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【北海道】【二〇一六年 六月一~三日】 ・ウェザー・デスマッチ ~雨だけじゃなかったアシュラマン~

【二〇一六年 六月一日】


 ネットカフェでタップリ休み、起床。

 できれば献血でもしようかと思ったが、これから雨行では体力が続かないので断念。

 というわけで飯。


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


 釧路に到着する前にファンになったスパカツだが、釧路が本場らしい。

 そして帯広でファンになったインデアンカレーも食べ収め。このふたつは本当に美味しかった。

 ルーが三種類有ったインデアンカレー、これでフルコンプです。

 インデアンカレーは仙台では食えないが、スパカツは家でちょっと再現してみたいな。


 満腹のまま、雨の中を進む。

 市内の写真は撮っていたのだが、ちょこちょことプライバシー的にアレな写真だったので省略。

 とにかく落ち着く街並みを進みつつ、キャンプ場を目指す。

 道に迷うことを前提に移動していたが、ほとんど一本道だったので昼過ぎにはキャンプ場に到着。

 雨が止んでいたらもう少し進んでいたかもしれないが、雨の中で疲労も有ったのも事実で、キャンプ場へチェックイン。


挿絵(By みてみん)


 景色は最高! シャワーとコインランドリーも併設されており、過ごしやすさも完璧。

 ただ、看板でエキノコックスに強く注意するように求められる。

 エキノコックスは野生のキツネが持っている寄生虫で、キツネと接触することで移されるらしい。

 キツネはテントくらいなら噛み千切って侵入する可能性も有るので、食べ物の捨て場所などは注意するようにせよ、とのこと。


 ううむ、これは間違っても野宿とかしなくて良かったわ。良い情報が聞けた。

 とにかく、コインシャワーを浴びて溜まった洗濯物を洗濯して爽快! なんか壁には一号ライダーこと藤岡弘、氏が訪れたらしい写真が飾ってあったり、ゴキゲン。

 ただまあ、乾燥機がコインランドリーにあるような業務用乾燥機ではなく家庭用タイプで時間とオカネが掛かる。


 待っている間、ケータイ電話のワンセグ放送とラジオで野球中継が入ることに気が付いた。

 地元・北海道を本拠地とする日本ハムファイターズの試合を放送している。

 対戦チームは……ツイてることに我が推しチームの楽天!

 ラッキーである。乾燥機で乾くのを待ちつつ、マッタリと野球と自然を堪能致しました。

 地味に雨中のキャンプは初めて。テントが濡れることを心配していたんですが、それより深刻な事態が発生していました。


「(;8Д4) 寒ぃ……」


 テントに寒冷地用の寝袋とエアマット寝ていますが、下から熱が抜ける。

 耐えきれず、キャンプの管理事務所の前にある自販機に【あたたかい】飲み物を買いに行くような状態。

 いや、まあ、【つめたい】しか無かったけど。寒さで火を沸かす体力も無い状態で戻ったけど。

 乾燥機でガンガン乾かした洗濯物がほんのり温かく、防寒代わりにして詰め込んで耐えきります。



【二〇一六年 六月二日】


挿絵(By みてみん)


 かなり苦戦しながらテントを片づけます。寒さもそうなんですが、深刻に風が強い。

 進行方向的に向かい風となってしまい、時折風向きが変わっても横から煽られる。通常の自転車よりも面積が大きいのでちょっとした風で倒れそうになる。


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


挿絵(By みてみん)


 雲の動きが速く、体力の消耗が早い。

 台風でもなんでもないが自転車に乗って走れない。山から吹き下ろす風が深刻に体力を削り、手押しで進まざるを得ない。

 乗れるところでは乗るが、坂道も多くてほとんど押して移動している。

 そんな中、こんな坂道に遭遇。


挿絵(By みてみん)


「(;8Д4) 一回くらい写真に撮りたいくらいなんだけどねぇ……鹿……どこに居るの……」


 全然写真に撮れないままここまで来てしまった。

 北海道が終わるまでに撮影できるのか? そんな不安の中、不意に動物の気配を感じ、振り向くと、そこには!


挿絵(By みてみん)


「(8◇4) って、羊かぁああああい!」


 なんで!? ねえ! なんで鹿よりも羊を見掛けるの!? 北海道は羊が野生で生息してんのかっ!?

 人間よりも動物の方が多いのではないかという疑惑。

 なにせ羊や鹿が食えそうな草は山のように生えているが(実際山だし)、俺が食事できそうな店や買えそうなコンビニも少ない。

 北海道は町と町の間が広く、一か所の補給ポイントを取り逃すと深刻になる。人が生活していない空間、が多すぎる。

 この一時間後くらいになんとか飯は食えたが、本当に体力の消耗が大きい。

 マジで動物しか居ない空間。続きまして。


挿絵(By みてみん)


「( 8Д4) 何に注意せーっちゅーんじゃ……」


 動物的な体力を必要とする道が続き、テンションが落ちてきていました。

 移動は三五キロほどでギブアップして次のキャンプ場まで到達できず、小さな橋の下で野宿とする。

 トイレは無いが、この風の中で進むくらいならば我慢した方が良い。

 人間が降りるような構造になっていない橋の下で、かつ畑が近いが畑ではなく、ケモノが通った形跡もない橋の下。一応、食べ物はテントには入れず、自転車に付けたままにしておくことにする。

 (カンヅメとパックモノしかないから、匂いは出ないと思うが、一応である)


 上をダンプが通ると揺れるが、風は良い感じに遮断されているし、今日はここで休むことにする。

 北海道のスケールの大きさに震撼しつつ、この日も早めに休みます。

 先日は雨、今日は風と全然進めません。 明日こそは晴れて欲しいものですが、はてさて……。


【二〇一六年 六月三日】


挿絵(By みてみん)


 久方ぶりの快晴来ました!

 ちなみにこの写真、野宿した橋の下がこの近くにあり、向かって左側から右側の道に登っています。

 この斜面を朝飯も食わずトイレを我慢しながらチャリ押して登るというのは中々に地獄でしたが、快晴なので許します。


 また、実はこのとき、84gは釧路から海沿いではなく、山道を移動して根室方面をスルーして山道を通って北見に抜けるルートを選んでいました。

 この選択をしたのは熊と急坂を避けるという理由と、そしてもうひとつ“目的地”が有ったのですが、それは恐らく、次回の登場となるでしょう。

 この日は一体どこまで進めるのでしょうか? 風は、ちょうど俺を押していました。

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