入学式の悲劇
季節は春。
入学の季節。彼女、冬樹流花は今日高校に進学する。普通の高校にとは言えないが。
「入学…ねぇ」
彼女はあまり乗り気でなかった。親が此処に入学する、と決めたため逆らうことは出来なかったためだ。
彼女が入学する高校、それは”魔法士育成高校”。
つまり、彼女は魔法士の卵だ、ということである。にわかには信じられないが、本当に魔法は存在する、というのが事実である。
そもそも魔法というのは個人個人で全く違う性質となっている。もちろん遺伝などで親族と性質が似る、ということは多々あるが。
魔法は成長するごとに強くなっていき、個人個人で強さは違う。強くなっていくだけで、途中で開花するということは現在ありえないとされている。
「あ、着いた」
と、少し憂鬱そうに流花は言う。
というのも彼女な”異能士育成高校”進学したかったからである。魔法も異能ではないか、という意見もあるが、異能と魔法は全く違う。
魔法は成長過程で開花しない、と先程言ったが、異能は全くの逆なのだ。成長するごとに強くならない分、成長過程で開花することがある。
彼女は現時点では異能を所持していないが、異能は環境に左右されるため、異能士育成高校にいたらもしかしたら異能が開花する可能性がある。
しかし、彼女は魔法の才能が小中でずば抜けていたため、彼女の親は魔法士育成高校に入れたのだろう。
気遣いの部分もあっただろうが。
「さて、私は何組かな」
特に気になっていないが、そうでもしないと異能士育成高校に進学したかった、という気持ちから逃れられないため、そう言っている流花であった。
*
「あ、あった。A組か」
A組はこの学校で最も優秀な生徒が集まるクラスで、普通だったら喜ぶだろうが、彼女はどうでも良さそうに言う。実際どうでもいいのだろうが。
「ちょっと貴方!?」
後方から声がした。高めのお嬢様口調でずっと聞いていると耳がキーンと痛くなりそうだ。流花は迷惑そうな顔をして振り返った。
「私にそんな態度を取っていいと思っているの!?私はA組のエリートなのよ?分からないなら、思い知らさせてあげる!」
そう言って、魔法発動の魔法陣を作り上げる。とても速い。自分で言うのだからたいそう自信があるのだろうが、これは周りも認めそうだ。
お嬢様口調の彼女と女子生徒のいざこざらしいが、流花は生憎興味がない。迷惑だから止めよう、そう考えているだけで。
「おいで、妖精ペリ」
周りに聞こえないようにそっと呟いた。
ペリとは魔法が使える妖精のこと。好き勝手やらせておけば戻ってくるので流花はこう言った。
「あのいざこざ止めといて」
と。なんとも他人事だが実際他人事なので仕方がない。
流花は身を翻して教室へ向かった。




