遭難者1号を好きになれ
2話!
2、遭難者1号を好きになれ
「ねえ、あれ人じゃない?」
そんな事を言い出す。
美夕が指を指したのは、少し行った所にある、大きな岩の所。
確かに。そう見えなくもない。双眼鏡を手に取って覗いて見ると、少女が居た。
美夕と同じくらいの、ツインテールが特徴的な少女。
「行ってみようよ。困ってるんなら、助けてあげたいし」
加速し、どんどん近ずいた。ツインテールの子も、こちらに気づき、大きく手を振った。
美夕も振り返した。
「乗って」
「いいの?」
「その代わり、仲間になって」
「うん!なるなる!」
ノリノリでそう言って、船に乗った。
「名前は?」
「私、記憶喪失なんだよ・・・」
寂しそうな声で話した。
さっきの明るい声とは、全然ちがってる。
「じゃあ今日から、1号だ」
「いいね~ソレ。船長さん」
「キャプテンだ」
地図をポイっと投げ、自分でも見る。
「どこいく?」
地図を見つつ言う。
1号は、うーんどうなるほど、考えている。
リーダーは、船に慣れて居ないため、酔っている最中だ。
「船長〜お腹空いた」
「えー」
「このさー・・・満腹島いこー」
「いいよー」
満腹島は、ここから近いのでまぁ、とりあえず安心。舵をきり、双眼鏡をのぞく。
満腹島には、沢山の果物があるらしい。
確かそう書いてあったはずだ。
「船長〜リーダーがー」
「なに?」
「吐いたー」
「リーダー!?」
幸い、バケツに吐いたようで、リーダーの横たわっている姿がある。
1号は暇そうに窓を眺めている。
(こんなんで大丈夫かな)
そんな事が頭をよぎり、ハッとして頭を抱える。
こんなんじゃ、大冒険出来ないよ!
自分に言い聞かせる。
そうしているうちに、満腹島が見えてきた。
「船長〜!アレが満腹島?」
「そうだよ」
「リーダーがアレだから手伝ってね。」
「はーい!」
敬礼をし、元気に返事をした。
そして私の横に来た。
ワクワクしているのが、見なくても分かる。
「何するの?何するの?」
「イカリ落として」
「重い?」
「重い。」
即答すると、1号はまぁ、そんなもんか。とつぶやいた。
「イカリ落として」
「OK」
「出来たー」
と言いながら、手をパンパン叩いた。
やはり重かったようだ。
「リーダー起こそっか。」
「リーダーおーきーてー!」
「ぅぅぅ・・・」
「着いたよ」
リーダーはよろよろと立った。
立ってから、フラフラしていたので、リーダーの体を1号が支えた。
リーダーが落ち着いた頃、果物が何処にあるかは、把握していた。
1号が取りに行ってくれている。・・・はず。
リーダーも、歩けるくらいにはなっている。
「リーダーも行くか?」
と聞くと、こくりと頷いた。
蜜柑、葡萄、林檎、檸檬、苺に桃。
見渡す限り、全て果物。
スターフルーツなどもある。
カゴはあるので、リーダーにも渡した。
「よし、集められたら此処に集合な!」
「OKにゃん」
ーそうして10分後ー
「いっぱいあって迷ったよー笑」
「イチヂクって、食べたことにゃいんだよねー」
「おー、結構あるな」
これなら、生きていける。
-にゃー
唐突に聞こえる、猫の声。
「今の、美夕か?」
「違う~」
「見て!あれ!」
ちいさな黒猫が、こっちをじっと見ている。
体が小さいのに、金色の瞳がすごく大きい。
「おいで、ネコちゃん」
「ミャ〜」
警戒もせずに、1号に懐く
「お前は、苺丸だ!」
「えー、やだー」
「1号、あのね、船長はネーミングセンスがないの。許してあげてね」
「わかったー。いちご丸ね。」
嫌そうだが、気にしない。
美夕がいちご丸を撫でようとすると、いちご丸が噛み付いた。
美夕の指から、血が垂れる。
「ダメでしょ、いちご丸ー」
「みゃーぉ」
反省しているのだろうか?
いちご丸は1号に飛びついた。
相当懐いている。
「なんで私だけ・・・」
「だ、大丈夫だよ・・・」
苦笑しか出来ない。
いちご丸の肉球は、赤色だった。
(思い出した!)
「船がいい?ここが良い?」
「船?」
「何が?」
ー2分後ー
「「わああーー!!」」
と、感嘆の声をあげる2人。
私は衣装を渡したのだ。
セーラー服のような衣装。
1号はスカートでピンク。
リーダーはキュロットで青。
私はキュロットで黒。
後、3つある。
どんな仲間になるか、楽しみだ!
ありがとうございましたー!