視点
「ななー!一緒にやろー!!」
クラスの女の子たちが着々とペアを作り始める。なんでこう体育の授業は2人ペアを作らせたがるのだろう。
男女が別れた体育の授業では、私にペアを作る人なんかいない。クラスで唯一話せる友達がゆうきなのだ。
「ねえちょっと。末村さんどーする?」
「知らないよ。なんかあの子ちょっと変わってるじゃん。何考えてんのかわかんないしさ」
クラスメイトのこしょこしょばなしが聞こえる。気まづくなった私が離れようとした時、どこからか名前を呼ばれた。
「おーい!末村!」
振り返るとそこには灰伊先生がいた。ていうかなんで?灰伊先生は基本低血糖というかけだるげでこんな夏に外に出るなんてもってのほかだ。困惑している私をよそに先生はこちらまで小走りでやってくると
「先生とペアを組もう!」
と言った。
「ええー!ずるいよ末村さんだけ!!私も先生とキャッチボールやりたい!!」
クラスの女子たちが騒ぎ始める。そう、私にはよく分からないがこの人は割と人気なのだ。何故かと言うと"かっこいいから"らしい。私には理解できないが。
「でも先生。私キャッチボールとか下手ですよ?運動したいならもっとソフトボール部の子とかがいいんじゃ…」
女子たちから反感を買うのは面倒なので私はやんわりと断ろうとする。が。
「大丈夫だ!先生は末村の100倍は下手だぞ。運動はどの種目もからっきし駄目だからな。」
先生は謎に自信満々に言うと2人分のグローブを取りに走りに行ってしまった。
はぁ…