【青森】【二〇一六年 七月四~五日】 偶然は最高の瞬間をもたらし、そして襲い掛かる。
【二〇一六年 七月四日】
今日はご当地ヒーロー、八幡タイラーで有名な八幡平から秋田に抜けようと思います。
山形と宮城で蔵王を共有しているように、八幡平は青森・岩手、そしてこれから向かう秋田の誇る偉大なる山なのだ。
青森脱出に向け、猛進!
登っていると、急に音楽が流れだした。
センサー検知で音楽が流れだすらしい。気になる方は『八幡平 除雪隊』辺りでググって。
周囲の景色も良く、何時間でも見ていられる感じ。
すげぇなぁ、流石八幡平だわ。いやぁ、すごい。
何時間でも居たいなァ、すごい山だよ、八幡平……。
……と、通ったときもこれ書いたときも気付いてなかったんだけど、つい先日、「ここは八幡平ではなく八甲田では?」とのご指摘が。
最初はバチバチ訂正しようかと思ったんだけど、もう俺らしすぎる勘違いなので、注釈入れて終了。
恥を隠さないスタイル! ドキュメンタリーだからね!
「( 8Д4) しんどい……ムリ……死ぬ……」
傾斜九パーセントって何!?
そこをママチャリに荷物付けて登るとかどういう地獄!? もう進めないって!
今日進む予定の半分以下の距離に、数倍の時間が掛かっています。
大雪山も相当アレでしたが、やはり県代表クラスの山はキツイ……。
適当なベンチで野宿しても良いんですが、強い日差しに対して水分の持ち合わせが、あまりにも足りない。
自販機も少なく、途中で潰れた旅館やらを見掛けたレベルなので、脱水で苦しんだ岩手での事件が頭をよぎります。
「(8ω4) 命大事に……」
中止して道を引き返すことに。
登るのにすごく時間がかかったのに、帰りは下り坂で一瞬。ううむ、大雪山と同じパターンですわ。
昨日に引き続き、青森のニボシラーメン。
【二〇一六年 七月五日】
青森市で迎える四日目の朝である。結構な長居をしてしまったなァ、と思いつつコンビニで飯を食っていると、視界を横切る大荷物の自転車。
「(8ω4) をりょ?」
「(沖ω縄) おやぁ?」
まさかのママチャリ日本一周チャリダーふたりと、日本一周ママチャリ二台が、ここに集結!
荷台にテントとサイドバックが付いてるのが俺のチャリ、縦積みになっているのが彼のチャリ。
ロビンマスクのTシャツを着ているのが俺、迷彩柄を着ているのが彼です。
「(8ω4) あ、やっぱりその空気入れ使ってるんですね!」
「(沖ω縄) 店で売ってて手頃なお値段なんですよね」
「(8ω4) スポーク、折れるんですよねぇ」
「(沖ω縄) そういうものなんですよね」
沖縄から来た彼とは逆回転のようで、彼はこれから北海道らしい。
俺は北海道のセイコマの話をしたり、彼からは、“チャリダーの地獄・オヤシラヅ”の情報を聞いたり。
初めて出会った兄弟というか、別の所で育ったもうひとりの自分というか。
全く初めて出会った気がしない。
彼は北海道へ、俺は秋田を目指します。
これから一生再会することはないでしょうが、一生忘れない数分間でした。
昨日の山道とは違い、自転車を押すのではく、漕いで移動できている。
空には虹のような雲がかかり、絶好調。
「(8◇4) これは楽だぜ! 下っりっ坂っ! 下っりっ坂っ! 最高か……うぉおおおっ!?」
「( 8Д4) どぅぉおおおおおお!?」
ガードレールが無く、生えた草で見えなくなった側溝に車輪を取られて転倒。
俺はヘルメットのおかげで無事、そして自転車も大した速度を出していなかったこともあり、スポークも折れてない。
日頃の心がけが良かったが、本当にここは見えなかった。
こういう側溝はフタが付いているか、ガードレールがあるもんだと思ったが、ビックリ。
ラーメンを食べて一息。
いやぁ、転倒とか久しぶりだわ。
ビックリビックリ。
とりあえず一息ついてから走り出す。
「(8◇4) あー、ウマかったー。さて、つ、う、うおおおおおお!?」
まさかの一日に二度目の転倒。
今回は転倒というか、バランスを崩して倒れそうになり、直前に脱出成功。
大したダメージは無いものの、青森の謎の洗礼。ううむ。道が殺しに来てるわ。
直売所で食べそびれていた青森りんごをゲッツ。
んまい。
それはそれとして、コケなかったけど、こういうのが普通に有る。
なんかこう、カバーが無い、草が生えて見にくい、道路のひび割れが多いなど、チャリダー殺しな立地が多い青森・秋田の県境。
なぜ……?
まあ、苦労しつつ、ともかく。
次回より第五の旅、秋田の開始です!




