幼馴染ってのは時に人を狂わせる
「え!?俺がですか!?」
「え!?私がですか!?」
あれから場所を変えて、改めて俺たちがきた理由を2人に話した。
「あぁ、2人には私の部隊に入ってもらいたくてな。どうだ?」
「「ぜひぜひぜひ!行きます!行きます!」」
2人そろって乗り気だったようだ。
「先輩たちの所で働けるなんて夢みたいだな!」
「ほんと!今日まで頑張ってきたのが報われた気分!」
お互いに顔を見合わせても喧嘩してない所をみると相当嬉しかったようだ。
エルステアに行ったら~、なんてことを楽しそうに話している。
「ご両親に、こちらの手紙を渡してもらいたい。ソフィア様からの正式な手紙だ。」
そう言って2人の前に手紙を置くと、丁寧に両手で受け取った。
その顔には嬉しさを隠し切れない様子がありありと見て取れる。
「レオもリリアも、そんな簡単に決めて大丈夫かー?」
なんて冗談交じりに聞いてみたのだが
「はい!うちの親にはシン先輩の所に行きたいってずっと言ってたんで!親も『あの人の所なら安心だ』って。」
「うちも似たような感じです。『ソフィア様のような立派な魔法使いになってこい』って言われてますし。」
どうやら親御さんからの評価も高いらしい。
以前あった時に泣きながら『ありがとうっ!』って握手されたっけ。
「卒業するまでは少し時間がある。俺みたいに、ちゃーんと後輩にバトンを繋げてからこいよ?」
「「はい!」」
冗談で言ったことを真剣にとらえられちゃった。
まっすぐ俺を見る瞳に照れる。
「あ、そうだ。いい機会なんでシン先輩に相談したいことがあるんすけどいいすか?」
話が1段落ついた所でレオがそんなことを言い出した。
俺に相談?なんだろ?
ステラに目配せをすると、頷いた。
「構わない、多少の時間は取れる。」
「あ!じゃあ私もステラ先輩にご相談したいことがあります!」
はい!と右手をびしっと上げるリリア。
なんだ2人して。
「「こいつがいない所に行きましょう!!」」
・・・・・・・。
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「そんで、相談って?」
「それで、私に相談とは?」
「あの、リリアのことなんすけど。」
「その、レオのことなんですけど。」
「リリアの?なんかしたか?」
「レオ?何かあったのか?」
「その、ダンスがあるじゃないですか。」
「卒業式で踊るじゃないですか。」
「あ~、あったなそういや。んで?」
「あぁ、卒業式後のペアダンス、だったか。」
「その、リリアを誘いたいんすけど・・・。」
「あの、レオを誘いたいんですけど・・・。」
「おー、いいんじゃない?誘ってみれば?」
「良いと思うが、何かあったのか?」
「どう誘えばいいかわかんないっす!」
「どう誘ったらいいかわかりません!」
「・・・・・。」 「・・・・・。」
「あれって誘うの勇気いるじゃないですか!?」
「あれって誘うの勇気いりますよね!?」
「勇気も何も、声かけりゃいいじゃんか。」
「そうだな、少なからず好意を持ってるからな。」
「いやいや!喧嘩ばかりのリリアを俺がっすよ?」
「いつも喧嘩ばかりだから、不安で・・・。」
「ん~、リリアも拒否はしないと思うけど。」
「喧嘩ばかりでは駄目なのか?」
「・・・そうっすかね。」
「駄目じゃないと思いますけど・・・でも。」
「まぁ、相手がどう思うか気になるよな。」
「相手が自分をどう思っているか、気になる?」
「・・・シン先輩はどうやってステラ先輩を?」
「ステラ先輩は、どうやってシン先輩を?」
「・・・あ~、俺の場合?」
「・・・私は、か。」
シンとステラ。思い出すのは一緒の光景。
卒業式の最後に2人で踊った思い出。
「ステラ先輩、めちゃめちゃ誘われてたじゃないすか。」
「シン先輩、すごく人気だったじゃないですか。」
「そうなー、めっちゃ人気あったからな。」
「そうだな、たくさんの人があいつを誘ってたな。」
「「どうやって誘ったんですか?」」
「・・・。」
「・・・。」
「ま、ちょっと考えたんだわ。」
「少し考えたんだ。」
「「考えた?」」
「あいつの隣に自分以外の奴が、ってさ。」
「あいつの隣に自分以外の人をな。」
「「自分以外・・・。」
「すっげー嫌だった。」
「すごく、胸が苦しくなった。」
「んでな、ステラに会ったらすぐに言おうと思ってな。」
「それで、シンに会ったらすぐに言おうと思って。」
「顔を合わせたらステラと声が被ってさ。」
「顔を合わせたらシンと声が被って。」
「「すごく嬉しかった。」」
「・・・俺、誘ってみます。」
「・・・私、誘ってみます。」
「おう、頑張れ。」
「あぁ、頑張れ。」
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「「あのっ!!」」
レオとリリア。2人が顔を見合わせると声が被った。
2人とも面食らったみたいに、顔を見合わせてるが少ししてお互いに吹き出した。
ひとしきり笑いあった後、互いに歩み寄り、話を始める。
「思い出すね。」
「ん?俺らのこと?」
そんな2人を遠巻きに見ていると、ステラが話しかけてきた。
「うん、私たちもあんな感じになったね。」
「そうだなー、学生時代の良い思い出だな。」
「ふふ、良い思い出になれた?」
「もちのろん。」
今この瞬間だけは、騎士でも、隊長でも、副隊長でもない。
年相応の2人でだった。
シンもステラも告白じみた事言ってますが、互いが互いを高く見積もり過ぎて気付いてません。
お互いに相手は自分を『仲間』としてみてるって意識が強すぎるんですねー、残念。
ちなみに、シンとステラに人気が集まったのは2人の人望もそうですが、みんな玉砕覚悟のワンチャンス狙いです。
だって、同じクラスの2人が阿吽の呼吸で色々やってるの見てるんですもん。
断られても「やっぱりそうよねー。」ぐらいでした。




