて、私を背中から支えてくれた壁の正体もこの人であり、曲刀で青い肌の男の首に刃を立てているのもこの人だった。

 そして、その美しい人は長いまつげでほほに影を落としながら、私へと顔と視線を下げると、まるで女神のように微笑を浮かべて見せ。


「よく頑張ったね。もう大丈夫だよ」


 そう言って優しい声を響かせた。

 そのとたん、私の両足は力が抜けて座り込もうとしてしまうが、美しい人は何なく私を抱き留めると、剣を腰に下げていた鞘に納め、私を横抱きに抱えて。


「もしも、正式な依頼が来たとしたら、君たちは覚悟しておくといい。『西の森の狩人』は、決して君たちを逃がしはしない」


 そう言うと、踵を返すようにドアを出て外へと歩き始めた。





 しばらくお姫様抱っこのまま歩いて行くと、小さいが美しい噴水のある公園まで来て、美しい人は私を近くのベンチに座らせると、懐から眼鏡を取り出し、それをかけた後に背負っていた大きい弓を外して、着ていたマントを脱ぎ、私に掛けてくれた。

 目が悪い弓使い……アーチャー?


「あの……」


 私がそう声をかけると、美しい人は周りの景色が色あせるのではないかと思うほどの美しい微笑を顔に浮かべて見せる。


「なにかな?」


 その声はどこまでも穏やかで、温かみがあって、今さらながらに目の前の人がエルフであることに気が付いた。

 長い耳と、新緑を思わせる緑の瞳。明るいレモンシルバーの長い真っ直ぐな髪。そして、こんなに美しいのに、男だという不思議。これは、きっと間違いなくエルフだ。と思う。


「目、悪いんですか?」


 私がそう聞けば、彼は眼鏡のズレを直すように、指で少し押さえて見せる。


「そうなんだ。いい加減にアーチャーをやめようかとも思っているんだけど、一回でも的を外すことがあったらにしようとね。未だに弓にこだわってしまっている」


 そして、美しい人はそう言って苦笑いを見せると、私の横に腰を下ろした。

 この優しい雰囲気、そして、穏やかな声、そのしぐさ。そのどれをとっても、私にはとても好ましいもので、私は美しい人に顔を向けると。


「あの、私はグライブの友人を探しているんです」


 そう半ば確信をもって、美しいエルフに聞いてみた。

 すると、エルフは柔らかく笑みを深めてひとつ頷いて見せる。そんな彼の笑みと仕草は、私の考えが正しいという証明でもあった。



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