俺は増えるぞどこまでも
ちょっち短め。
戦闘描写はまじ苦手。
頑張ろう。
ステラに誘われて中庭にソフィアと一緒に来た。
まぁ、戦うのは別にいいんだけどー。
「あー、まじでやるんすか?」
「もちろんだ。何か問題あるか?」
「いや別に。」
この屋敷の中庭は訓練用なのか、割と広く更地になっている場所だった。
「模擬刀を使えるか?」
「ん、一応。」
ステラにそう答えると、壁に立て掛けてあった訓練用の木刀を二本こちらに持ってきた。
その内の一本を俺に差し出してきた。
「訓練用だからな、当たっても死にはしないがかなり痛いからな。」
「あいよ、ありがと。」
ステラから剣を貰い、適度に離れる。
「本気でいくぞ。」
「んー、わかった。」
でもなぁ、ステラの実力も知りたいし。
「ソフィア、合図お願い。」
「うん、任せて。」
少し離れた位置にいるソフィアに合図のお願いをするステラ。
あの優しい表情を俺にも見せて欲しいなぁ・・・。
「二人とも、準備は良い?・・・始め!」
ソフィアが合図をするとステラは真っ直ぐに俺に突っ込んできた。
おー、意外と速いな。
スピードを乗せて突きを繰り出してくる。
・・・んー?ただの突きにしては違和感。
突きを払うように剣を振る。
それを予測していたのか、ステラの速さがさらに上がる。
俺が防御をしようとしたタイミングでの加速。狙ってたね。
とっても良い奇襲だと思う。
けど、”あらかじめ予測はしていた”俺はそれを躱す。
俺の前を通り過ぎて、少し離れた位置に移動したステラは信じられないと言いたげな顔で俺を見た。
「タイミングは完璧だと思っていたが・・・。」
「んー、まぁ、確かに普通なら当たってもおかしくないよな。」
けど、俺は普通じゃない。
いや、俺が刹那無刀流を使うには『普通』なんかではいられないんだよ。
息を整えたステラがまた俺に突っ込んでくる。
今度は打ち合いを狙ってるな。
ステラの剣に合わせ、自分の剣で防御する
右 左 上 下 前後にくる攻撃を全て防ぐ。
うひぃー、あぶねー。
「お?」
ステラの攻撃を防御し続けていると、俺から距離を取るステラ。
どしたんだ。
「お前・・・なんで、打ち込んでこない?」
すごく怪訝そうなステラ。
あ〜、確かに不自然過ぎたかな。
ここは正直に答えるか。
「んーと、ステラの強さを知りたかった。後は、そうだな・・・打ち込んだらすぐに終わるからかな。」
「くっ・・・!!!」
今までの攻防で実力の差を感じたのだろう。
それがわからないほど、この子は自惚れてはいない。
「まだ、終わりじゃない!」
「ん?」
ステラの身体に魔力が集まる。
魔術勝負に出るのか、それとも・・・。
「しっ!」
「うおっ!?」
さっきよりも速い、ちょっとびっくりした。
「逃がさん!」
俺が避けても、すぐさま体制を立て直して再度攻撃をしてくる。
おぉ、速い速い。
なるほどな、ステラの強さはこの速さだな。
速さをいかして俺の後ろに回り込んでくる。
目線でのフェイント、剣の軌道のフェイント。
若いながらも高い技術を持っているのがわかる。
確かに、トラベルさんからソフィアの護衛を任せられるぐらいの実力はある。
上手く立ち回れば、影も倒せるだろう。
けど、それは一対一の場合だ。
一対複数ではその強さは通用しないだろうな、今は。
「そりゃ!」
「ぐっ!?」
ステラの剣めがけて、自分の剣をちょっと強くぶつけてステラを押す。
勢いを殺しきれなかったのか、割と遠い所まで飛ばされたなぁ。
ま、そろそろ。
「そいじゃ、ちょいとだけ。」
「なっ!?」
ステラは驚愕の表情を浮かべて俺を見る。
そりゃそうだ。
なにせ、ステラから見れば俺が”無数”に見えるのだから。
種を明かせば簡単な話、ただの反復横跳び。
それを高速でやれば残像にもなるのさ!
『『行くぞ?』』
「クソッ!」
縦横無尽に複数の俺が走る。
ふははは!怖かろう!
ステラが対処しようと構える。
「ほい、これで俺の勝ち。」
「なっ!?」
ステラの後ろから喉元に剣を構える。
驚いただろうな、目の前にいたはずの奴が後ろにいたんだから。
「・・・私の負けだ、降参する。」
「はいよ。」