【北海道】【二〇一六年 五月二八~二九日】 ・安らぎとグルメと博徒の街、帯広(後)
【二〇一六年 五月二八日】
そもそも競馬自体、見たことはあっても賭け方も分からない。
ガイドさんにやり方を聞いて、なんとなく直感に頼って賭けてみる。
まあ、勝ちに来ているわけでもないし、一レース五〇〇円固定でやってみます。
画像上に有るのが会場で配っていた賭け方ガイドですね。
下? 下はアレだよ。レッグ。会場の入り口で販売していた鶏のアンヨ。ほぼほぼカネを賭ける前に食ってばっかりだけど、まあ、良いでしょ。
「( 8Д4) 強そうな馬の三連複! 行けるだろ!」
馬券を購入し、いざ、現場へ!
大迫力のレース! 目の前で繰り広げられる激闘!
鍛え抜かれた馬たちが、そりを引き、粉塵を巻き上げ猛突する! 大迫力!
結果は!?
惜しいぃいいいい! 俺の予想は三・四・八の三連複。実際の順位は四・八・二。
最初は適当な所で切り上げて、昼くらいから旅を再開しようと思っていたものの、これは最後までやらないと!
勝つまでやる、という気持ちがムクムクと膨らみ、一レース五〇〇円の縛りも無視しそうになる。
さっき負けたヤツの倍掛ければ、一回勝つだけで全部取り戻せるんじゃないか……? 軍資金はあるし、まだまだ……は!?
「( 8Д4) あ、危ない……!? ギャンブルにハマる人の発想だ」
負けるとイライラするので、勝つまでやりたくなる。俺は熱くなるタイプなので厳しい。
ふと、宝くじがなんで売れるか分かった気がした。あれはハズレても運任せなので『自分のミスの敗北』とは感じず、勝てるかもしれないという期待感だけがある。
実際は購入して当たらなければ敗北なのだが、そこに錯覚が有るように思った。
まー、ばんえい競馬は経営苦しいらしいから、半分募金で良いんだけど。理性はそう思っていても、やっぱり勝負事。
やるからには勝ちに拘っていた頃、ちょっと感動する現象が。
天使のはしご。雲の切れ間から光が指している。ちょっとキレイ。
光の中で走る馬たちが妙にキレイで、あー、なんか、あー……、ふと、勝負事じゃなくて、今、ここでやっていることが大事なんだよな、と悟った。
ここに居なければ天使のはしごも、馬たちも見れなかったわけだし。勝負の結果とか、それに拘っているとか、やっぱり熱くなってた。
「(8◇4) やっぱり楽しまなくちゃダメだよね!」
というわけで、ここまでは複勝や連複など拘っていたが、面倒なのは捨てて、一番表情が良い馬の単勝に賭けてみる。
まー、複雑なこととか分からんし、一等賞当てるだけで良いや。
調べてみたら穴の子だし、入るわけないよねー。あっはっは。
もうね、データとかじゃんくて、カワイイ馬に直感で賭けることにする。カワイイ子を応援した方が良いもんな。
その直後の、当時のツイートがこちらです。
※四〇〇〇円は、それまでに外し続けていた分との合計。
「( 8Д4) え、ええええええ!?」
今まで苦戦していたのは何だったのか。まさかのマグレ当たりが炸裂です。
無欲の勝利というか、倍率すら真面目に見ていなかったのに、ただ表情の良かった馬を選んだだけだったのに。
長居をしたネットカフェの宿代くらいが、纏まって帰って来た感じ。
無欲の勝利……だったんですが、まあ、それが続かないもので。
「(8◇4) さっき勝てたんだから、次も勝てるだろ! 黒字確定したから五〇〇円じゃなくて一〇〇〇円で行くぜ! ガッポガッポじゃああああああ!」
……このあと、大当たりが来なかったのは、云うまでも無い。
黒字では有ったので、気分よくネットカフェへ。
帯広は本当に飽きない良い町である。
ネカフェからホクホク気分でそのことをツイートしていると、ハジメマシテの人からコメントを頂いていた。
どうやら、帯広の方らしかった。
【抹茶ソフトやクランベリーのスイートポテトはいかがですか?】
「(8ω4) ……なんのことだろ……? (ポチポチ)……え、ま、まさか!?」
ネットカフェでその情報を調べていると、最初に自分の目を疑い、そして、購入を決定するのでした。
【二〇一六年 五月二九日】
早めにネットカフェを出た俺は、前日のアドバイスに従い、クランベリーと言うお店の前で、開店時間前からスイートポテト待機をしていた。
スイートポテトというと家でも作れるお手軽オヤツというイメージだったが、昨日、画像を見た限りでは侮れそうにない。
実は前回の帯広前編を書いたとき、仲良くさせて貰っている なろう作者さんから活動報告に【帯広ならクランベリーを食べて欲しかった】というコメントを頂いていた。
俺は旅に出るまで全く知らなかったが、帯広を知る人ならば誰もが知る、それがこのスイートポテトなのではなかろうか。
開店時間のちょっと前、店員さんが少し早めに店に入れてくれて、その日の一番目の客として入店した俺は、その姿に衝撃を受けた。
でか!? 普通、一口か二口で入るくらいの大きさじゃないの!?
ちょっと分かり難いんですが、これ、サツマイモを半分に切った中身をくり抜いて、そこにスイートポテトを詰めて焼いています。
これでも一番小さかったものを注文してるんですが、驚愕です。
大きさだけでなく味も完璧。芋本来の味がして心が穏やかになる。
この外側に残った皮も飾りじゃなく、良い味してる。完璧。
もう一軒紹介されていたお茶屋さんの抹茶ソフト!
インパクトはクランベリーより無いかもしれないけど、抹茶が濃厚で舌触りもグッド!
こちらもオススメしたいですね。
その後、気になっていたやきそば弁当超大盛(ペヤングと同じで二食入ってる!)を食べ、とうとう帯広を出発します。
思えば、二五日に到着していたので、四泊五日。長居をしました。
それだけ長く居ても食べる物が尽きず、また来たいと思える町、帯広。
一度、かなりご年配のお姉さんに呼び止められたんですが、「足が悪いから呼び止めちゃったんだけど、家まで来てくれればオヤツ出せるよ」と云って下さる方が居たり。
(そのとき、「そこまでお世話に慣れない」ということをぶっきらぼうに云ってしまい、未だにちょっと後悔)
良い町でした。帯広。
……と、ここからは長距離移動モードかと思ったんですが、帯広を出てすぐのところに、オモチャの秘宝館のような建物を発見。
……気になる。オモチャといっても外から見るだけでブリキやゼンマイとかそこまで古いのじゃなく、俺が小さい頃に見ていたような特撮ロボがかなり多そう。
ぶっちゃけ、時間はそんなに無いんですが、誘惑に逆らえず、小さな入り口に大きなリュックが引っかからないように注意しながら入店。
「(8◇4) すいませーん、大人一人、お願いしまーす」
「(・へ・) 良いけど、何も無いよ? 入場料払うだけ無駄かもよ?」
「( 8Д4) !?」
中は、店主のオジサンのコレクション兼売り物のオモチャが所狭しと並べられていた、
初めて見るようなもの、レアモノとして名前だけ聞いたことがあるもの、値段が適正なのかは正直よく分かりませんが、少なくとも入場料を払って損だとは思いませんでした。
一通り見た後、サービスのコーヒー(インスタント・セルフ)を飲みつつ、店主のオジサンと談話。
昔の帯広の話、道民からすれば当たり前のことを珍しがる他県民、竹林とかは無くて自分からすると驚きだったという話。
一服着いてから、満足しながら、今度こそ、サラバ、帯広!




