私が愛してと言ったから
「ねぇ、好きだよ。私は……」
2人はベットで裸で『愛し合ってた』
彼はタバコを吸いながら「俺もだよ……」と言った。
私の目を見ないで……
その後、2人で出かけた。『私』は『大好き』だった。
彼は……あなたは違うみたい。
好きだよ。大好きだよ。
世界の終わりに2人はキスをする。2人がキスをする時に隕石が落ちて終わり
みたいな映画を見た。あなたは私の手を握った。
嬉しかった。
でも、その握った手は私を繋ぎ止めたい手であって私を愛した手ではなかった。
「好きだよ。私は……」
『私は……』の後に残る喉の歪な『愛してる』を言いたかった。
「俺もだよ……」
そんな乾いた声が私の鼓膜を叩いた。
帰りは子供の話をした。
「ねぇ、もしも……もしもだよ?子供が出来たなら……」
大丈夫、大丈夫、だって彼はいつだって『優しくて』いつだって私を『愛してくれてる』から
私は知っていたんだと思う。現実を受け入れたくないんだと思う。
大丈夫……彼は、私を『愛してくれる』のだから
「子供……?」
「そう、子供!!!何人欲しい?男の子?女の子?」
彼は『優しい』『優しいの』
だから、子供が欲しいって言った私のことも……
『愛してくれる』はず
「子供?嗚呼、うん……いつかはね……いつかは」
ん?いつかは?
いつかって……いつ?
その後は子供の話をすることはできなかった。
私は親が嫌いだった。大人が嫌いだった。
20歳になる頃、私は大人になった。
文面だけでも年齢だけでも
実際は『子供』のまま
親のことが嫌いな私は私のことが嫌いな親と一緒に過ごし
子供は親のエゴだと思うようになり、親から『逃げた』
そんな私がだ。『子供』の私が……
初めて、私は『子供』が欲しいと思った。
『あなた』との『子』を……
子供なんて出来ない。育てられない。
そんなのはわかってる。
ただ、男の子だろうか女の子だろうか子供の産まれた時には大きな声で泣いて私や『あの人』を呼ぶのだろうか
『子供』が子供を育てることなどできないとはわかってるがそれでも、私は親のお腹から産まれた私は
『親』の『エゴ』で子供を産みたかった。
「……好きだよ。」
彼からの乾いた言葉、そんなのはわかってる。
その『好きだよ』の言葉に包まれて
私はー寝ー
痛い……
腕に刺された注射器は謎の液体は私に注ぎ込まれた。
私の中で、黒い、黒い、何かが渦巻いた。
「俺は、縛られたくないんだ。誰にも、何にも、」
ーだから、子供なんか産ー
私に流れたものは何か分からなかった。
ただ、あの人はそんなことを言う人ではないと信じてた。
『痛み』と『眠気』と『恐怖』に包まれ私はー
『親』となる。




