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血の塊は肉を食らう


部屋は暗かった。

ただ、ただ、暗かった。

寂しかったのかもしれない


寂しかったから『お金』で寂しさを埋めたかったのかもしれない


愛に飢えてたから殺してしまったのかもしれない


今やすべてが分からない……かもしれない


すべて……すべての俺の人生は『かもしれない』でできている。

かもしれない……


だから、確信が欲しかった。


今、わかるのはこの『かもしれない』の人生とここは暗いということだけだった。



「『1227番』、出てこい……面会の時間だ」

伊藤正和、元市役所職員 元安全保護キメラ課だった。



ー市役所6階キメラ課ー

「木村さんは最近、休んでるらしいですよ」


『木村悠』15歳 8月25日産まれ

親はおらず中学生卒業を期にシステム管理局から抜け一人暮らしをしている。

また、数ヶ月に1度の安全保護キメラ課への対応もちゃんとしていて『人間』の『虐め』にも『耐えている』と聞いている。


「そうなんですね……木村さんは優秀でしたから1ヶ月程の休息は必要だとは思いますよ?」


上司が言ったことで1ヶ月程は見守ることにした。


「安全保護キメラ課の伊藤さんっていらっしゃいますか?」

そこには女性がいた。ものすごく美人で俺は驚いた。


「はい……伊藤は俺です」


その綺麗な女性は悲しそうな声で言った。

「私の息子、いいえ、正確には養子なのですが『馬』の『キメラ』でして……名前が酒井一真と言います」


その『酒井』さんは『自分』の『子供』は『キメラ』と言った。

正確には『養子』だとも……

つまり、この人はシステムにより選ばれてない人で、なおかつ『キメラ』を『養子』にもらった人だと


「ここに来た理由は、別に『エス』ここで言う『システム』の方にお会いさせて欲しいとか身勝手なことを言いに来た訳では無いの」

その『酒井』さんのお話を聞きながら俺はパソコンをカタカタとしている。

ただ、仕事をしている訳ではなく『馬』の『キメラ』である。『酒井家』を調べ話を聞く前にどういうことなのかを調べたかったからだ。


ただ、分からなかった。

毎月、『酒井家』はお父さんが来ている。

そして、いつも変わらぬ雑談をして帰っていく


『酒井家』に行った。『馬』の『キメラ』はいわゆるサラブレッドと言われるような優秀な遺伝子を持つ『競走馬』の『馬』と『勉学』『スポーツ』ともに優れ『お金持ち』の娘さんがその父親である。会社の『不景気』から脱するため娘さんが勝手に考えたことだった。


つまりは、『家畜』ではなく『愛玩』ではなく

有り得るはずもない『偶然』からできた。


『キメラ』である。


『酒井』さんが叫んだ。役所の『安全保護キメラ課』通称『キメラ課』に響き渡る声で

「私の息子、酒井一真は殴られたんです。助けてください」


大丈夫です。『キメラ』が殴られることなど普通です。殴られて当たり前です。

だって……


そんな、言葉が出てきた。

でも、このことは言ってはいけない。この『偶然』の『奇跡』の『キメラ』を持つこの家庭には言えない。

そして、このお母さんの言葉の前ではそんな言葉は出なかった。


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