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豚という男4


俺は倒れた。上に乗っかっていた女の子はその時に好きな女の子だった。


「君は……なんで……」


目の前の南春香さんは長い黒髪をバッサリ切ったショートヘアで俺が1番驚いたのは人には……人間様には生えていない動物の耳が頭に生えていた。

「悠くん……悠くんのことが好きなの!!!」


急に好きと言われて俺は戸惑った。


「君、キメラだったんだ」

戸惑いを隠すために話を変えた。


「あ、うん……」

南春香さんは照れた顔で下を向いた。


「それで返事は……」


実は南春香さんを知ったのは高校の時ではなかった。

俺は彼女のことを忘れていた。


それは小学生の頃だった。


そこには猫のキメラがいた。

見向きもされなかった。


思春期と言われる。中学生、高校生の時期より下の未熟な心や未熟な身体を持つ小学生時代


俺は『南春香』と一緒のクラスだった。


その時は声をかけることをしなかった。

地味な女の子で可愛げもなく暗い猫のキメラの女の子だったからだ。


小学生と言えど産まれて十数年生きていれば嫌になるほど現実を受け止める。


キメラはキメラと話さない。キメラは人と話さない。

キメラは人間様にいじめられるだけの存在だった。


小学生でもカーストというのが存在した。

その頂点にいたのが『長谷川雪』という女だった。


ただし、そのいじめは陰湿で『長谷川雪』が命令したことだけされ『長谷川雪』の見ぬところでやると自然に止まった。

『長谷川雪』がターゲットにした者は人間だったが次は我が身と思い逆らうことは出来なかった。


そんな中でキメラの会話やキメラへのいじめがあると先生や他の生徒が守ってくれた。

ただ、それは『長谷川雪』の考えでありキメラへの情ではなかった。


キメラは忌むべき存在だからと嫌われ者だからとそう思いたかった。

キメラや人間など『長谷川雪』にとって関係なかった。


次のいじめのターゲットは『南春香』だったからだ。


最初は机に花瓶と花が置いてあった。

いつもは花瓶と花を片付け終わりだった。

初めてのキメラへのいじめだったからなのかいじめの存在を気にしないようにしてたからか片付けることなく授業をした。

それが1週間続いた。

そして、数週間続いたのが数々の暴言と『死ね』や『消えろ』や『学校に来るな』や『いなくなれ』などの言葉が机に書いてあった。


俺は学校の備品なのだから迷惑になるのは『南春香』ではなく学校の方だろと思いつつキメラの俺は口を出すことは許されなかった。


『南春香』は人間に怯えることなく戦ったと俺は思う。


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