【栃木】【二〇一六年 九月三日~五日】 十一の旅はグルメ都市佐野、そしてエンドレスパンク。
【二〇一六年 九月三日】
到着佐野市! はい! カケツケ一杯!
意味間違ってる? 知ってる! 確信犯です! 確信犯も意味間違ってる? 知ってる!
佐野ラーメン!
アッサリ風味の完成形というか、食べやすい方向に向かっているんだが、麺がどっしりと自己主張。
これはうめぇ。佐野ラーメン風ラーメンを後々にいくつか食べたけど、別物だった。
そっか。さのまるって佐野市のキャラか。
当たり前だけど当たり前じゃなかった。来てみて実感することがいっぱいある。
まだまだ腹が空いてるので、佐野ラーメンの二軒目を探してると、
「(´∀`) 旅してる人ですかー?」
「(8∀4) そうでーす」
学生風の方々に声を掛けられる。
写真がOKかとか聞かれたりする。無断で撮られることもしばしば有るので、顔だしでネットに乗せたりしなければ全然OK-。
つーか、有名人でもないんで、写真撮っても仕方ないんだけどねー。
その彼らが食べていたファストフードを発見し、雑談しつつ注文する。
イモフライ。
ゼリーフライを食べたばかりで似たのかと思ったが、あっちはコロッケの中身だけ揚げたようなもんだったが別物。逆。
串カツとかの系列の衣に、角切りにしたジャガイモが“そのまんま”入ってる。
これ、すげぇ発明。ジャガイモって元々、蒸かしても茹でても美味しいんだから、そりゃ揚げて中がホクホクならウメェんだよ。
風味の豊かなコロモに、ホクホクの食感。え、なにこれ。ゼリーフライとは全く違う。
地理的にはすごい近所なのに、全く別の形態。
北海道のイモモチとかは、ジャガイモが北海道の食べ物だから発生の経緯がなんとなく想像できるが、
なんで関東圏でジャガイモがこういう進化を遂げたんだろう? 不思議。
んで、佐野ラーメンを目指して移動していると、不可思議現象が襲い掛かる。
発見した謎メニュー、大根そば。
ざるそばに、大根を、乗せている……。
味は、そのまんまである。想像している通りである。いや、美味いよ。良いそばだよ。大根も均一に切ってあるよ。
「( 8Д4) ……なんで、乗せた……?」
聞いた話によると、「食料難の時代にそばが足りず、大根で嵩を増した」らしい。
(84g調べという責任逃れ)
……。
……。
……。
味は、想像している通りだよこれ。ウマいんだけど、こう、大根をそばに乗せた味がする。
名物料理としてそれは良いのか……?
マズいもんじゃない、ウマい、ウマいんだよ……けど、こう、さあ……?
次なるグルメ、耳うどん。
耳型に整形してある、うどん。
写真だと分かりにくくて恐縮なんですが、本当に耳の形にしてある。全然冷めないし、重厚感ある。
耳を食べると神様の耳がなくなるから悪事が聞かれないとか、耳を食べてるから一年耳が悪くならないとか、そういう縁起物らしい。
(84g調べという責任逃れ。その2)
まず、箸で掴めない。形が複雑で割り箸でも上手く保持できない。
84gが箸が下手なこともあるとは思うんですが、豆を抓むより難しくない? めっちゃ滑る。これ、難しくない?
つまりこの料理、手間暇かけて食べにくくしているという中々に難解な発想。
……。
……。
……。
しかし、味は文句なしにウマい。食感が斬新だし、一度は食べておいて良い。ウマい。オススメ。
というか、これ、発想はラビオリとかそっち系じゃない? 日本的発想のパスタ。伝統料理として以外にも展開できそう。
佐野ラーメン二杯目。ンマイ。
不思議なんだけど、なんで佐野ラーメンばっかり有名なの? めちゃくちゃグルメ強いよこの街。
大根そばとかパッと見ネタだったけどウマかったし、耳うどんに関してはインスタ映えするしウメェ。
そんなことを言いながら、タイヤからカスカス空気が抜ける。前に修理の仕方が甘かったか?
【二〇一六年 九月四日】
ニチアサを観てから、パンク修理開始。
まー、直ったじゃろー。
だがしかし、直したばっかりのところだったので、なんかイヤな予感がする。
ちょっと様子見を兼ねてメシ。
何杯でも食える佐野ラーメン。
食ってから散策していると、やっぱりちょっとスカスカしてる。
全くノーマークだった佐野グルメ。
味噌マンジュウと味噌プリン。うめぇ。
これはお茶と一緒に食いたいわ。プリンの方は紅茶でもイケそう。万能。
ゆったりと散策していく。
良い感じの河原に寝床に使えそうな大きな橋を発見。。天気もいいから増水の心配もないしね。
銭湯に行って、休憩スペースで巨人戦を観ながらガラケーで楽天戦をチェック。勝ってる勝ってる。
ってわけで、時間をたっぷり潰してから駐輪場に戻るっと、タイヤ、かなり空気抜けてるわ。直ってない。
風呂に入ってサッパリしたので、さっき見つけた河原で修理……あれ? ヘッドライト、点灯しねぇ……?
「( 8Д4) わ、笑いの神がキタアアアアアアアッ!」
ラジオのライトやソーラーランタンはもちろんあるのですが、修理のときにはハンズフリーで手元を照らせるライト、つまりヘッドライトは必須です。
マジで。細かいパーツを見失う。確実に。絶対。
更にヘッドライトなしでテントを張るのは結構時間かかります。ていうか、今回の河原、立地良すぎて街灯が遠く、ほぼ星の光だけ。
テントを設営すると、パーツを紛失するリスクと戦いながらになり、キツイ。
パンクしているので乗れず、チャリを押してネットカフェまで移動します。
風呂上がりにクソ眠い中、パンクの修理もできず、ネットカフェまで徒歩。
笑いの神、大して使ってもいないヘッドライトを壊すという小さい攻撃を繰り出してくる。地味な攻撃だ。
とはいえ、別にヘコたれてなかった。
ネットで確認すると楽天イーグルスは勝った。イーグルスの生え抜き左腕、辛島の好投で勝利である。
風呂にも入った。飯はウマかった。ネットカフェまで普通に歩けるところだし、寝床の目途も立ってる。
歩きながら、ヒマワリ畑も発見。全然オッケー。
不定期に襲い掛かる笑いの神よ、今回は俺の勝ちだ。メンタル的に圧勝です。
さっき買ってたせんべいを食べながら前進。
正直、旅をして自分探しだとか、心が強くなるとかいう奴はウソだと思ってたんだよ。娯楽だよ。
なんだけどさぁ、実際にさぁ、うんざりするような状況でも気にしないバイタリティは付いてるんだよね。
たまに、『復興支援とか募金とかでやってるんですか?』って聞く人いるんよ。仙台発だから。311関連で。
違うから。趣味だから。
ただし、その都度、『仙台はいい街ですよね』とか言って貰えたりするので、それで元気になっている部分はある。
人を元気にできるかは知らんけど、俺が元気にはなってる。
体力が付くのと同じくらいのペースで、ゆっくりと穏やかにだが、精神的に頑健にはなっている気はする。
「最悪」の沸点がどんどん上がってる。何が起きても最悪、って気分にならなくなってる。
【二〇一六年 九月五日】
もうチューブが信用できないので、チューブごと変えます。
半日掛かってもう一日佐野市ってのも考えたんですけど、もう三日目だし、体力が満タンすぎて動きたいので出発する。
もちろん、佐野市最後の食事はあれです。
佐野ラーメンじゃないのかよ!
って、今、自分でツッコミ入れた。え? なんで? なんで大根そば、食ったの?
なんかね。中毒性というか、妙に口が求めたんだよ大根そば。佐野ラーメンもまだまだ食べたかったんだけど、なんでだろうね?
佐野グルメ、奥深いわ。
というわけで、栃木満喫したので、次は群馬!
群馬三大うどんが俺を呼んでいるぜ!
……さっき気付いたんだけど、俺、宇都宮スルーしてる。
栃木の! 県庁! 所在地! スルー! 宇都宮餃子、最初の八カ月のママチャリ旅で食べてたんだよなぁ……。




