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ex,04 いじけん坊の羽ばたき

「くそっ!くそっ!」


悔しさと恥ずかしさが込みあがってくる。

なんで、俺はこんなにも弱いだ。ちゃんと訓練はしてきたはずなのに。


「今まで、俺がやってきたことって・・・無駄なのか?」


気持ちが暗く沈む。


「おーい、そこの新入生ー。」


そんな荒れた心の俺に話しかけてきたのは、呑気な顔をした上の学年の奴だった。


「授業中にこんな学園の端っこなんかにいてどうした?道に迷った?」


「・・・そんなあんたはどうなんだよ。」


「俺?俺は先生に頼まれてお使いだよ。」


お使い、先生に頼まれごとをされるってことは"成績が優秀”ってことだ。

・・・こんな奴が。


「・・・くそっ。」


「なんか知らんけど、ずいぶん荒れてんな。ちょっと落ち着けって。」


俺の気持ちなんか知らないこいつに、カチンっときた。


「うるせぇっ!!」


振りかぶった拳が空を切る。

簡単に躱された。


「なんだよ、暴力はいけないぞ。」


「うるさい!お前なんかに俺のなにが解る!」


何度も拳を叩きこもうとするけど、一つ一つを軽く躱される。


「俺だって努力してるんだ!それなのに・・・っ!」


「おいおい、話なら聞いてやるから落ち着けって。」


「くそっ!くそっ!」


「話を聞いちゃいねぇ・・・。しょうがねえ、な!」


「うわっ!」


足を払われ、転ばされた。


「なんか知らんが、相手になってやんよ。」


俺を挑発するかのように、見下ろしてくるこいつ。


「くそっ!勝負だ!!!」


そんなムカつく先輩に俺は挑んだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「はぁっ・・・、はあっ・・・。」


「どうした?もう来ないのか?」


あれから、どれだけ時間が経ったのか。

日が沈みかけて、辺りは夕焼け色だった。


「な、なんで・・・あんた、は・・・へいき・・・なんだ。」


息も絶え絶えに声を掛けると


「んー?俺は強いからな。」


「・・・・。」


息一つ乱さずに、何度も何度も俺は転ばされた。

ここまでやられると・・・。


「だー!!!くそ!勝てねぇ!!!本当に強えぇ!!!」


「あたぼうよ、そう簡単に新入生に負けるかよ。」


まあでも、とこの先輩は続けた。


「お前も根性は中々のもんだぜ?今まで頑張ってきたんだろ?」


そんな風に褒めてくれた。


「・・・なぁ、先輩。独り言なんだけどさ。」


「んー?」


「俺、小さい頃から一緒に育った奴がいるんだけどさ、魔術師系の奴。そいつにさ、約束したんだ『俺がお前の盾になる』って。だけど、俺、全然強くなれなくてさ。」


「・・・・・。」


「だから・・・俺・・・。」


「そんで、諦めんの?」


「・・・・・。」


俺の話を聞いてくれた先輩はちょっと考えるように空を見上げた。


「ん~・・・、それが本当の気持ちなら、俺は否定しない。」


「え・・・。」


「だけど、出来ない理由が”強くない”だけならそれは違う。」


「強くないだけ・・・。」


「そ、今君は”自分は強くない”って言い訳をしてるに過ぎない。」


「けど、俺だって努力してきたんだ!それなのに。」


「俺が教えたるよ。」


「先輩が・・・?」


「そ、俺が強いのはさっき戦ってわかったでしょ?」


「・・・。」


「それに、君・・・えーっと?」


「あ、レオっす。レオ・ハーバー。」


「んじゃ、レオだな。俺はシン、シン・ガナスト。よろしくな。」


「あ、うっす。」


こちらに差し伸べてきた手を思わず取ってしまう。


「んでな、レオには素質があんのよ。」


「素質・・・すか。」


「そ、人が一番強くなれるのってなんだと思う?」


「え、強い人に教えてもらうことすか?」


「なはは、違う違う。人は、大切なモノのためになら強くなれるのさ。」


「・・・うっす!!!」

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