アホな神様と共にダンジョンを作ることになった!
ここはどこだ?
俺は……誰だ?
おっと。加藤正信だった。
今、目の前に広がっているのは草原。
見渡す限り草や木、小動物しかいない。
なんだって俺はこんなところにいるんだ?
たしか、俺は……
そして、時は遡る。
俺と小中と同じクラスで、幼馴染みの二人、アキヒロこと、秋田弘文と、レンホこと、霧ヶ峰恋穂と高校から帰っていた。
アキヒロは、日本人特有の黒髪黒目で、誰もが認めるイケメンだ。だが、しかし頭の中身は残念だ。
だが、そんなところが良いと言うやつもいる。まあ、頭の中身は残念だけど、普通に良い奴だ。頭の中身は残念だけど。
れんほは染めていない茶髪の髪をショートカットにしている、瞳の色は茶だ。
学力は平均的で、なんとも言えない。
面倒見が良くて、明るい活発な少女だ。
そんな見た目に反して良いところの令嬢だ。
二人とは、保育園の頃からの付き合いでこれからも、なんやかんやで付き合っていくんだろうなと思っていた。
そんな高校二年生の春の3人での帰り道。
突如として草原に呼び出された。
そう、3人で帰っていたのにもかかわらず、俺一人そんなところにポツンと悲しくたたずんでいたのだ。
取り敢えず一言。
「ここはどこなんだよ! 」
以上である。
それがわからない以上どうしようもない。
ラノベなんかのように突如として異世界に呼び出されたのかもしれない。
だけれども、それなら何か情報をくれないとどうしようもない。
ああ、夢なのか。
きっと、そうに違いない。
このまま、目を閉じればもとの世界に……
と、思っていました。
ああ、無理だったよ。
寝転んでみれば草がチクチクして痛いし、それに、そのときに気づいたのだが、制服のポケットの中にA4の紙を四つ折にした物が一枚入っていて、その紙にはこう書いてあった。
「ねえ、ここどこ」
しらねぇよ。
俺が聞きたいわ。
破ってしまおうかと一瞬思ったのだが、その紙には続きがあったので読んでみる。
『「ねえ、ここどこ。」と君は思っているだろう。え、そんなこと思ってない? そんなわけないね。だよね? 』
いや、どうでも良いし。
『まあ、君をファナザリースに。おっと、ファナザリースは君達で言うとこの異世界さ。その異世界の名前』
ファナザリースね。
『で、そこで君にはダンジョンマスターしてもらおうと思ってるんだけどね。これがね。一部手違いで失敗しちゃったんだー』
ダンジョンマスター?
ダンジョン作ったりするのか?
失敗しちゃったんだってなにをだよ。
『ダンジョン作る能力付け忘れた』
は?
なら、俺はなんのためにいるんだよ。
『まあ、その代わりに本が近くに落ちてるよね? それを開いてアルナって呼んでよ。そうすれば僕が行って君の補佐をしようじゃないか。本のタイトルにARUNAって書いてあるからさすぐわかると思うんだよね』
アルナって書いてある本ねー。さっきまで落ちてなかったけど。
いてっ。
なんと、上から本が落ちてきたのだ。
ARUNAとは書いてない。
ブックカバーがしてあったので見えないのだ。
なにがすぐわかるだ全然わからないんだが。
落ちてこなきゃ気づかなかったし。
で、これを開いてアルナって呼べばいいのか。
「アルナ」
………………?
無反応て、あいつはホント嘘つきだな。
もしや、と思い、ブックカバーを外す。
「ジャポ○カ学習帳」と書いてあり、ARUNAとは、書いてなかった。
確かに薄かったけどさ。
このノートにブックカバーする意味あるか?
人違いならぬ本違いでしたね。はい。
じゃあ、本物はどこだよ。
本を探すのには骨が折れそうだ。
もう、諦めようかな。
いや、諦めてどうするんだよこのままの垂れ死んで終わりか。
ビュン
風を切りすごい勢いでなにかが飛んでいき、俺の横の木にぶつかって落ちた。
見るとそれは、本だった。
今度はちゃんとARUNAと書いてあった。開けると白紙だったが、書いてあった通りに呼ぶ。ページの指定はなかったからどこでもいいだろう。
(今度こそ、きちんと来てくれよな)
「アルナ」
そう言うと、白紙だったページが青くひかり、二重になった円の中に五芒星を描くいわゆる魔方陣の様なものが浮かび上がった。そして、その魔方陣の中から身長約六十センチメートルの蒼い髪に紅い瞳を持つ子供が現れた。
そして、その子供は空を飛んでいる。
「やあ、僕がアルナだよ。はじめまして。加藤くん」
不敵な笑みを讃えて挨拶した子供。こいつ以外あり得ないがこんなところに
俺を呼んだのはこいつなんだろう。
「はじめましてだな。アルナくん。あんたが俺をここに呼んだのか? 」
挨拶がてらに聞いてみる。
予想通りのような答えが返ってくる。
「うん。そうだよ。アルナくんね。長いからアルナで良いよ」
と、頷きながら答えるアルナ。
他にも聞きたいことはあるが後で良いだろう。
「わかったアルナ。なら、俺のこともマサノブでいい」
「わかった。マシャノブ? マサノビュ?マサニョブ…………マサくん」
噛んだな。そして、諦めたなこいつ。
全く。
(お前な、男がやっても誰も喜ばねえよ)
真っ赤になりながら俺の名を呼ぶアルナを見て俺はそんなことを思っていた。
「まあ、マサくん。ダンジョンを作る能力について説明しようか」
「いや、俺はその能力持ってないぞ? 」
「あ…………」
忘れてたなこいつ。重度のアホらしい。
「え、えーっと。そんなこともあるよね。で、まあ、僕は君に能力をつけ忘れたから君の補佐をするで、良かったんだよね。何分いままで寝ていた者だからね」
寝ていた? いや、まだ、夕方六時ぐらいじゃないのか?あれか、昼寝をしていたのか。子供かっ!
「ちなみに、僕は君の思っていることが大抵わかっちゃうから気を付けてね」
な、なんだとー! つまり、あーんなことやこーんなことを考えていたら、丸バレなのか!
「あ、うん。なにも考えてないってことはわかったよ。本当にこの子で良かったのかな……」
最後の方はよく聞こえなかったが、大体当たってる。本当に凄いな。変なこと考えてたやつ、後で覚悟しろよ。一週間のうちに一回、不幸な目に遭わせてやる!
「いや、すごく微妙だね」
微妙言うな! これぞマイプレイスだぞ!……そういや、マイプレイスってなんだっけ。
「知らないよ」
アルナに呆れられてしまった。呆れることないだろう。俺はただのアホなのだから。
「わかってるさ、君の狙いくらい」
「なんのことだ? 」
「アホじゃないだろう? アホのふりをしているだけさ」
全く、ダメだったか。簡単なことだ。アルナに呆れられるほどのアホならば、元の世界に帰してくれるのではないかと踏んだのだが、無理だったようだ。
「君を帰すことはできない。今の君の行動がそれを後押ししたのさ」
そう、か。ならば仕方ない。なら、ここで生きていこうではないか。ファナファリースとか言う異世界で!
「いや、ファナザリースだよ」
細かいことは気にするな。男だろ!
「いや、僕は女の子だけどね」
え、え? うん? 聞き間違いだな。
「だって、お前」
「その先を言ったら殺るからね」
あ、はい。怖いのでその笑いかたやめてください。目が笑ってませんよ。
「まあ、いいや。これからもよろしくね」
「ああ、よろしくな。アルナ」
そんなこんなで俺達はダンジョンを一緒に作ることになった。そう、可愛い僕っ娘神様と共に。
「あっ、機材忘れてきた」
いや、アホでドジな僕っ娘神様と共に誰がどう考えても、波乱万丈にしかならない物語は今始まった!
アホナはとてもドジでなにをやってもダメダメな神様
マサノブは普通に普通の高校生!
そんな二人の物語は続いていく……
かどうかは作者の気分次第!?
お読み頂きありがとうございました!