発明家とかの創作物最強の仕立て人って強くない?
「ところで私に何か用だったの?」
「あ”。」
アリスに言われて本来の目的を思い出したのはある程度冷蔵庫が出来上がってからだった。
いけねぇ、テンション上がって本来の目的を忘れてた。
「忘れてた忘れてた。アリス・グレシアさん、あなたを騎士団近衛騎士隊にスカウトしに来ました。」
「スカウト?何故?」
「理由は2つ。1つは、あなたが元々優秀な冒険者であったこと。2つ、我々としてもあなたの開発力は魅力的であることですね。」
「確かに、転移魔方陣が出来上がるまでは資金繰りに冒険者はやってたけど。戦力と将来性の両面取りってところかしら。でも、ごめんなさい、お断りさせていただくわ。」
「・・・理由を伺っても?」
「私にメリットないもの。資金に困ることはなくなったし、魅力あふれる開発と実験をするのに必要なのは時間よ。それに騎士団なんて堅苦しくて嫌よ。」
そりゃそうだ。
今、アリスの最優先事項は『ドワイトの夢』に出てくる不思議な物の再現だ。
「わかりました、諦めます。」
「案外あっさり引き下がるのね。」
「俺も物作りの楽しさは知ってるから。」
俺の言葉に面食らったように目を丸くするアリス。
「なんか、不思議な子ね。あなた。」
「よく言われます。もうちょっとお手伝いしても?」
冷蔵庫を指さし、これ以上この話題は振らないと表現する。
「助かるわ、あなたの発想は面白いもの。」
言うが否や早速作業に取り掛かる。
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「しまった、魔水晶のストックが・・・。」
ある程度作業していると、箱の中を確かめに行ったアリスが顔をしかめながら戻ってきた。
「んー・・・今からだと早くても3日後よね。どうにかできないかしら・・・。」
「はい。」
魔水晶がなかったようなので【造形】で作って渡す。
「あら、ありがとう。・・・・・・貴方、これをどこで手に入れたの?」
俺が作った魔水晶を机の上にあった道具でまじまじと見るアリス。
「俺の属性。【造形】でちょちょっとね。」
俺の答えを聞くと、ズンズンとこちらに近づいてきて目の前で止まった。
な、なに?
「・・・・魔水晶には属性があるの知ってるわよね?」
「え、あー、はい。」
「今作ってるのは、自分の魔力を貯めた魔水晶を氷属性の魔石に通し、冷気にするって代物よ。でも、魔水晶にはそれぞれ異なった属性が微弱ながらあるから、自分と属性が合う物しか使えないの。」
「は、はぁ。」
「けれど、火属性の魔水晶と氷属性の魔水晶だと持続性と機材の寿命が段違いなのよ。」
「ほ、ほむ。」
「んで、これよ。あなたが作ったっていう魔水晶。」
「は、はい。」
「属性がないどころかすべての属性に対応してるし、純粋な魔力のみが通ってるの。」
「つ、つまり?」
「万能属性の魔水晶ってところかしら、これ1つで世界の理がひっくり返るわ。」
「あー・・・やばいことした?」
「かなり。けれど・・・。」
な、なんかアリスの目がギラギラ光っているような・・・。
「私の研究には大いに役立つわ。決めた、騎士団に入ってあげるから分析させなさい。」
「あ、はぃぃぃ・・・。」
小柄だけど、この迫力はまさに年の功って言うべきなのか・・・。
師匠と同じ空気を感じたぜ。
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「な、なんかちかれた・・・。」
あれからアリスに封書を渡し、来た時には俺の名前を衛兵に告げるように言い、城に帰ってきた。
なんか久しぶりのような気がする・・・。
「ただいまー。」
「おかえり。」
近衛騎士隊の部屋に戻ると、ステラが出迎えてくれた。
「随分と時間がかかったな?」
「わかって言ってるだろ?研究者ってのは軒並み変人なんだよ。」
「だからお前を行かせたんだ。」
「・・・ぐぬぬ、想定通りだよ。騎士団に所属してくれるって。」
「よかった、条件は?」
「・・・俺の【造形】の研究だとさ。なんでも、俺が作った魔水晶が作ってる道具に最適なんだと。」
「そうか・・・思った以上に優秀なようだな。」
「あぁ、ありゃすげーぞ。上手くいけば市民の生活水準がまた1回り良くなるぜ。」
「戦力としても、研究者としてもこちらに招き入れられて良かった。」
「・・・・・。」
涼し気に微笑んでいるけど、どこまで想定済みだったんだろ。
こんなんでよくもまぁ不安がってたな!!!
充分隊長気質じゃねーか!
「・・・言っておくが。」
「んー?」
「シン、だからだよ。」
「・・・。」
俺だから迷わずに突っ込ますことが出来たってか。
・・・この信頼は怖え。けど
「ま、大体のことは俺がなんとかするさ。任せな。」
頼られるのは、嬉しくもある。
「あぁ、頼りにしている。」
2人顔を見合わせ、笑い合う。
「そろそろ晩飯か、何がいい?」
「んー、お肉が食べたいかな。」
「りょーかーい、作ってくるわ。」




