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作者がママチャリで日本一周して、三回死に掛けた話。  作者: 84g
・夢乗せて、放て鋭い岩手編
9/87

【岩手】【二〇一六年 五月一八~一九日】 ・さらば! 岩手県!

【二〇一六年 五月一八日】


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


「( ゜Д゜) 今、五月なんですけどおおおおおおおお!?」


 暗くなろうとしている中、焦燥が迫ります、が、そこは冷静な84g。

 今の今まで入浴していた施設が宿泊も兼ね備えていたことを思い出します。

 背に腹は変えられない。出費は痛いものの、野山の中で夜明かしは避けたい。

 というわけで、Uターンして受付に行きます。


「(;´Д`) すいませーん、予約してないけど今夜泊まれたりしますー?」

「(´・ω・`) 満室です」

「(;´Д`) マジっすか」

「(´・ω・`) ……どうかしましたか?」

「(;´Д`) いやー、アテにしてたキャンプ場がやってなくてですね……」



 なんとなく空気を察してくれた従業員さん。

 入浴しているので休憩スペースでは休んで良い旨を伝えていただくが、それでも一晩はもちろん無理。

 ここで少し眠って、一晩夜行するか……!? そんな危機感しかない状況で、他の従業員さんから、その発言は来ました。


「(´―`) あのキャンプ場、営業期間中以外も泊まっている人、多いみたいですよ?」

「( ゜Д゜) え?」


 ――その発想は無かった。


 ルール違反してまで泊まりたくはないが、とにかくキャンプ場に一度行ってみることにした。

 すごく近所だし、移動すると決めたなら行って戻るくらいは関係ない。

 どっちみち、キャンプ場に泊まれなければ夜間の山中移動が決まってしまっているのだから。


挿絵(By みてみん)


 重い身体を引きずり、そしてキャンプ場に到着、すると、立ち入り禁止の看板などは無く、トイレとかは普通に水が流れているし、電気も灯る。

 あれ? って思いつつ、その周囲を確認すると、それはありました。


挿絵(By みてみん)


「( ゜Д゜) ををををををを!?」


 つまるところ、このキャンプ場は【オフシーズンは管理人を置きたくないから営業しない】ではなく、【オフシーズンはセルフサービス】ということだったのだ。

 確かに立ち入り禁止にしても勝手に入るヤツは居るでしょうし、トイレを禁止してその辺りでされても困る。


 この対処はかなり正解なんじゃないだろうか。

 ぶっちゃけ自分のような野宿族人にしても管理人さんに常駐して頂く必要も無い。

 テントを張っても通報されず、トイレだけ使えれば良いわけで。

 というわけで、この営業スタイルを頑張って欲しいので、清掃代二〇〇円どころか一万円を入れちゃいますよー! 頑張ってね!


「(´・ω・`) まあ、気持ちだけね」


 実際にちょっと多めに入れましたが、流石に万札ポロ、は無理でした。

 ――それにしても。


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


 この景観を、今晩は俺がひとり占め。うーん、贅沢。

 さっきまで野宿先が決まらずに疲弊していた反動か、非常に元気が出ます。

 ちなみに、テントの設営中に近所の子供らしい兄弟が釣竿を持って通り過ぎましたが、ノーリアクションでした。

 どうやら彼らからすれば、薄汚いキャンパーはいつもの光景らしいです。

 彼らにとっては、この景観も、オフシーズン中のキャンパーも、どちらもなんでもない日常なのでしょう。ステキ。


 さて、トイレは使えるとはいえ、コンロとか使って調理場を汚しても気が引けますし、何よりお世話になったので、この日はさっきのお風呂屋さんのレストランでディナーを頂きます。

 テントを設営してから、荷物一式を下ろして軽くなった相棒でレストランへUターン。

 疲れはありましたが、自転車から久しぶりに装備を全て外したこともあり、坂道もサクサク登れる。

 なんだろう、“ターバンやマントを外したピッコロさん”状態。

 古い例えかな? 通じる? どっちかというと亀仙流の甲羅?

 とにかく荷物を付けて漕いで下肢筋力が発達しているらしく、坂を苦も無く登れます。


挿絵(By みてみん)


 何やら不吉な看板を確認しつつ、あっと云う間にさっきのお風呂屋さんこと、きのこ屋さんに到着。

 受付の従業員さんになんとかなったことのお礼を伝えてから、レストランに向かいます。

 待っている間、テレビでは盛岡で開催される数年に一度の楽天公式戦のニュースをやっています。

 普代村でプレゼントキャンペーンをやっていた試合ですね。そのニュース。

 今日はレストランを出てからもゆっくりワンセグで野球が観れそうだと思いつつ、温泉レストランによくある新聞をチェックする……すると、地上波ではやってない!


「(´・ω・`) ハァ?」


 そのとき、近くの机でビールを飲んでいたサラリーマン風の方々の会話が耳に入ります。


「今日は盛岡で試合やってんですね」

「大谷翔平と菊池雄星の投げ合いとかだったら観たかったけどね」

「ふたりとも別のチーム(※当時は日ハムと西武)じゃないですか。

 楽天とオリックスって岩手のヤツ、誰も居ないんですか?」

「んー、知らん」


 銀! 次! が! 居! る! わ!

 ちょっと延髄切りかドロップキックでもかましそうな状態でしたが、辛うじて抑えます。


「(; ・`д・´) おのぉおおおれ、岩手県……!」


 やはりまだ仙台楽天ゴールデンイーグルスにすぎないとでも云うのか……!

 東北楽天ゴールデンイーグルスではないというのか!? おのれええええ!

 やっぱりアレだよ! 毎年盛岡で一カード(三試合)くらいやるべきなんだよ!

 宮城でばっかり試合やってるから、仙台楽天にすぎないのだよ! 東北って六県有るんだよ! 六県で試合しろよ!


 岩手が嫌いになりそうだぜ!

 そんなことを考えている中、注文していたメニューが届きます。


挿絵(By みてみん)


 きのこラーメン。地物のシイタケの乗ったラーメンですね。

 岩手の地物のシイタケがなんだって云うんだ、銀次やイーグルスを評価しない残念な県の地物なんてイライラするぜ……。

 そんな風に思いながら口に運ぶと、おや?


「(*´ω`*) んまーい」


 肉厚なのに雑味が無い。飲み込んでからも口の中に幸せが残るシイタケ。

 スープと麺が香りを阻害しないし、一緒になって幸せが広がる感じ。

 岩手大好き。続きまして。


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


 きのこバーグ。

 シイタケとお肉のハーモニー。ご飯何杯だって食べられるように美味しい。お代わりしたい。

 アイラブ岩手。海の物も山の物も美味しすぎる。何を食べたって好き。

 こんな良い所で育っている人が悪い人とか居るわけないよねー。

 銀次の出身県だしー。これからもっと岩手にも届くくらい楽天イーグルスを啓蒙していかなきゃいけないよねー。

 アイラブ岩手県。これから本当の“東北”イーグルスにするのはチームの仕事、そしてファンである俺もチームの一部であるはず。

 イーグルスを真の東北のチームにするまで応援し続け、ファンの名誉を汚さぬため、頑張って生きねば。


 そんなこんなで最高の夕食を食べ終わり、テントに戻ります。

 その途中、再び不吉な看板の前を通り過ぎます。


挿絵(By みてみん)


「(´・ω・`) そういえば、食べ物の匂いがするとケモノが寄って来るって聞いたことがあるような……?」


 俺の身体はシイタケの香ばしい匂いがしています。

 あれ、これ、もしかしてヤバイか……? そんな不安が頭をよぎる同時に、背後に野生の気配が! しまった!


挿絵(By みてみん)


「(^◇^) にゃーん」

「(Ф∀Ф) (バカな人間が居るなァ)」


 この日はラジオで野球を聞きながら、ゆっくりと眠ります。

 ……あ、ちなみに、野球は惨敗でした。うーん、この、宮城イーグルス。






【二〇一六年 五月一九日】


挿絵(By みてみん)


 グッドモーニング世界! 最高の朝ですね!

 昨日のレストランはまだやっていませんし、缶詰でも食べて出発しようと思います。

 結局、熊とも遭遇せず、無事に出発できそう。そう思いながらカンヅメを開けますが……?


「(´・ω・`) そういえば、食べ物の匂いがするとケモノが寄って来るって聞いたことがあるような……?」


 俺の身体は焼鳥カンヅメの香ばしい匂いがしています。

 あれ、これ、もしかしてヤバイか……? そんな不安が頭をよぎる同時に、背後に野生の気配が! しまった!


挿絵(By みてみん)


「(^◇^) にゃーん」

「(Ф∀Ф) (朝からアホな人間が居るなぁ)」


 ちょっと、カワいくないですか、この子。

 まあ、でもね。野良にゃんこさんは病気持ってたりするし、撫でたり、ましてや餌をあげたりしたらダメですよ。

 いや、ダメですって。人間に慣れたりして自分で餌を摂れなくなったりしたら、本当にダメですって。

 あ、ああー、缶詰を開けたー、あー、でも手、手がすべったー。

 もうビックリするくらい滑ったー、もう不慮の事故。完全に不慮の事故で手が滑って、缶詰を猫さんの目の前に落としてしまったー。

 これは事故だから仕方ないぞー、うん、全然事故ー。


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


「(*´Д`) ひ、人はどこまで愚かであり続けるのか……僕の朝食、缶詰はにゃんこさんの朝食に……」

「(Ф∀Ф) (ごちそうさーん)」


挿絵(By みてみん)


 最高のキャンプ場とにゃんこさんに別れを告げ、84gの旅は続きます。

 少し出発は遅れましたが、それでも問題なく、目的地に到着です!


挿絵(By みてみん)


 第三の県! 青森!

 岩手県。自然が有り、美味いモノがあり、人が優しい、銀次のように最高の県で名残惜しいですが、これにてサラバです。

 そして、今日から新たな冒険が始まるのですが、その冒険は、青森ではなかった……?

 以下、次号を待て!



 当作品はノンフィクションですが、構成の関係で写真の順番はちょっと変えてます。

 撮影順と掲載順は、意外と順不同ですね。


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