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研究者は変人であればあるほど美人率が高い

「場所はここであってるよな。」


ステラから【機密事項】と書かれた書類を渡された俺は、書かれていた場所に到着した。


首都エルステアから、馬を飛ばして3時間、俺なら走って1時間の場所にあったのはのどかな村だった。


「お疲れ様です。首都エルステアから参りました、近衛騎士隊所属のシン・ガナストです。」


村の入り口にいた見張りの人達に声を掛ける。


「あ、あぁ。よ、ようこそルルン村へ。」


「それにしても、警備の人数が多いですね。何かありました?」


村の入り口に、ひー、ふー、みー、・・・7人の見張り番。

通常にしてはちょっと多い。

一応、国家に所属する身としては周辺地域の異変も調査しなきゃいけない。


「い、いやー・・・、遠くからでも確認できる土煙が見えたので・・・一応警戒をと・・・。」


「なるほど、ちなみに方角は?」


「えーっと・・・そちらの・・・。」


警備さんが指さしたのは、今さっき俺が来た方。

・・・あれ?


「お騒がせしました。」


うーん、間違いなく原因は俺だね。

ひっさびさに良い距離を走れるからって調子に乗り過ぎた、反省。


「いえ、特に何事もなくて良かったですよ。改めて、ようこそ。ルルン村へ。」


警備さんたちの優しげな微笑みに、なんとなく良い村なんだなと思った。


「早速なんですが、ちょっと人を探しておりまして。アイス、という方なのですが。」


「「「アイス???」」」


警備の方々はいまいち誰なのかわかってないようだった。

はて??


「なんでも魔術開発者の方、とのことでしたが・・・。」


「あー!アリス先生ですね。」


おや?書類に書いてある名前と違うようだけど。


「アリス先生?」


「ええ、良い先生なのですが興味がないことに関してはからっきし無頓着な方でして。多分、お名前も適当に決めたのだと思います。」


ほー、本来であればギルドが動いていてもおかしくないとは思うけど・・・。

仮に、それでも放置されているのならば、それだけの()()があるってことだ。


「そちらの先生はどこに?」


「村はずれの研究所です。案内しますよ。」


家まで案内してもらえることになった。ラッキー。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


案内してくれた警備の人にお礼を伝えて、別れる。

去り際に「相手をしてくれるか、わからないですけど。」って言われたのが不安だ・・・。


んー、目の前にあるのは何の変哲もないお屋敷だ。

広くも狭くもない、丁度いいサイズ。

ま、ともかく話さないことには始まらないよな。


扉をノックしようとすると、『ここを押せ』って書いてあるボタンを見つけた。


まさか?

書いてあるまま、ボタンを押すと・・・。


『ブー』と音が鳴った。


間違いねぇ・・・!ドアベル・・・だと!?

え?まじ??こいつは思った以上の人かも。


『・・・・はい、どなた?』


音声付き!?


「あ、えーと、首都エルステアから参りました。近衛騎士隊副隊長のシン・ガナストと申します。こちらにお宅がアイス・・・いえ、アリス・グレシアさんの家だと聞きお邪魔いたしました。一度お話をさせていただけないでしょうか?」


『・・・・・・・・・・・いいわ、入りなさい。』


扉の方からガチャ、っと音がした。

どうやら鍵が開いたらしい。

・・・・オートロック・・・だと!?


「お、お邪魔しまーす・・・。」


扉を開け、中に入る。


「こっちよ。」


声は家の奥にあった扉から聞こえた。

促されるまま、中を進む。


「うわぁ。」


奥の扉のその先は、色んなものが散乱している広い部屋だった。

あっちに書類、こっちに本、あそこには魔法陣。

実験室っぽーい。


「・・・・・。」

「・・・・・。」


そして、目を逸らしていたがこちらをにらみつけるちょっと小柄な女性が1人。

髪の色は深い青色、その瞳は鋭く吊り上がっている。

とても美人さんなので、好きな人にはご褒美になるだろう。

俺はちょっと遠慮したい。


「あのー・・・。」


「ねぇ、あなた。なんで驚かなかったの?」


「はい?」


「玄関でのこと。初めての客は基本驚いて腰を抜かすものよ、それを貴方は()()()()()()のように受け入れた。何故?」


あー・・・。


「えーっと、ギルドから情報を受け取って、その後騎士団でも下調べはしましたので・・・。」


「ふーん・・・ならよっぽど優秀なのね。あれはつい先日できたものよ。」


「・・・・・。」


あー、やべ。

ここは正直に言うか・・・。


「・・・昔ですが、似たような物を見た記憶があるんです。どこだったかは覚えてないのですが、子どもながらこんなものがあったら便利だよなー、って思っていたので。驚いてはいましたが、正直興奮の方が強かったんです。」


「・・・・・・・・。」


どうだ・・・・?


「なるほど、あなたも『ドワイトの夢』を見たのね。」


「ドワイトの夢?」


「そ、あなたが見たのは『ドワイトの夢』って名前の本よ。そこには色々と不思議な物が書いてあるの。」


そういいながら、本棚を物色するアリス。

お目当ての物を見つけたのか、宙を彷徨っていた指先が止まり、一冊の本を取り出す。


「それが?」


「これが『ドワイトの夢』よ。」


差し出されたのは年季が入った一冊の本。


アリスから本を受け取り、中を読む。

そこには・・・・。


「・・・『映像が流れる箱』・・・『馬がいなくても動く鉄の馬車』・・・『空高く聳え立つ塔』。」


「本によると、それらは全てドワイトが直接見た物らしいわ。私はそれを再現しているの。」


「・・・えっと、何故?」


「何故って決まっているでしょ。面白いからよ!誰しもが言った『そんなの到底無理だ、出来っこない』って。けど、あたしは諦めなかった。何度も何度も何度も繰り返し繰り返し改善し改善し、やっと!それに近しい物ができた、それが転移魔方陣よ。本当は、虚像のみを映し出す予定だったのが、実物が移動しちゃう失敗作だったんだけど。その利権をギルドが高く買い取ってくれた、そのお金で私はやっと実験開発に集中出来るようになったわけ。」


「そんな短期間でよく完成させましたね。」


「そうね、80年ぐらいかかったわ。」


「80!?え?いや、あのご年齢って?」


「あら、言ってなかったかしら。あたし、ハーフエルフなの。」


だからお若く見えるんですね!!!


「すみません、見た目で判断してしまって。」


「別に気にしてないわ、言ってないもの。」


「ところでー・・・。」


「何?要件は手短に伝えて頂戴。」


「あそこにあるのってこの『冷気によって食材を補完できる箱』ですよね?見た感じ外付けのパイプで冷気を送ってるっぽいんですけど、Dランクぐらいの氷魔石を直接箱の上部に取り付けて、その冷気を閉じ込めるようにしてみるのはどうです?」


「・・・・ありね!!!」


やったぜ!!!


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