【北海道】【二〇一六年 五月二一~二三日】 ・四つ目の冒険、北海道上陸と素敵な出会い。
【二〇一六年 五月二一日】
ネットカフェで起床後、フェリーを目指します。
道に迷うことを想定して大分早めに向かったんですが、やはり早めに到着しました。
迷いましたけど。数時間迷うと思っていて、数十分迷っただけで済んだので早く到着しただけです。ハイ。
フェリーに乗り込むべく、フェリーの後方で待機していると、何やら同じような自転車を発見。
俺と違ってママチャリではありませんが、サイドバックやテントなど、かなりそれっぽいです。
その方からフランクに声を掛けてくださいまして。
「(^◇^) お、チャリダーさんですか?」
「(8◇4) ちゃり、だー……?」
自転車旅をしている人の総称らしいです。
ライダーならぬチャリダー。バイクじゃなくてチャリに乗る人々の総称のようです。
サイクリストとかより気取ってなくて良い感じ。何より本やネットではなく、直接出会って教えて頂いた言葉で、自分の中でもしっくり来た呼称。
それがチャリダー。
この旅で初遭遇のチャリダーさん。
なんと彼も宮城出発らしい。日本一周を予定していたが仕事の関係で途中離脱するらしい。残念。
フェリーのアナウンスでは『七時間と短い旅』とのアナウンスですが、
「(^◇^) いや、七時間って結構長いっすよね」
「(8◇4) そうっすねぇ……海の男的には短いんでしょう」
みたいな会話をしつつ、お互いにアニメ・ゲーム属性だったので、その話。
フェリーの中はコンセントを気にせず雑談ができるし、充電をしつつなので気楽。
とはいえ、互いに疲れも溜まっていたので、ふたりして寝落ちしていましたが。
「(8◇4) もう夕日やん……」
「(8◇4) もう北海道、目前に迫っとるし……」
起きてからフェリーの内部をダッシュで回り、記念撮影。
他にも昔懐かしい脱衣麻雀ゲームやら、パチスロやらが有り、ヒマを潰せるようになっていました。
……いや、脱衣麻雀ゲームって……今更やるヤツ、居るのかコレ。
そんなこんなで到着。北海道でございます。
既に暗くなっており、84gももう一人の方も、互いに眠い。
「(´8ω4`) もう、そこら辺に寝袋で寝ちゃいません?」
「(´・ω・`) やめとけ」
ふたりでアテもなく走り……そこで84g、あることに気が付く。
「(´8ω4`) ていうか、先に行って良いですよ。うちの相棒、スピード出ないので」
「(´・ω・`) 俺、この前、ライト壊れて、一緒じゃないと道走れないんだわ」
「( 8Д4) え!?」
云われてみれば、確かに彼の自転車にはライトが付いていない。
……チャリダーたるもの、全員かなりライブな旅をしているのだなぁ、ということを実感する。
港の近くといっても道は大分暗く、前照灯なしでは走れそうにない。
俺はママチャリの前照灯で充分だったので、作業用に持っていたヘッドライトを渡して、道を分かれた。
渡すのも記念、渡されるのも記念。
そのあとウロウロしてから、まだやっていた飯屋さんを発見。
北海道に入ったら最初に食うのはジンギスカンと決めていたので、僥倖でした。
ラーメンも食べ、最高に満たされています。
そのまま近所のネットカフェに転がり込み、寝てばかりの一日は終わりました。
あっさりとしていましたが、とにもかくにも、こうやって北海道に到着したのでした。
【二〇一六年 五月二二日】
実感がないまま、とりあえず北海道の食べ歩きをすべく、聞き込み。
はるばる来たぞ函館―。
「(´・ω・`) ニイチャンニイチャン」
「(8_4) なんでしょう?」
「(´・ω・`) ここ、苫小牧。函館じゃないよ」
「( 8Д4) !?」
またも勉強不足。
八戸から出発すると函館ではなく、苫小牧に到着するのです!? なんですとー!?
……。
………。
…………。
ま、いっか。
苫小牧はホッキがウマいらしいと聞き、地図にもウマいと書いて有る店へ。
「( 8Д4) って、やってねええええええ!?」
日曜は定休日だった。
飯屋さんが日曜定休って……いつもの笑いの神である。北海道まで着いてきやがったこの笑神様。
気にしない。というわけでその辺りをブラブラし、何やら素敵な看板を発見。
「( 8Д4) ここで食べるやで!」
直感的に決めた84gは、自転車を降りて中を散策します。
どうやらいくつもの飲食店が併設しているらしく、それぞれに独立したグルメらしい。
ホッキカレーというのに惹かれて一軒目に声を掛けると、そこはやっていなかった。
(理由は失念。確か時期外れだから開店前だか、なんだかだった気がする)
「(´∀`*) すいませんね。やっている美味しいお店さんに案内しますよ」
「(8◇4) をを、北海道の方、親切!」
というわけで、やっていたお店でホッキカレーにトライ!
いやー、ホッキカレーはウマウマですねー。
ホッキの食感も最高だし、旨みが生きてる。パラパラとした炒め具合も最高ですわ。
……どうやらこれはカレーではないようです。
やれやれ、間違えてしまいましたよ。
こっちが本物のホッキカレーです。
ホッキの旨みがルーに合わさり、何杯でも食べられそうです。
お腹いっぱいなので、それではこれで出ようと思いますが、84gは店内でも道に迷ってしまいます。
あー、迷ったぞー。迷ったー。すごく良い匂いがする方向に行ってしまうぞ。
それでは、と出口を聞くためにラーメン屋さんに入ります。
「(^◇^) いらっしゃいませー」
「(8◇4) カレーラーメンとホッキギョウザくださーい」
……はっ!? 出口を聞くつもりが、注文してしまった!?
どうやら疲れているようです。やれやれ。ラーメンでも食べて一息吐きましょう。
いつの間にかご当地サイダーまで飲んでる……!?
食いすぎて駐車場で少しウダウダしてから苫小牧、ゴチソウサマでした!
北海道といえば、みたいな道路標識を見つつ、ちょっと飲み食いだけで散財してしまっているので、今日は質素に行きたいと思います。
日本一周するだけのカネは貯めたつもりですが、旅で使い切ると再就職の活動費が無くなってしまうので、節約は必要です。
舌の根が渇いたので、ソフトクリーム食べています。
我ながら、なんだコイツ。
風景がいちいち北海道に来たなー、という感じである。
走っていて道が広い。普通は車道も歩道もどっちも気を付けながら走るのだが、北海道は歩道がとにかく広いし、車道も二車線がかなり多いので、どちらでも走れそう。
チャリダーたちが北海道を目指す理由の一端がそこに有った。
北海道はキャンプ場も多く、ママチャリ重装備の俺ですら何とかなっているので、軽装の高速チャリダーならば格段に難易度が下がるのではないだろうか。
そんなこんなで、なんとかかんとか目的地のキャンプ場に到着。
管理人さんが帰る寸前で滑り込みセーフ。時間的には数分アウトでしたが快く対応してくださいました。
ありがとうございます。
何カ所目かのキャンプ場だが、既にそこにはテントが。
シーズンには早い、この旅で初の自分以外のキャンプ客。
北海道在住の郵便局員のお父様と、三歳になるYくんの二人連れと遭遇です。
「(8_4) ……」
「(Y_Y) ……」
「(8∀4) いぇーい!」
「(Y∀Y) きゃー!」
お父さんがバーベキュー準備で手が空いていなくて退屈していたらしく、Yくんが84gと遊んでくれました。
遊具があるわけではないんですが、切り株に登ったり、砂に絵を書いたり、テントに入って走り回ったり。
84gはテンションが三歳児なので、リアル三歳児のYくんと遊ぶとストレスがなく、ただただ走り回ったりしていました。
お子さんに遊んでもらうと疲れを感じない不思議。まあ毎日やってると違うんだろうけどね。
その後、眠たくなったYくんが休んでからは、お父さんと星を見ながら人生の話をしたり。
星空の下、お酒とバーベキュー。肉も海鮮も北海道の味。焼きホタテ!
ただ、量はキャンプ初心者さんだったらしく、84gが一緒に食べても余るくらい。
そんなわけで、この旅最初の飲酒は人と語り、火を見ながらの最高の物でした。
その節は本当にお世話になりました。
あと、キャンプ場の管理人さんから差し入れで頂いた……えっと、なんだっけ……を食べました。
この辺り、アルコール入って記憶が特に曖昧です。ゆで卵、とかだったような……?
この辺り、写真も撮らず寝てしまい、永遠の謎です。
【二〇一六年 五月二三日】
本州から常備していたペヤング大盛を朝食に食べる。
お父さんが不思議そうにしていたが、どうにも北海道にはペヤング大盛はないらしい。
やきそば弁当という商品がカップ焼きそばの最大手らしく、そちらとの遭遇を楽しみにします。
食べ終わり、荷物をまとめ、俺は自転車にまたがります。
そのとき。
「(Y∀Y) またねー」
そう云って出発を見送ってくれたYくん。
北海道に行くことはそう多くないと思うし、連絡先も交換してないけど、もし今度、キミが宮城に来ることが有ったら、会えると良いね。
……えー、北海道都市部郵便局勤めで、二〇一六年に一人息子のYくんが三才だった知り合いの居る方ー?
キャンプ場で遭遇したママチャリの青年は、無事旅を終えたとお伝えください!
……届くかな? Yくんに限らず、旅の最中に出会った方、皆に、届けば良いな。
人生で特別じゃない一日はない。
Yくんやお父さんの良い思い出になったら良いな。
将棋の格言で【一局の将棋】という言葉があります。定石が定まらない場面で、どちらに転ぶかわからない局面。
勝ち負けどちらだとしても、一局の将棋。
大間や下北半島をスルーしたことが引っ掛かっていたんですが、スルーしなければ、チャリダーさんやYくんたちとも出会わなかった。
旅にも人生にも“もしも”はない。
下北半島に行けばそこでも最高の出会いが有ったと思う。
でも、今、苫小牧から上陸しなければ、この出会いたちは無かった。俺はこれが俺の最高の旅だと確信できた。
北海道は、始まったばかりです。
最高の冒険は続きます。




