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牢獄からお届けします(ガチ)

「んー。」


あ、どうも。シン・ガナストです。

先ほどステラとソフィアを守るために影?なるものを撃退しました!

なんですけども、今、私、何故か。


「まさか、人助けをして牢屋に閉じ込められるとはな。」


そう、俺は今、あの屋敷の牢屋にいるのだ。


あの後、どうやら眠らされていた兵士達が駆けつけて来た。

駆けつけた兵士達が見たのは呆然としてる二人と見たこともない少年。


まぁ、ふつーに取り押さえられるよね。

俺もさ?あの二人がちゃんと兵士に伝えてくれるだろうと思ってて余裕かましてたんよ?


そしたら、当の本人達呆然としちゃっててさ、兵士達に言われるまま屋敷の中に消えちゃった。


そんで、そのまま牢屋へれっつらごー。


なんでやねん!


「はぁ・・・そろそろ正気に戻って『大変!』とかなってねぇかなぁ。」


そんな暇な事を考えながら俺はダラダラして過ごしていた。


わりと牢屋って過ごしやすいのな、あでも寝る時辛そう。

とか考えていると、牢屋の入り口から何人かの気配を感じた。


やっとかな?


遠慮がちに開かれた扉から、ソフィアが顔を出した。


「あの。」


「んー、やっと出してもらえるのか?」


俺が入っている牢屋の前にソフィアを含めて4人来ていた。

一人はステラ。残りの2人は知らん。たぶん、警備の兵士かな。

片方はだんでぃーなおっさん、片方はメガネを掛けた若い人だ。


「え〜っと、私としてはすぐにでも出して差し上げたいんですけど・・・。」


そう言って兵士の方を見ている。


ふむ・・・。


「なんか問題でもあるのか?」


まさか俺が影・・・だっけ?そんな奴らと疑われてるのか?まさか。

ただ空から落ちてきて、素性をよく知らなくて、影を倒せるほどの実力を持つ俺を怪しむなんてな!


・・・アウトどころかチェンジだな。問題点しかねぇよ。

誰だって疑うわ!俺だって疑うね!


いかにも遊んでそうなチャラい男が俺、真面目に就職するっていきなり言い出すぐらい胡散臭いもん!


胡散臭さをなくすためには話の中に根拠を入れるといいんだぞ!

俺、真面目に就職する。そのために酒、タバコ辞めて、おはようワークで仕事を探してるんだ。この前、バイトの面接受かったから金を稼いで資格の勉強しながら、仕事を見つけたい。

って感じに根拠を濃くすると頑張ってね!ってなるらしいぞ!


そんなことを一瞬で考えている俺にメガネを掛けた兵士が話しかけてきた。


「貴様がどこの誰かは知らないが、影ではないのだな?」


ん?なんだその質問?


「そりゃね。俺が暗殺者襲撃者の類なら顔見せないですし、それにいつまでもここにいないと思いますよ。」


俺が答えると、メガネは考え込むように目をつぶった。


「どーしたんです?」


「・・・貴様に提案がある。」


提案?なんだろ、ここを出たければ誰かを殺せとか?やだー。


「提案ってなんですか?」


「雇われる気はないか?」


雇う?俺を?


「何故です?」


「影を撃退できる能力を持っているからだ。」


まー、そうですけど。


「けど、素性を知らない奴ですよ?危険だと思わないんですか?」


「そうなんだが・・・。」


メガネが不服そうな顔をしてソフィアを見る。


「実はですね・・・」


ソフィアが理由を話そうとするとそばにいた兵士が口を挟んできた。


「ソフィア様、その説明は私から。」


「・・・そうですね、お願いします。」


そう言葉を交わすとだんでぃーなおっさんは俺の方に向き直った。


「すまないな、少年。私はトラベル。トラベル・ガードナーだ。この屋敷の警備兵長をしている。」


「怪しい奴はほっとくわけにはいかないですし、構いませんよ。俺はシンです。」


「うむ、理解してくれていて助かる。今現在、この屋敷の警備には大きすぎる穴があるのだ。」


「かもですねー、この大きさの屋敷の割に兵士が少ない気がします。」


「わかるのか?」


「さっき見た人数的に?」


俺がそう答えるとトラベルさんは嬉しそうに笑った。


「なかなかな観察力、それに頭も回るようだな。」


「あんま買い被るのは危ないですよ?」


「わかっている、それでな、雇われてくれるのなら、君にはソフィア様の護衛としてついて欲しいのだ。」


「ソフィアさんの?」


ソフィアの方を見ると苦笑いを返された。そして、その後ろにいるステラからは殺意を感じた。

おぉ、怖い怖い。


「護衛にはステラがついているのだが、今日のようなことを繰り返すわけにもいない。

そのために護衛の手数は増やしておきたい。」


「それで俺に提案を持ちかけたと。」


「うむ、どうだろうか?」


「・・・ここから出るにはそれを受けるしかないでしょうに・・・。」


脅迫みたいなもんだぜ全く。


「受けますよ、それ。雇われます。」


「うむ、すまないな。」


んー、俺としてはいいんだけど。こんな得体の知れない奴を雇うなんてなに考えてんだか。


「私達はあなたの事知りません。」


ソフィアが俺の方を見ながら語りかけてきた。


「けど、私はあなたを信じるに値する人だと感じました。」


・・・この子、やっぱ普通ではないな。


「・・・期待に応えるように努力はしますよ。」


やっと牢屋から出してもらえた俺は、この屋敷で雇われる事になってしまったのだ。ちゃんちゃん♪


展開が早すぎるぜ。ま、こちらとしては好都合かな。


牢屋から出してもらえた俺はなんか執務室的なとこに連れてかれた。なんでも正式に雇用契約するためなんだと。


周りにはかなりの量の資料と作業をするためと思われる机、来賓した客用の机と椅子。


そこには今、俺とトラベルさんしかいない。

なんつーか・・・。


「あまりにも君に対する警戒がなくて驚き半分飽きれ半分って所かな?」


俺を見ていたトラベルさんから、考えていた事を指摘された。


「そーですね。自分で言うのもなんですけど、こーんな謎だらけの奴にたいしての警戒が薄すぎる気がします。俺を侮っているのか、トラベルさんが相当強いのかって考えちゃいますね。」


俺の答えが面白かったのかトラベルさんはくくく、と笑った。


「シン君がそう考えるのも無理はないな。侮っているわけではないよ、私は相当強いがね。君の考えは両方外れだ。」


「それじゃ?」


「ソフィア様だよ。」


ソフィア?


「ソフィア・・・様がどうかしたんですか?」


「ソフィア様が信じるに値すると答えたからだ。」


・・・それだけで?


「あー・・・」


「おっと、別に俺がソフィア様に陶酔してる訳ではないぞ。シン君は感じたかな?あの子の普通じゃない雰囲気に。」


「・・・えぇ。」


あの時、俺に信じるに値すると答えた時のソフィアからは得体の知れない物を感じた。

不快感はなかったが、何もかもを見透かされているように感じた。


「たまにな、ソフィア様からあのような感覚を感じるのだ。」


「なんというか、あれは普通ではないですよ。」


途中、トラベルさんに渡された雇用書類を書きながら

話を進める。


「あぁ、確かに普通ではないな。けれど、あれこそが王族としての器なのではないかと俺は思う。」


王族としての器ね。


「・・・王族ぅ?」


「ん?そうか、説明がまだだったな。なぜ、ソフィア様がこのような場所にいて、何故影に狙われるのか」


「そいや、聞いとりませんでしたなぁ。」

まぁ、聞かずともなんとなーく王族って言葉を聞いたら・・・ねぇ?よく聞く話でしょ?


「現在、この国の王は病に伏せっている。その為、早急に後継ぎが必要になったのだが・・・。」


「必要になったって、何?子どもでも産ませるの?それはあんまし聞いたことない。」


「いや、話せば長くなるのだが・・・昔、王には伴侶がいたのだ。だが、その伴侶が出産と同時に亡くなられた。それ以来、王一人だったのだが、最近になって王が妃に産ませた子どもがいる、との話が出てな。国中で捜索が始まった。」


「ほえー、そんでソフィア様が見つかったと・・・ならなんで城じゃなくてこんな屋敷に?」


「・・・実のところ、ソフィア様は姫様候補の一人なのだ。」


「ひめさまこうほぅ???」

なんやそれ、ひめさまこうほうって、ここにひめがいるぞー!!!って広げるわけでもあるまいし。


「現在、姫様候補は3人。一人は大臣が協会より保護した娘、もう一人が大商人の義理の娘、そして

 最後の一人が」


「ソフィア様って事ですね。」


「あぁ、俺は後の二人にあったこともあるのだが、ソフィア様のあれを感じたらな。」


・・・・・・・・・・


「だから、ソフィア様が王の娘だと?」


「その可能性が一番高い、と考えるのが俺の見解だ。」


「確かにそうかも知れません。けれど、王の娘である事を証明する物がないのでは?」


「あー、それは選定石で判別できるんだが・・・。」


選定石

その名の通りに何かを選定する時に使われる特殊な魔石だ。その選定に間違いはなく、偽りの結果を述べる事もない、ただ真実のみ答える石

なのだが・・・


「なんか歯切れ悪いですね。最初から選定石使えば良いと思うんですけど。」


「それがなー、今回使われる選定石は特殊でな。それのせいでソフィア様が見つかったというか巻き込まれたと言っても過言ではないのだが、王族としての何かに反応するんだ。前回まで候補は八人いたんだが、選定石の反応で絞って今の人数になったんだ。」


「前まではもう少しいたんですね。」


「反応があったのが先ほどの2人。それとたまたま広場にて落とした選定石を拾った際に反応があったソフィア様だ。」


「・・・だから巻き込まれっすね?」


「・・・そうだな、彼女は候補者でもなんでもなかったのだがな。」


そうこうしてる内に書き終わった書類をトラベルさんに渡し、チェックをしてもらう。


「記入漏れはなし。これでシン君もこの屋敷の一員だ。」


「うっす、これからよろしくお願いします。」


「よろしく頼む。早速ソフィア様の護衛に着いて欲しい、今の時間なら自室にいると思うぞ。」


「はーい、失礼します。」


トラベルさんに別れを告げ、執務室から出て、廊下をテクテク歩く。

俺に色々教えたのは俺を試しているのか、それとも・・・。


「考えてもしかたねぇか・・・。」


「何をだ?」


後ろから声を掛けられて、振り向くとステラがいた。


「色々と、新入りなもんで考えることが多いんですよ。」


「そうか、最初に言っておくが私はお前を信用してはいない。お前が怪しい動きをすれば、その瞬間がお前の最後だと思え。」


おぉう、これが当然の反応だと思う。


「あいよ、それでいいよ。」


「・・・何?」


「最初から信用しなくていい。信用してもらえるように頑張るだけだからな。」


「・・・やはり貴様は変な奴だ。」


変な顔された。

ステラは何かを諦めたようにため息を吐いた。


「・・・ソフィア様の自室はこっちだ。」


「お?迎えに来てくれたの?」


「・・・変な所を歩かれるよりは案内した方が安心だからな。」


「それもそっか。」


ステラと肩を並べてソフィアの自室に向かう。


「お前の・・・。」


「ん?俺の?」


「お前のあの格闘術はなんなんだ?」


「あー、あれか。」


「格闘術とは違う感じがした。」


「あれは武器を持たずに敵を倒す武術。俺が使う武術の名は”刹那無刀流”。師匠から教えてもらった戦い方だ。」


「刹那無刀流・・・聞いた事もないな。師範の人はどんな人なんだ?」


「・・・俺が知る限り地上最強の生命体だな・・・何度殺されかけたか・・・。」


今思い出しても恐怖で身体が震える、ほんとあの人の無理難題には恐れしか浮かばない。


思い出したら寒気が・・・。


「大丈夫か?顔が青いが・・・。」


「気にしないで。」


んー、警戒してるわりに気を使ってくれるし悪い子ではないんだよなー。


「後で頼みたい事がある。」


「ん?俺に?」


なんだかなー、今日は頼まれ事が多いな。


「お前以外に誰がいる?」


「いませんね、あい、分かりました。」


「・・・頭が痛くなってきた。」


それからはお互いに無言で廊下を進んだ。


しばらく進むと扉の前にメガネが立っていた。


メガネはこちらに気がつくとステラが話しかけた。


「変わりはありませんか?アイゼルさん。」


どうやらメガネの名前はアイゼルと言うらしい。


「ああ、ソフィア様も中におられる。」


そう言ってアイゼルは俺の方を見た。


「そういえば自己紹介がまだだったな、私はアイゼル。アイゼル・ビスタだ。」


「あ、ども。シン・ガナストです。」


「お前、ガナストって名前だったのか?」


「あれ?言ってなかったっけ?」


「全く聞いていない。」


「あー、すまん。でも、俺も二人の名前知らんよ?」


「・・・私のはルージュ。ソフィア様のはファンドだ。」


ふむふむ、『ステラ・ルージュ』と『ソフィア・ファンド』ね。


「ほいほい、覚えた。」


「まだ自己紹介をしてなかったのか?」


お、メガネが突っ込んできた。待っててくれたのかな?意外といい奴だな。


「いえ、名前しか聞いていませんでしたので。」


「俺もシンとしか言ってなかったので。」


「自己紹介はちゃんとするのだぞ?初対面なら尚更大事だからな。相互理解が大切だ。」


「「はい」」


俺とステラが返事をすると、アイゼルさんがニコッと笑った。


「わかってくれたならいい。では、私も自分の仕事に戻る。ソフィア様の事はたのんだぞ。」


そう言うとアイゼルさんは俺たちが来た道を戻って行った。


「いい人だなー。」


「あぁ、私もソフィア様も何度もお世話になっている。」


ステラは扉の前に立つとノックをした。


「ソフィア様、ステラです。」


そう声を掛けると中から「どうぞ」っと声が掛かる。


「・・念のためにもう一度言っておくが、ソフィア様に危害を加えるのならその時は、、、。」


「あい、りょーかいしてます。」


俺が答えるとステラは扉を開けて中へ入る、俺もその後へ続いて部屋の中へ入る。


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