アイドルという名の悪夢
『キメラ』というものは人間の勝手で作り出された。
しかも、傲慢な人間達は人間が1番偉いと言った。
それなのに私はなんで、こんなところにいるんだろう。
「ゆきー時間よー早く舞台に上がりなさい?」
そう、私はアイドルだった。
誰も知らない。誰も知られない。『キメラ』のアイドル……
肌は白くまつ毛は長く目も鼻も口も整っていて人間だったら普通に人気者だったのだろう。
ただ、『キメラ』だ。うさぎの『キメラ』
私の母は『エス志願者』だった。
醜い第2種などでは無く第1種志願者だった。
しかも、第1種であれば動物は問わないとまで言っていたらしい
私は普通に産んで欲しかった。どんな醜い者よりも普通の人間に産んで欲しかった。
私の中にある最初の記憶は5歳の時のことだった。
親に大きな平手で私の頬を叩かれた。
「この痛みを忘れないでこの痛みよりも酷い経験をするからそれと、もしも、『キメラ』とバレたらこの痛みよりも苦しむ経験をする。だから、バレないで」
この記憶と頬の痛みを覚えてる。
1年が経ち小学生になったらもはや、子供と大人と言うよりもアイドル候補生とレッスンの先生のような立場
その10年後には現役アイドルの『城井兎斗』と死が隣合わせ『キメラ』の『山田雪』が誕生する。
16歳の私には自由など無く高校に行くことなど出来ずにアイドル業をしている。
ファンに愛されてイベントスタッフにも愛されてテレビ業界にも愛されて親にも愛されて私が『キメラ』では無くアイドルでも無かったら私はこんなに愛されていたのだろうか?
そんなことを歌って踊りながら考えていた。
この曲も踊りも6歳になってからずっと踊ってきたから別なことを考えながら踊れる。
私は産まれた意味とかあるのかな?
そもそも、こんな考えをしてもいいのかな?
こんな普通の人間みたいな人間様みたいな考えを『キメラ』がしていいのかな?
生きてるのが苦痛とか死にたいとかそんな、目の前の大勢の人間様が考えてくれる。
人間様の生きる意味とかを『キメラ』のアイドルの私にくれる
人間様の生きる意味を私にくれるが私自身の生きる意味は無い
「ありがとうございました!!!これからもみんなウトを応援してねー!!!」
手を振り舞台から降りた。
人間様になりたかった。『キメラ』なんかになりたくなかった。
少しだけ少しだけ願いを叶えることができるのであれば『エス』の母親を『キメラ制度』を作った国を
ー恨ませてくださいー