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豚という男3


人というものは食べ物を食べる。

『キメラ』も食べ物を食べる。


ただ、人と同じものは食べていない。

『キメラ』用のご飯を食べている。


人に嫌われるため人に殴られるため人にいじめられるための『キメラ』だ。

ただ、『キメラ』と同等の人間がいる。『キメラ』を産んだ『エス』という存在だ。


僕の目の前に『エス』の孫がいる。


僕が人の名前を言ってはいけないし関わってはいけないからこそ名前なんて知らないし知りたくもなかった。


ただ、前に呼ばれた名前は『安藤智彦(あんどうともひこ)』だった気がする。


ただのヤンキーで僕に声をかけた嫌なやつだった。


殴られる。蹴られる。パシリにされる。


そのヤンキーの叔母が『エス』だった。


「おい!!!大丈夫か?」

『エス』と聞いてから数分たっていた。


もう、放っておいてくれ俺はこの世界が自分の産みの親がこの制度が嫌いなんだよ。


「『キメラ』の分際で申し訳ございません。当分、構わないでください。」


僕は、いや、俺は学校に行かなくなった。


数週間後に俺の部屋のドアを叩いた者がいる。

誰だろう。管理局の人か宿舎の人かもしかしたら、学校の先生とか……


先生では無いか……『キメラ』なんて気味の悪いやつには好きこのんで来ることは無い。


「悠くん……」


女の声だった。しかも、この声は……


ガチャと扉を開けるといつもの帽子とは違いフードを被り上目遣いの南 春香さんがいた。


「『キメラ』には学校を行く資格は無い。けど、権利さえ無いのは間違いじゃないかってことで『キメラ』にも仕事や学校に行く権利をもらった。だっけ?私、あんまり頭いい方じゃないから社会の勉強とか知らないんだけど……」


どうして、そんなこと言うんだよ。人間のあんたに関係ないだろ。

権利とか知らない。知りたくもない。

『エス』とか『キメラ』とかこっちは頭がめちゃくちゃなんだよ。


「南さん……ごめん僕に構わないで」

ドアを閉めようとした。閉まらなかった。


南 春香さんが手を入れドアを閉めさしてもらえなかった。


「君のことは知らないよ!!!だけど、私だって寂しいんだよ!!!あなたがいなかったら……あなたがいない数週間がすごくすごく寂しかったんだよ!!!」


扉を無理やり開けて押し倒された。こんなに細い女性に押し倒されてドアを閉めてポツリと涙が頬に伝った。


「ごめんね……」

南 春香さんは俺の前で被っていたフードを脱いだ。

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