【岐阜・滋賀・京都】【二〇一七年 六月十二日~十四日】 行ったり来たり、第二四・第二五の旅!
【二〇一七年 六月十二日】
ネカフェから起床後、二人組チャリダーさんとすれ違ったり、タイ人の東京から来たチャリダーさんに追い抜かれたりするくらいで特にイベントらしいイベントのないまま彦根へ。
……いや、まあまあ事件なんだけど、琵琶湖周辺でチャリダーさん増えてるのよね。
北海道とかに比べると少ないけど、日本単位だとかなり旅人多いよね。
到着するなり昼寝したので、今日は彦根観光で終わりの予定。とりあえず自炊用のスパゲティが無くなりそうなので大型スーパーへ。
すると。
普通に買い物をしていたら、我が東北楽天が誇るエース、ノリこと則本昂大のポスターと遭遇。
滋賀県出身で、当時二〇一七から、これを書いてる二〇二二年までエースとしてイーグルスを牽引している大投手です。
自炊しようかと思ったけど、食っていくことにする。
タコチャーハン。うまし。
チャリに戻ると、俺のチャリの周りで中学生? 高校生?くらいの子が喋っていた。
まあ珍しい装備だし、ママチャリだし目を引くよね。
その子たちのイントネーションが、まんまノリと同じイントネーションでほっこり。
その後は彦根見物。ういろう食べたり、アナゴ天そば食べたり。
そのあとはぶらぶらして大き目の公園でテント野宿をしていると、テントの外から声かけられた。
いわく、朝一ゲートボールをする人が居るから野営は不許可とのこと。ならベンチでなら寝てて良いか確認するとそれもダメだと云う。
浮浪者対策だが、そう伝えて俺とトラブルになるのを避けようとして、発言が矛盾していることが語気でなんとなくわかった。
……この人も夜まで労働だから誰も悪くない。ていうか俺だわな。
もちろん、事前に役所なりに確認を取っていない俺の落ち度なんだけども、事前にそんなことを確認しながら旅をする人間がどこに居る、という気持ちはある。逆ギレの自覚はある。
繰り返すけど、どう考えてもこの人は悪くない。心情的にはモヤる部分はあるが、どう考えても悪いのは俺である。突っついて藪蛇になるのも嫌だし。
彦根は観光都市だし、関西圏だから色々有るのだろうと思いつつ、先行きを不安視しつつ、ネットカフェへ移動する。
「( 学Д生) もしかして、旅人の人ですか?」
「( 8Д4) ふえ?」
ママチャリの背後から声が掛かった。
学校帰りの学生さんなのは分かった。例によって心地よいノリと同じ滋賀イントネーションだ。
「( 学Д生) 旅に興味があって……あ、自分も琵琶湖一周とかはしたんですよ」
「( 8Д4) すごいっすねー! 琵琶湖もいいとこだし、うらやましいっすー!」
ネットカフェに到着するまでの短い距離だが、楽しい雑談だった。
もやもやも消えていた。やはり俺は人に恵まれる。
【二〇一七年 六月十三日】
ちょっと寄り道して湧き水を補給。
見えにくいけど賽銭箱設置。
ちゃんと使ったら入れようね。設備維持でお金掛かるんだから。
カンカン照りの琵琶湖周辺を回り、甲羅干しをする亀さんや不思議なキグルミに遭遇。カワイイ。
名刺もいただきました。
※名刺はあとで撮影。
野菜の直売所に立ち寄る。スイカが美味しそうだったが一玉買ってもどうしようもないから買えないけど、試食用をいただいた。
本当に人の善意で生きてるな、コイツ……。
さすがに買い物ナシは申し訳ないし、手裏剣に刺して焼く用のニンニクを購入。
景色を楽しみつつ前進。
どうでもいいんだけどさ。
焼きそばUFOの新商品買ったら、蓋の上で温める袋と蓋の上で温めちゃいけない袋入ってたんだけど。
それ、もうちょい分かりやすくしてもらっていいすか?
(どっちも温めた)
サンザシ(さっきツイッターで名前教えていただいた)やご当地コーラを飲んでいると、
日本一周シンガーソングライターライダーさんと遭遇。
情報交換をしつつ、ギターを交えて曲を聞かせていただく。芝生のフカフカした公園スペースが有って幸せな一日。
【二〇一七年 六月十四日】
昨日から声が聞こえていたウシガエルと遭遇。声がマジで牛。サイズも俺の頭くらいある。
ただの田んぼの用水路なのに、めっちゃ動物居る。
関西、やたらに亀いない? 東北とか北海道で野生の亀ってほとんど見たことないんだけど。
途中、相棒の生みの親であるサイクルメイトあさひへ。
走ってて違和感が有るのでスポークをチェックしてもらうと、スポークではなくタイヤのガワの減り方が均一でないせいらしい。
後々確認してみると、左右サイドバックの重量が一キロ以上違っていた。
計りではなくダンベルのように上げ下げしてだが、感覚で違うレベル。
また、以前にパンク修理時に切ってしまったリムバンドも相談するが、既に売り切れ。
すると、『ああ、なら差し上げますよ。何本必要ですか?』と販売用ではなく修理で使う用のリムバンドを無料でくれた。
スポーク修理もしてないし、結局この店でお金使わなかったけど、率直にありがたい。
関西ではリムバンドを売っている店が少ないし助かった。どこの店とか書くと迷惑掛かるから言わないけど、ありがとうございます。
そして、歩行者進入禁止の道路を越え(軽車両はOKだったのでずっと乗りっぱなし)、京都へ。
もちろん、初動で背油系ラーメンを食べる。
京都といえば、といわれば、そう! もちろん背油系ラーメン!
京都の代名詞よね。京都の代表的料理にして代表的観光資源。
バカうめぇ! 京都ラーメンといえば仙台でも天一や魁力屋でも大好きなフレーバー。
本場といえば食いつくさねば! 本場だからね! と、いつもの食い倒れモードが発動しかけたが、
「( 8Д4) ぐふほぁぁっ!? なにこの臭い!?」
京都駅前でかなりダメージを受ける。
まず、自転車が乗れない。押し歩き推奨の文字。
更に人が多すぎてUターンもできず、身動きが本当にできない。
そこまでならまだ耐えられたのだが、観光客が多くて化粧品の匂いがキツい。
世界各国からやべぇ香料の化粧品の人が来てるんじゃないか、というくらい混ざってヤバイ。
人に酔って吐き気がする。
俺の体質なんだが、化粧品の化学薬品の匂いに過剰反応するらしい。
吐き気が収まらない。引き返せれば良かったんだが、思考が正常じゃなくなるレベルでツラい。
更に観光客の目の付く位置に子犬を置くペットショップが複数有ったり、かなりストレス。
もちろん法律上はペットはオモチャと同じだから構わないんだろうけど、観光地で子犬側のストレスを考えていない配置は好きになれなかった。
化粧品の臭いで、食欲と五感がかなり麻痺してる。
歩いていても食べ物がどれが美味そうでどれが不味そうなのか判断できない。最悪。
逆に、なんで他の人たちはこの空間で平気なんだレベル。
ここまで東京とか仙台より人が多い空間はキツかったが、それが顕著だった。
しんどいよー、こんなところに居たくないよー、やだよー。
ここまでのワースト観光地は自転車移動がキツく、人に酔ってしまった東京だったが、京都駅周辺がブッチギリでワーストに。
この日だけ偶然だったのかもしれないが、マジで臭いに過敏な人は京都駅周辺は無理じゃないかってレベルで臭かった。
ただ、京都に良い所がないわけでもない。
周囲の鴨川は野生動物の宝庫。山から降りて来た鹿、飼い主が無責任に捨てたヌートリア、野鳥が数多い。
ヌートリアを捨てた無責任な飼い主が居るのも京都なのかもしれないけど、長い間、この河を維持管理してきたのも京都。
明日にはこの町を出て行くし観光もしない、つうか、できない。
京都駅前みたいなのがあるとマジで吐く。
トリマー店がある割にペットショップが胸糞だったりもしたし、マジで駅前を歩きたくないし、自転車が行動不能になって追い込まれるのも困る。
もう二度と来ないけど、鴨川は本当に好き。京都は正直、二度と来たくはないけど、鴨川は好き。
【二〇一七年 六月十五日】
力技で下に下ろしたチャリを、例によって力技で上に戻す。荷物を降ろせば内の相棒は軽いんです。
朝から野鳥がカワイイ。
京都から脱出して琵琶湖一周へ戻る。
名前もガイドも無い謎の石垣。地図や周辺にヒントもない。
正体不明だが二一世紀に作られた物ではなさそう。誰かがいつか作った何か。忘れ去られたちょっとした石垣。
水汲みか何かの用途か? それともここも急斜面だから古戦場だったのか?
そのまま進むと足湯に遭遇しますが、やってない。アンラッキー。
足湯のやっていない店を利用する必要もないし、そのままスルーするがふと目に入るポスター。
あら、滋賀から生まれた東北のエース。
まあ、ポスターが張ってあるくらいでこの店を利用するわけが……。
有るんですねー! 焼肉丼美味いー! さすが則本のポスターが張ってある店だ! 滋賀の誇り!
……まー、はい、そういう構造の頭をしてます。
オヤツや景色を楽しみつつ、前へ進む。
道の駅でタコ飯! 鯖寿司!
……食事は美味しかったものの、巣立ち直前で巣から落下してしまった燕がカラスや猫に襲撃される現場に遭遇。
自然のことだから仕方ないけど、やっぱり悲しいもんは悲しい。さっきまで元気にピーピー言ってたのに。
瑣末なことといえば瑣末なんだろうけど、こういうことを繰り返して人は大人になるんだね。
まあ、俺、とっくに成人してるんですけど。
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