表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/32

不良の内心


ババァが死んだ。


その一言が俺の耳に入った。


人は生きてれば死ぬ生き物だ。

死にたくなかったら産まれてこなければいい

産まれたら確実に死ぬんだ。


ただ、その顔は綺麗で生きてた時よりも清々しい顔をしていた。

俺は2歳でそれを受け止めることがむずかしかった。

それは俺が死なないでいい事と施設に送られなくていい事を示していたのを知ったのは中学に入る時だった。


「お前のばぁちゃんなぁ『エス』だったんだよ」


父から言われた言葉は無情に俺の心を震わせた。


「エス……?」

『エス』と言う言葉に聞き覚えが無く父に聞き返した。


「つまりは『キメラ』の母親だ。あいつは……自分の母に対してあいつは酷いな俺の母さんはお前が健康に育つため『エス』になって政府からお金をもらってたんだよ」


俺のせいでばぁちゃんが死んだ。

俺のせいで……


小学校の時は喧嘩が強いが弱い者を守り強い者とは戦い

人間や『キメラ』を守ってきた。


弱かろうが人間だって『キメラ』だって生きている。

命ある者、死あるのみと思うが生きてる命がいらないわけではなかった。


ただ、ばぁちゃんが『エス』で『キメラ』を産んで死んだ。


そこから暴れた。家族にも迷惑をかけた。

中学の時に不良と言われるようになった。


誰も話しかけなくなった。誰も虐めなくなった。

虐めてるやつを見たら殴りかかってた。


『優しい』とか『キメラ』とか関係なく俺は何をしたかったのか分からなくなった。


ババァが死んだ。ババァが『エス』だった。


頭の中でそればかりぐるぐると回ってた。


『優しい』とは『生きる』とは『お金』とは


分からないまま中学3年になった。そんな時に転校生が来た。

それは『キメラ』だった。羊の『キメラ』だ。


俺の学校には『キメラ』がいなかった。

だから、最初は人気者だったがそれはいずれ日常になりその羊の『キメラ』は別のクラスで虐めになった。


それを止めるものは誰もいなかった。俺を含めて

無視をした。

でも、俺には関係ない。『キメラ』は虐められるものであり気にしてはいけない


高校生になった。

一歩、また、一歩、歩きながら「俺には関係ない。『エス』とか『キメラ』とか『虐め』とか関係ないんだ」と言いながら歩いた。


強かった俺は強かった『安藤智彦』という男は歳を重ねるにつれ弱くなっていった。怯えるようになった。


入学式の日、俺の目の前を歩くオドオドとした豚の『キメラ』の『木村悠』を見るまでは




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ