料理は化学、悪戯は美学、美味しさは足し算
「フフフ♪フンフンフフーン♪フンフフフフフフフ♪フンフンフーン♪」
特訓が終わり、ステラとソフィアに飯を作る事にした俺。
いやぁ、俺が飯を作ろうか?と声を掛けた時の2人の顔は面白かったなー。
なんか、意外そうな目で見られたけど。
気にしないでご飯を作りましょう。
なんつーか、冒険者ギルドの酒場的雰囲気の食堂である。
ほら、カウンターの奥に厨房への入り口あるし。
「さってとー、食材は・・・米に卵、ハム、ベーコンetc・・・色々そろってんなー。お!ペパの実じゃん。こいつはいい調味料になるんだよな。」
はてさて、お腹も空いてるしそんなに時間が掛からないものがいいよな。
「それならやっぱり焼飯だよな。」
焼飯はいいぞー、米に卵、薬味とお肉類で簡単に作れるからな。
早速作りますか。
シン・ガナストのお料理教室ー。
まず、材料を用意します。
切ります。
ぶち込みます。
完成!(※お料理をする方はキチンとした手順でお作りください)
完成した焼飯を皿に盛り付け、一緒に作っておいたスープを器に入れ、お盆に乗っけて持っていく。
三人分だからちょいとバランスをとるのが難しいが、慣れているので余裕に持てる。
「おろ?」
厨房から食堂につながる扉を開けると、すぐ近くにソフィアとステラがいた。
「どーしたよ?」
気になったので2人に聞いてみたのだが
「いや、まぁ、なんだ・・・その。」
「えっーと、あの・・・。」
なんとも容量を経ない返事しか返ってこなかった。
「んー?変な2人。それよりも完成したし、飯食おうぜ?」
てきとーにその辺のテーブルに持ってきた炒飯三人分を置く。
「・・・・。」
「・・・・。」
2人とも何も言わずに席に着くが、その表情はなんとも言えない。
「ん〜?まっいっか。いただきまーす。」
「・・・いただきます。」
「い、いただきます。」
とりあえず一口食べて、2人の反応を見る。
自分のスプーンに乗った焼飯を穴が開くんじゃないかというぐらいたっぷりと凝視した後
「「・・・・・!(パクッ)」」
なにかの葛藤を抑えるかのように口の中へと入れた。
「どーよ?」
「・・・うまい。」
「・・・おいしいです。」
「だろ?いやー、料理は俺の数少ない特技の一つでな!腕には自信あんだぜ?」
「そうか。」
「そうですか。」
「なんだよ、そんな意外だったのか?師匠との旅だとこれくらいしか娯楽がないからよー、ありとあらゆる食材をどう使ったら上手くなるかをずっと・・・」
「「少し黙れ(ってください)」」
「お、おう。」
なんだか2人がとても怖い。
どんどんと焼飯を口へと運んでいく。
あれだね、人が黙々とご飯を食べるのって意外と怖いんだね。
お兄さんびっくり。
2人の様子を見ながら俺も飯を食べ始める。
うん、我ながら美味い。
これならいk「「おかわり(ください)」」って
「早いよ!?さっきまだかなり残ってたよね!?」
「うるさいぞ、そんな事よりもおかわりはないのか?」
「理不尽やで・・・、おかわりなら衛兵さん達の分もと思ってかなり作ってあるから。厨房に・・・って早っ!?まだ言い終わってないし、ソフィアまで!?」
美味しい物は人を変える。
今日、俺は一つ学んだ。
この後、さらに追加で焼飯を作ったのはまた別のお話。
余談ではあるが、ちゃんと衛兵の方々も分も死守しました。
そしたら衛兵さん達に涙ながら「ありがとう、すごい美味かった。」と感謝されました。
所変わって
「いやー、まさかあんだけあったのに全部食べるとはな・・・。」
「自分でも驚いている。」
「私もです。なんでかペロリと食べられたんですよね。」
なんでも、ソフィアがさっき言ってた通り、この屋敷の中にはコックなんてものはいないらしい。
自分達で作った物を自分達で食べて生活をしていた様だ。
そんないつもとは違う人か作った料理がかなり美味かったので、久しぶりに食欲が爆発した、そういう事だとさ。
「お前の料理は信用していいな、料理だけは。」
「とても美味しかったです。ご馳走様でした。」
料理だけはステラの信用を得る事が出来た。
「ま、特技を褒められて悪い気はしないけどなー。」
「そんなに得意なのか?」
「そりゃね。俺の師匠は『大抵の物は焼けば食える』の人だったからな。なんでもかんでも焼いて食べるんだよ。なんでも・・・・・な。」
「なんでも?」
「あぁ・・・色々食ったぞ・・・、お陰で俺の胃はかーなーり丈夫だ。」
あぁ、本当に我ながら良く死んでないというか、中毒になってないというか。
普通の食材を食べれる幸せって尊いんだなぁ。
「・・・何を涙目になっているんだ?」
「ちょいと昔を思い出していたんです、気にしないでください。」
「・・・大丈夫か?」
ステラに心配されるほどの顔らしい、そりゃやべぇな。
「おう!大丈夫、大丈夫!人間生きてりゃ色々あるさ!」
「シンって本当に同い年か、って思う時があります。」
ソフィアからも苦笑いをいただきました。
「まぁ・・・うん・・・、師匠に会ってみるとわかるよ・・・。」