【静岡~愛知】【二〇一六年 十月八日~十月十三日】 限界ツアーIN俺
【二〇一六年 十月八日】
ネットカフェで休むが、いくら眠っても体力が戻っていない。
全く集中できておらず、ブログの更新も小説の執筆もできない事態ではあるが、気合を入れる意味でも観光でも、浜松ということでウナギを食べる。
人生ではじめてちゃんとした店で鰻を食べるが、他に食べていたお客さんが目を引いた。
“たまの休日に認知症の母親を連れてウナギを食べに来た孝行息子”だわ。
一応、プロの介護員なので、経緯や状況が推察できてしまった。貰い泣きしそう。鰻の味に集中できない。
認知症の状態からして、一緒に気軽に外出できる回数はもう、そう多くはないと思うし、お母さんはすぐ忘れてしまうかもしれない。
けれど、これは。きっと、大事な一瞬だと思った。
……。
………。
…………。
「( 8Д4) いや! 鰻に集中させてくれよ!」
いやしかし、集中できないながらもウマかった。
そして鰻屋さんにお土産にお茶を貰った。さすが静岡。
その後、スーパー銭湯で時間を潰そうとするが、風呂に長時間入れなくなっていた。
広々とした外湯が有り、良い銭湯だったのだが、入っているとお湯の中でバクバクと心臓が速くなり、意識が遠のく。休憩スペースで眠ろうとするが、三十分~一時間ほどで覚醒する。
【二〇一六年 十月九日】
疲弊しながらも、浜松に来る機会は人生でそうないだろうし、浜松っぽいメニューを食べる。
やはりギョウザ。んまい。
ビールも飲みたくなるけど自重。
皆さんはご存じないかもしれませんが、俺の移動手段はママチャリなのですよ。
飲酒運転にさえならなければ飲むんだけどねぇ。気合が入ったので移動します。
頑張ったが、三十キロも移動できなかった。
体力低下が顕著に見られている。向かい風で思うように進めない。
やや下痢気味、躁鬱などはないが睡眠障害が強くなっている。脳がダルいのに入眠できず、寝ても眠りが浅い。
なんとか到着し、の道の駅のベンチで休ませていただくことにする。色々と、限界が来ていた……重度の病気なら、仙台に戻ったら、もう旅は再開できないかもしれない。
長期の療養生活になるかもしれない。バセドー病はそれくらい恐ろしい病気。
家族が発症したときに見てきたが、手術が必要になることもあり、治っても一生付き合うことになるかもしれない。
これが最後の野宿になるかもしれない。
そう思いながら見る空は、涙がでるほど、キレイだった。
【二〇一六年 十月十日】
スゴイ状態で眠りにつき、覚醒したものの、出発は朝一ではなかった。
ここ数週間、ずっとそうなんだけど、“動かなくて良い理由”を無意識に探していた気がする。
今回もこの道の駅でカネを使っていないこと、そして“気になりすぎる”メニューの看板に惹かれて、出発が遅れた。
……でもまあ、体調不良がなくても、これは食べていった気がする。
腹が緩くなっているにも関わらず、ソフトクリームをふたつ食べるという暴挙に出る俺。
いや、これは食うでしょ……。
しらすソフトとウナギソフト! どっちもネタかと思いきや、ちゃんとバランス取れててウマい。非常にオススメです。
疲れ切った状態ではありますが、食いの道の駅まで到着。
イノシシ肉の生姜焼き定食。
はじめて食ったけど、思ったより脂が少なくてシャープな味わい。
野生動物繋がりだからか、豚よりも北海道で食った鹿に似てる気すらする。
長距離の移動はできず、ネットカフェで野球観戦をしながら休んだ。
ネットカフェ泊も、もう最後かもしれない。
同じネットカフェに何泊したところなんて何度かしかないけど、
それでも共通の懐かしさというか、不思議な感慨があった。
【二〇一六年 十月十一日】
にんにくラーメン食って気合を入れ、なんとか移動して糖分補給。
アン巻き。んまい。
なんか関ケ原の史跡見学したりしてたら、通りすがりのお姉さんに声を掛けていただく。
「(*´Д`) あら、あなた、旅してる人?」
「(8∀4) はいー、ノビノビやらせていただきております」
「(*´Д`) だったらこれ、あげるわ。あそこの銭湯の割引券!」
「(8∀4) え、良いんですか!?」
「(*´Д`) 私は今行ってきたばっかりだから。あと、これから下呂温泉とか、行く?」
少し、悩んだ。時間にして一秒無いくらいだと思うけど、間違いなく悩んだ。
この病気がバセドーなら、旅が中断する可能性もあったけど、それでも、俺の中でどんな病気も乗り越えていつかは日本一周をすると、決めている自分がいた。
「(8∀4) はい、行きます! 日本一周ですから!」
「(*´Д`) なら私の名刺もあげる。私、下呂市の観光大使やってて、これを持ってると下呂市で割引されるよ!」
「(8∀4) なにからなにまで……ありがとうございます!」
出会いは宝。
必ず日本一周しよう。というわけで割引券ゲッツ。ありがたく使わせていただきます。
三五〇〇円の飯付き入場料金が、一九〇〇円ですって!?
ネットカフェで一晩泊まると二〇〇〇円くらい掛かるし、それでも時間をどっかで潰さないといけなんだけど、二四時間営業のスーパー銭湯に昼過ぎからノビノビ入っててこの値段で良いの!?
飯付きってのもありがたい……好きなものはたくさんあるけど、嫌いなメシは全くない人間なので、出されたものは美味しく食えるんで助かります。
いや、ちょ、ええええええ!?
豪勢な晩飯キタァアアア!?
え、鰻茶漬けだよ!? 二千円とかするんじゃないのか!?
毎度のことながら、84gは基本的に通りがかりの方々の善意によって生存しています。
映画館もあるよ!? ちょっとタイトル一昔前のやつだけど、大画面で映画が観れるのか!
しかしながら、無料マンガ図書館も完備とのことで、そっちで読みまくることにする。
時間を気にせず、ゴロゴロできるのがスゲェ助かる……ありがとうございます……。
【二〇一六年 十月十二日】
一日ガッツリ休み、今日はフェリーへ搭乗する。
結構メシが高いので、気軽に食える値段のカレーと、北海道でお馴染みのガラナで出発を待つ。
フェリーの船内には、ハイボールのキャラクターで有名な柳原良平さんの直筆イラストあった。
イラストにも惹かれたが、日付に驚かされた。二〇一一年の三月十一日。
そう、震災のあった、正にそのときだった。注意書きもあり、偶然、当時のイベントで書いていただいたものらしいです。
不思議な高揚感が、あった。
んで、フェリーの中ではショートしてアイリッシュハープとフルートのコンサートとかが聞けるらしい。最高じゃないか……。
コンサート二本立て。退屈しなくて良いねぇ。
【二〇一六年 十月十三日】
朝飯は、外を眺めながらのお財布に優しいオニギリ。
昼飯はちょっと贅沢してバイキング。
空と海がキレイすぎる中、仙台に二度目の帰宅を果たしたのです。
ただいま。ふるさとよ……。
これにて、二度目のスタートは終了となります。
一度目で宮城から岩手、青森、北海道、秋田と大型県をクリア。県の数は少ないものの、それぞれが大型なので結構時間がかかった感じでしたね。
第一の旅・宮城
第二の旅・岩手
第三の旅・青森
第四の旅・北海道
第五の旅・秋田
第六の旅・山形
そして、今回は二度目の出発でした。
第七の旅・福島
第八の旅・茨城
第九の旅・東京
第十の旅・埼玉
第十一の旅・栃木
第十二の旅・群馬
第十三の旅・山梨
第十四の旅・千葉
第十五の旅・神奈川
第十六の旅・静岡
第十七の旅・愛知
日本地図見てもらうと分かりますけど、一回目の出発で総距離の四割くらい行ってない?
北海道から宮城までの直線距離が結構エグイんだけど、六県……?
二度目の出発では県の数は稼いでいるものの、移動面積は北海道ひとつくらい? 関東小さすぎ問題。
終わっていないのが日本海側の山形より下、太平洋側の愛知より下となります。
未踏の県はこれで残り三十。しかも愛知と山形はほとんど観光できていません。
果たして、84gは復活して南側を攻略することができるのか?
以下、次回!
感想、いいね、読了ツイートなどお待ちしています。
反応がないと虚空に向かって小説を投げつけているのかと脳が錯覚するので。
読者さんの反応が、他の趣味に使う時間を小説に向けさせるモチベーションになるのでよろしくお願いします。
(意訳・続きが早く読みたいときは応援してね!)




