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5年後の俺たち

師匠にデコピンを食らってから5年経った。

あ、5年間気絶してたわけではないよ?ちゃんとすぐに起きた。

起きたら3人とも喜んでるし、王は不機嫌だしで状況を理解するのには時間がかかったけど。


この5年間色んなことがあった。

まずは国民に王が復活し、エレノア王妃が無事だったことが伝えられた。

その日から3日間はお祭り騒ぎだった、ソフィアの存在はまだ伝わっていない。

いろんな事情が絡んでいるってことだったが、ソフィアはまだ人前に立てるほど立派じゃない、って断ってたのが大きいと思う。あの王だし。


そして、ダレダが化けの皮をはがした。文官や各管轄の責任者をまとめ上げてた。

化けの皮が剥がれたダレダに皆戸惑っていたけど、的確で効率的な支持を受け、すぐに認めてた。


国が少し落ち着いた頃、4人で学校に通うことになった。

4人で学校に通ったのが、一番濃い部分だったかもな。

身分を秘密にして、エルステアから馬車で3日掛かる所にある全寮制の学校に通ったんだ。

「娘とまた離れるのかっ!!!」って暴走しそうだったけど、エレノアさんの一喝で大人しくなった。


学校では、「途中で入ってきた新入生の実力を知りたい。」ってことであんまり目立たないように・・・。

ではなく、全員本気でやった。


マリオンはどうやらミャスタと魔術の特訓をしていたようだが、まだコントロールが難しいらしい。的を木っ端微塵にしてた、無詠唱で。これに魔術教員は冷や汗をかいてた。

マリオンがお手本にしたのがソフィアって点で、無詠唱が当たり前なんだと思ってたらしい。


ソフィアは【気配なき干渉(アンヴィジブル)】を披露した、目に見えない魔法を目にした魔術教員は目ん玉が飛び出てたと思うし、表情が無だった。


俺とステラは元冒険者の職員と模擬戦。

かなり強かった人たちらしい。

けど相手は俺とステラだったから、結果は分かりきっていた。

俺もステラも一撃で勝負をつけた。


後で聞いたことだが、俺たちの対処をどうするかで会議になったらしい。

あまりにも同年代と実力差があり過ぎた。けど、同じ子どもってことで同年代と同じクラスにしてくれた。能力だけではなく、純粋に同い年同士でコミュニティを楽しんでほしい。と学長の一言で決まったらしい。


そこからは怒涛の勢いだった。急に編入してきた4人に周囲は興味津々、良い意味で。

そのうちの3人は美少女ってことで、男子が沸き立っていたらしいが、どこの世界も女性は強い。

すぐに鎮静化された。3人とも、楽しそうだった。

色んなことがあったが、学生時代の話はまたの機会にするとしよう。


5年後、俺たちは18歳になった。

その頃には、ソフィアが表舞台に立つことになった。

ソフィア・ファンド・エルステア

正式にエルステア王国の後継者となったのだ。


そして、俺たちは・・・


「近衛隊・・・ですか?」


「そうだ、ソフィアが直接動かせる近衛部隊、それの隊長をステラに頼みたい。」


ダレダの手伝いをしていたら、王であるエドガーから直々に呼ばれ、俺たちはそんな話を聞いていた。


「理由はお前らならわかるだろ。」


「人を動かすことに慣れるってところですかね。」


「そうだ、小僧。本来ならもっと早く任せるところだったが、理由が理由でな。」


【凶翼】の介入による空白の期間。そのため、ソフィアを育てることが出来なかった。


「ステラが隊長なら、俺はその補佐ですか?」


「お前には雑用係を・・・嘘だ、副隊長を任せたい。」


俺の隣からすごい気迫が出たので、エドガーはすぐに撤回した。


「知っての通り、この国の騎士団は団長から5つの部隊に別れている。俺直属の部下が騎士団長、その下に5人の隊長がいるのは知ってるよな。」


団長 剣聖"ルイズ・ソーヴァ”

一番隊 偵察隠密隊 隊長 ”カクレ・シノブ”

二番隊 戦闘突撃隊 隊長 ”ゼータ・ブリッツ”

三番隊 防衛守備隊 隊長 ”トラベル・ガードナー”

四番隊 後方支援隊 隊長 ”シエル・ハピナ”

五番隊 魔法部隊  隊長 ”マナ・マージ”


「騎士部隊とは別に警邏部隊もあるが、そっちは特別分隊となっている。」


1人見知った名前もあるけど、この国を守る最高責任者たち。


「今回の話が立ち上がったのもあいつらから推薦があってな。前回の会議の時、ソフィアを同席させたんだ。そしたら、どうなったと思う?ソフィアが指定した場所を捜査してみたら、そこが目標のポイントだったんだ。我が娘ながら震えたね、この娘は天才だ!ってね。それで部隊を1つ持たせて見るかって話しになったんだが・・・。」


ここで珍しく頭を抱えるエドガー、いつも強気(母子除く)なのに珍しい。


「何かあったんですか?」


「大したことじゃないんだが・・・希望者が殺到してな。」


「あー。」


そりゃそうか、姫直属の部隊だもん。

騎士としてはぜひ所属したいよなー。


「王としては奴らの気持ちを汲んでやりたいが色々と・・・。身内であるステラなら適任だと思ってな。」


「私が・・・ですか。・・・わかりました、お引き受けします。」


少々考えた後、エドガーの提案を受けることにしたらしい。

その言葉を聞いたエドガーは佇まいを正し、王としてステラへ命令する。


「ではステラ・ルージュよ、今この時から、貴殿を近衛騎士隊の隊長に任命する。以後、責務を果たすことを期待する。」


「はっ!」


ステラが頭を下げ、これで王命終了。

本来ならもっと複雑な儀式になるんだけど。


「ま、ステラちゃんなら大丈夫だね。」


「・・・・・。」


いかんせんこんな奴である。


「あ、そうそう!隊長に就任ってことで鎧の新調もしなきゃだから採寸してきなさい。ミャスタ!案内を頼む。」


「仰せつかりました。ステラさん、こちらへ。」


「はい。・・・あの、シンは?」


「あー、小僧にもあれやんなきゃいけないのよ。終わったらすぐに行かせるから。」


めんどくさそうにわざとらしくため息までつけやがって。


「すぐに向かうから、先行っててくれ。」


「・・・わかった。」


ミャスタと共に扉を出ていくステラ。

さて・・・。


「なんだよ、おっさん。小芝居まで挟みやがって。」


「【凶翼】についてだ。」


「・・・・おう。」


「5年前、アルター殿に叩き潰されたこの国の支部はかなり重要な施設だったらしい、奴らも体制を立て直すためかとんと姿を見なくなったが。最近、各地でそれらしき組織の動きを捉えた。」


「・・・捕縛は?」


「失敗に終わっている、向かわせたのは一,二番隊の連中、戦力は申し分なかった。だが、失敗した。」


「相手も相当な実力者、って所か。」


俺とエドガーは【凶翼】関係で協力体制を取っている。

【凶翼】を討伐しようと動いているのだがやつらは中々尻尾を出さない。前回叩き潰したことでより一層闇の中を動くようになっている。


「今回、ステラとお前を矢面に立たせたのは。」


「【黒】を認識できる俺と、白と断言できるステラで近衛隊を組織させるため、だろ。」


「そうだ、誰を入れるかはお前らに一任する。」


「・・・外部の人間あり?」


「無論、信頼できる部下を集めろ。」


「了解した。」


実は、ステラに打診をかける前からエドガーにこの話を聞いていた。

ヨハネス、というこの国の中核を担う人物までもが汚染されていた事実はエドガーに深みを与えた。

正直、今この王様を敵に回したくない。謀殺されそう。


「あぁ、それからもう一つ。」


「なんだよ?」


今までで一番鋭い眼光を俺に向けるエドガー。

その鋭さに一瞬ひるんでしまったが・・・。


「うちの娘に手ー出したら殺すぞ。」


「・・・あんたのそーゆーところほんと残念だよなぁ。」


「娘が可愛くて何が悪い!!!あんな最高の娘たち他にいないぞ!?あぁ、パパはしあわしぇですぅ~~~。」


にやけた面で顔を崩す馬鹿おやじ、それに俺は深く深くため息をついて背を向ける。


「おい。」


出口に差し掛かる俺にエドガーが声を掛けてきた。


「頼んだぞ。」


その一言には重い意味が込められている。

だけど・・・。


「あぁ、シン・ガナストの名に懸けて。その言葉を受け取らせてもらう。」


「へ、生意気な小僧が。」

あれ?王様死ぬ?

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