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1歩1歩、着実に堅実に。

イナイレVとポケモンが面白いのが悪い。

「少し遅れてしまったな。」


機能の顔合わせの痕、朝に詳しい行動方針のブリーフィングをしようとしていたのだが、所用で向かうのが遅れてしまった。

みんなはすでに集まっていることだろう。

急ぎ足で隊室へと向かう。


「すまない、遅れてしまった。」

扉を開け、中に入るとすでにブリーフィングを始めててくれていた。


「おー、来た来た。お疲れさん、俺の方で分かる部分は説明しといたぞ。」

私の代わりにシンが進めてくれていたようだ。

今回の内容は事前にシンと打ち合わせをした物だから、間違いはないだろう。


「今はどこまで?」


「レオとリリアには王都の巡回への参加、テステアとガノンには冒険者経由での情報収集、アリスには古代言語について調べてもらうように伝えた所だ。」


「そうか、助かる。何か質問はあるか?」


シンから引き継ぎ、仲間たちの反応を伺う。

アリスが手を挙げた。


「古代言語についてだけど、どの程度を調べればよいかしら?」


「遺跡の状態から見て、約800年前とのことだが・・・1000年ほど前まで幅広く調べてみてほしい。歴史的な変遷や、地域による方言がないかを確認したい。」


「了解したわ。それだけ古い時代の資料となると、王庫の特別蔵書を閲覧する権限を貰えるかしら?」


「あぁ、すぐにでも。」


「良かった、なら任せて頂戴。」


「他には何か質問はあるか?」


ステラの問いかけに、今度はテステアが手を挙げた。やはり元冒険者だけあって、任務の実務的な側面に気が回るようだ。


「あたしからいいかにゃ?冒険者ギルド経由ってことだけど、具体的に【翼神党】の情報以外に、何かゴルゴダ遺跡周辺で変わった情報とかも集めた方がいい?」


「おう、その通りだ、テステア」

シンが即座に反応する。


「できれば、翼神党に関する直接的詮索は避けてくれな?遺跡周辺の環境や、最近の冒険者からの報告で異変がないか。例えば、普段は出ないはずの魔物の目撃情報、異常な天候、変な噂、そういった肌感覚で得られる情報も全て拾ってきてくれ。」


「りょーかい!おっちゃん、あたしらのツテをフル活用して、ゴルゴダの情報網を根こそぎ掘り起こしちゃおー!」

テステアはガノンにウィンクをするが、ガノンは小さく「……あぁ」とだけ返し、腕を組んだまま黙り込む。だが、その瞳には真剣な光が宿っている。


次に、リリアがおずおずと手を挙げた。


「あの、王都の巡回についてなのですが、どのような点に注意して見れば良いでしょうか?」


「王都の巡回は、主に二つの目的がある。一つは、私たち近衛騎士隊の新設と活動を市民に示すこと。そしてもう一つは・・・」


シンが私の言葉を引き継いだ。


「ゴルゴダ遺跡周辺で目撃情報があったからって、奴らが王都に全く潜んでいないとは限らねぇ。普段見慣れない人間や、急に現れた怪しい連中がいないか。特に、王都を出てゴルゴダ方面に向かうような怪しい動きはないか、注意して見ておいてほしい。」


「はい!分かりました!俺たちに任せてください!」

隣で聞いていたレオが、やる気に満ちた声で答える。

リリアも深く頷いた。


「よし。何か追加で必要な物資や指示はあるか?」


ステラが全員を見渡して尋ねると、ガノンが重々しく口を開いた。


「・・・毒消しを、多めに頼む。最近のゴルゴダ周辺は薬草の採取が難しい。万が一、隊員の誰かが毒を受けた場合、迅速な対応が必要だ。」


「承知した。アリス、解毒薬の精製も任せたいが、何か特殊な要望はあるか?ガノンが言うように、質の高いものを多めに準備させたい。」


アリスは腕を組み、鋭い目でガノンを見た。


「私でもそれなりの解毒薬は作れるけど、問題は種類と量よ。ゴルゴダに出現する魔物や、遺跡内の罠が仕掛ける可能性のある毒は多岐にわたると思われるわ。一般的な薬だけでも外部に発注できないかしら?」


「そうか。その準備する解毒薬のリストは後ほどアリスから私・・・いや、ガノンに直接渡してくれ。」


「・・・承った。」


ガノンにお願いしたのは、彼のお抱えアイテムショップが優秀だからだ。


ガノンがそう答えると、テステアがパチンと指を鳴らした。


「うちからも一つ要望!ゴルゴダ遺跡付近で活動する冒険者たちの顔と名前のリストが欲しいかにゃ?ギルドのツテで集める情報も、誰が発信源かわかれば信憑性を判断しやすいし、ギルドに声かけてくれます?」


「あぁ、ギルドへ協力を要請しよう。表向きはゴルゴダ遺跡の調査にしてな。」


指示をまとめると、レオが興奮した面持ちで尋ねてきた。


「あの!俺とリリアは王都巡回以外に、騎士団の訓練に参加しても良いでしょうか?すぐにでも実践的な訓練を積みたいです!」


「良い心がけだな、レオ。んーでもなー・・・お前の実力は知っているけど、通常訓練で得られるものは少ないと思うぜ。」


シンが口角を上げ、不敵に笑った。


「俺が、お前の実戦的な訓練も見てやるよ。巡回が終わってからの夕方以降になるが、全力で受けて立つぜ?リリア、お前も魔術の応用訓練といくか?」


リリアは深くうなずいた。

「はい!ぜひお願いします!」


これで全員の質問と要望が出揃った。私は軽く息を吐き、改めて隊員たちの顔を見渡した。


「よし。これで各自の任務と準備が定まった。それぞれ、与えられた任務と準備に注力してくれ。この任務の真の目的は、翼神党の動きを捕捉し、彼らの目的を探ることだ。各自、細心の注意を払って行動してほしい。」


「・・・おとーさん。」


そこで、今まで静かに座っていたノアがシンに声を掛けた。


「ノア?どうした?」

シンが優しく尋ねる。


「あの、ノアも、何か、お手伝いできることは、ない?」


隊員たちは一瞬静まり返り、10歳の少女に注目した。テステアは目を細め、ガノンは腕を組み直す。


シンはノアの頭にそっと手を置いた。


「ありがとう、ノア。お手伝いしてくれる気持ちは嬉しい。そうだなー・・・ノアには、アリスを手伝ってほしい。どうだ、アリス?」


アリスは薄い笑みを浮かべた。


「あら、それは楽になるわ。こっちからお願いしたいぐらい。」


ノアはパッと顔を輝かせた。


「・・・うん。頑張る。」


「よし。これで確認事項は終わりだ。」


ブリーフィングが終わり、隊員たちがそれぞれの任務に向かった後、隊室に残ったのはシンとステラだけだった。


「助かったよ、シン。」


ステラはデスクに戻り、机上の書類をまとめながら言った。


「そりゃどうも。んで、なにしたん?」


シンは椅子の背にもたれかかりながら、ステラに目をやった。

お見通しって顔をしている。


「・・・今回の任務に関する対外的な建前の書類を整えるのに手間取っていた。」


ステラはため息を一つ吐いた。


「我々が動くことで、他国や翼神党に不必要な警戒心を与えてはいけない。だから、この任務は『冒険者ギルドへの協力と遺跡調査』という名目で進むよう、関係各所への偽装書類の作成に時間を取られてしまった。」


「あー、なるほど。俺たちが動けば、どーしても部隊が動き出したことが奴らに伝わる。それの警戒か。」


シンは納得したように頷いた。


「うん。だから、私の役割は、この対外工作を徹底させること。」


シンはステラを見て、口角を上げた。


「隊長殿、随分と手慣れてきたじゃねぇか。心配してたのが嘘みてぇだ。」


ステラはわずかに顔を赤らめたが、すぐに真面目な表情に戻った。


「シンのおかげだよ。私一人でこの重責を背負っていたら、きっと潰れていた。」


ステラはデスクから立ち上がり、シンのそばへ歩み寄った。


「私がこの対外工作を徹底している間、隊の準備のすべてを任せたい。レオとリリアの訓練、物資の最終確認、それと――」


ステラはまっすぐシンの瞳を見つめた。


「――ノアの指導も、お願いできないだろうか。ノアの力は、やはり君が一番理解している。」


「・・・りょーかい。俺が隊の全部を把握しておくさ。隊長殿は、安心して国が動く理由を隠すことに集中してくれ。」


シンは力強く頷いた。


「ありがとう、シン。」


ステラはシンに背を向け、再びデスクに向かおうとしたが、その場に立ち止まった。


「そうだ、シン。ノアが私を『おかーさん』と呼ぶことについて……。」


「ん?なんだ?」


「あの呼び方、隊員たちに聞かれたらどう説明したものか、悩んでいて。」


「何を悩むんだよ。ノアの勝手な愛称だって言っておけば、みんな納得するだろ。特にテステアとアリスなんて、ニヤニヤするだけだ。」



「そう、か。そうだな、ノアが私たちを慕っている証拠だと言えば、いい。」


ステラは、そう結論づけた後、小さく微笑んだ。


「隊の安全とノアの将来は、君に預けたよ、お父さん。」


「ぐっ!」


「さ、さてと!俺も仕事に取り掛かるか!」

シンは動揺したのを誤魔化すように急いで立ち上がった。


「ふふっ。頼んだよ、シン。」


隊室から出ていく、大きな背中に声を掛けステラはデスクに戻り、再び書類の処理に取り掛かった。

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