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思惑と真実とボーイ・ミーツ・ガール

「ほんで、全部説明してくれるんでしょうね?」


「・・・もちろんだ、全て話そう。だが、ここで話を続けるのはいささか躊躇われる。」


辺りを見渡せば、死体、死体、死体。

う~む、腰を据えて込み入った話をするにしては殺伐とし過ぎている。


「ミャスタ。」


「はい。」


「警備団長のディエゴに声を掛けてきてくれ。これほどの騒ぎだ、奴も来ているだろう。」


「かしこまりました。今回も『闇夜』でよろしいでしょうか?」


「あぁ、頼む。」


ミャスタは一礼すると、音もなく闇夜の影に消えていった。

ほんとーになにもんなんだよ、あの人・・・。


「後はミャスタに任せて、移動しましょう。」


俺たちに移動を促すダレダ。

師匠が手伝ってる時点で、疑いようのない味方。

はてさて、どちらまで連れて行かれるんでしょうね?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


で、到着しましたお城です。

促されるまま外に出て、ダレダは3頭身になってて、何故かミャスタが待ち構えてて。

「全て万事順調でございます。」って馬車に案内され。

あれよあれよという間にお城の一室に連れて来られた。


移動中、皆終始無言だった。無理もないね、衝撃の連続だったもの。

いつもなら場の空気変えに勤しむ俺だったけど、さすがに今日は疲労がやばい。

身体が重たい。


「・・・さて、どこから話したものか。」


3頭身モードから威厳あるモードに変わったダレダ。

オンオフ自在なのね。


「まずは、ソフィアとステラのかーちゃんの安否。まじで大丈夫なんすよね、師匠?」


そこをはっきりさせておかないと、2人が気が気でないでしょ。


「あぁ、昏睡状態ではあったが命に別状はない。しばらくすれば眼を覚ますはずだ。」


「護衛とか付かなくていいんです?」


「その点はご心配には及びません。私直属の部下が見張っています。何かあれば直ちに対処が可能です。」


師匠の言葉をミャスタが引き継いで答えてくれた。

2人が胸を撫でおろし、強張っていた力が抜けた気配がする。


そんな俺たちの様子を見て、ダレダは重い口を開いた。


「・・・君たちは『翼神党』というものを知ってるかね?」


「「「翼神党?」」」


3人で顔を見合わせる、俺はともかくステラもソフィアも知らないようだ。


「・・・少し長くなるが、数十年前に現れた宗教の名だ。ほんの数名の集まりだったと聞く。少なくとも出来上がった時点では『世界の安寧』が主だった目的だったようだ。」


あー、やだやだ。

国を亡ぼす関連に宗教が絡むと碌なことがない。


「だが、ある日を境に勢力が拡大していった。そして世界の安寧のためにと、国の乗っ取りを計画するほどに奴らの【エゴ】が膨れ上がった。当時の王たちは世界にいらぬ混沌を生み出す存在として、翼神党の殲滅に向かい、滅ぼした・・・はずだったのだ。」


「・・・俺たちの前に現れた【凶翼】なる組織はそれの残党?」


「その通りだ。」


かー!嫌だね!


「奴らは闇に紛れ、生き残っていた。その爪を牙を研ぎ、機会を伺っていたのだ。」


「すみません、少しよろしいでしょうか?」


話を中断させたのはソフィアだった。


「えっと・・・何故、私と母はその、このお城?から村に隠れることになったのですか?」


「・・・・・。」


うん、不思議に思うよね。城の中のほうが護衛だとか警備だとか楽じゃんね、って思うけど。

そーはならんかったのよね。


「・・・国を治める大臣からも裏切者が出てるんだ。誰が味方で、誰が敵かわからなかったんだと思う。」


「ステラ?」


意外なことに、その答えを口にしたのはステラだった。


「少しだけわかる。私も1人でソフィアを守ろうともがいて、誰かを信じることが難しかったから。」


ステラの視線の先には俺が立っている。

・・・これ遠回しに、もう信じてるって言われてる?ものすごい嬉しい。


「・・・王も苦悩なさっていた。闇夜から忍び寄ってきた【羽】は風に乗り、いかなる場所へも侵入していた。その渦中で、あることが分かった。」


「あること?」


「ソフィア様、あなたにはこの国の秘宝【神衣(カムイ)】への適性があったのです。」


「【神衣(カムイ)】?」


「詳しくはお話できませんが、とてつもない力を宿した神具(しんぐ)でございます。それは国1つを簡単に滅ぼすことができる、とも言われております。」


神具(しんぐ)

その名の通り、神が使っていたとされる道具。

噂は聞いたことあったけど、実在しているのは初めて聞いた。


「奴らに知られればあなたが狙われるのは明白。奴らにそれを悟られぬように王は、あなた方を亡くなったことにして逃がしたのです。おかげで、奴らには気付かれておりませぬ。」


「そう・・・ですか。」


「内情に詳しいけど、あなたは何者なんですか?」


「この凡骨はただ1人、王が友とお認めになられた方です。」


「ミャスタ・・・。」


「意気地なしの弱虫ではありますが、やるときにはやる男。王の懐刀であり、緊急時においては紋章の使用も許可された方です。一回も使ったことありませんけど。」


あー、まじかぁ。

つまり、今の思慮深いめちゃめちゃ威厳があるモードが素で、3頭身モードが演技ってわけだ。

さすがのアカネもそれは見過ごしてたみたいだな。


「王の命により、私はお調子者を演じていた。内通者を探すために、その最中見つけたのが彼女【マリオン】だ。」


みんなの視線がお茶を楽しんでいるマリオンに集まる。


「・・・?」


「彼女は・・・その・・・。」


「あぁ、人口生命体(ホムンクルス)である。」


「一体この先どうなるんですか?」


「無論、このままにしてはおけない。」


「ですが・・・。」


ソフィアの顔が曇る。

この先、マリオンの処遇が気になるのだろう。


「どーにかこーにかできないんですか?それこそ、ひっそりと暮らせるようにするとか。」


「それも考えた。だが、【凶翼】がいる手前迂闊なところには置けない。」


「う~む・・・師匠は・・・駄目だ。女の子にあんな野蛮な生活はできない。」


「張り倒すぞ。・・・意地の悪いことしないでとっとと結論を言え、髭。ここで匿うつもりなんだろうが。」


「あ、そうなの?」


ダレダはニコリと笑い、師匠の言葉を肯定した。


「あぁ、我々が責任をもって面倒をみる。」


「主に私ですが。」


ぼそっと言ったミャスタの言葉をかるーく聞き流す。


「良かった・・・。」


人の心配をしてる場合じゃないのに、本当に優しい子だね。


「もう夜も遅い。今日は一度解散し明日の朝にまた改めて話をしよう。ミャスタ、部屋の用意は。」


「もう準備はできております。ソフィア様とステラ様は同室にシン様はその近くの部屋、マリオン様は私の部屋へ。お部屋には着替えも用意してございます。アルター様はいかがなさいますか?シン様と同室という形になりますが。」


え"っ、師匠と一緒・・・。


「・・・いや、私はいい。ここは性に合わん。」


ほっ、師匠と同室は免れた・・・。


「では皆様、お部屋に案内いたします。」


そう言って歩を進めるミャスタに俺たちは着いていく。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「それでは皆様、今日はゆっくりお休みなさいませ。」


お辞儀をし、マリオンを連れ部屋に連れていくミャスタを見送る。

どうやら部屋の中にシャワー室もあるらしい。


「ソフィア、私たちも。」


「うん。シンもまた明日。」


「ほいほーい、また明日ー。」


ひらひらと手を振りながら部屋の中に入る。

後ろ手にガチャ、と扉を閉めベッドに向かおうとした俺は


「ぉ、っとぉ・・・さすがに無茶したなぁ。」


そのまま地面にぶっ倒れた。


あー、やべぇ、意識が・・・・・・とお・・・く・・・・・。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


・・・・・・・っ!


なんだ・・・?声・・・?


・・・・ンッ!


誰か俺を読んでる・・・?


「シンッ!!!」


「ス・・・テラ・・・?」


「シン!良かった、気が付いた。」


重たい瞼を開けると、目の前に泣きそうなステラがいた。

やべー・・・やらかした・・・。


「俺は・・・。」


「床に倒れていたんだ。」


部屋に入ってそのままぶっ倒れたままだったらしい。

それはともかく


「なんで、ステラがここに?ソフィアは?」


「ソフィアはもう寝ている。私は、その、お前の様子が気になって。」


「俺の様子?」


はて、表に出さないように我慢していたと思ったが・・・。


「少しふらついていたし、元気もないように見えた。」


「そんなことで・・・。」


「そんなことじゃない、本当に心配したんだぞ。」


「あー・・・えっと、ごめんなさい。」


「「・・・・・。」」


沈黙と静寂が部屋を包む。


・・・俺は今天井を向いている。

ステラはそんな俺をのぞき込むようにしているのだが・・・。

俺の頭の下に柔らかいようで、しっかりと引き締まっているステラの太ももがある。。

俗にいう、膝まくら状態である。

こんな美少女にされている事実が俺の鼓動を早くする。

落ち着けっ!ふわりと香るいい匂いも!風呂上がりだと思われるしっとりと濡れた髪でいつもと違うステラでも!落ち着くのだ心臓よ・・・!


「本当にすまない。」


「ん?」


落ち着けぇ!と自分に念を送っているとステラが口を開いた。


「私がもっと強ければ、もっと良い結果になったかもしれないのに。」


「・・・・・たらればの話だよ。俺だって、もっと上手くできたかもしれない。」


「だけど、シンは精一杯・・・。」


なんでステラがここまで俺を気にしてくれているのか・・・簡単なことだ。

俺が人を殺したから。

俺は見る人が見れば人殺しなんだ、過程だとか理由がとか関係なく、事実として。

だけど、俺はもう3人の言葉で救われてんだよね。

平気かと問われたらまだ平気じゃないけど、心はだいぶ軽くなってる。


「俺さ、実は魔力量が貧弱なのよ。」


「そういえば、魔力が少ないって言ってたな・・・。」


「そ、少ないどころじゃないのよね。まじで貧弱なの、皆が普通に使える身体強化が使えないぐらいね。」


「え・・・それじゃお前は身体強化を今まで使っていないのか!?」


身体強化、戦闘を生業にしている者なら誰しもが使ってる基礎中の基礎。

俺はそれが使えない、魔力が足りないから。

常人でも30分は継続して使える魔術は俺は3分でガス欠になる。

俺の大きな弱点。


「俺に、皆と同じぐらいの魔力量があったら結果が違ったかもしれない。けど、ならなかった。それだけなんだよステラ。」


「なんでそれを私に教えたんだ?」


「さぁ?ステラが俺の責任まで独り占めしようとしてたからじゃない?」


ステラは一瞬きょとんとした顔になった。

それが可愛くて思わず微笑む。

それを見て怒られるかな?って思ったけど、ステラも微笑み返してくれた。


「・・・そっか。」


「ん、そうだ。」


ステラは真剣な眼差しで、俺の眼を見つめる。


「・・・私はもっと強くなる。強くなって、何時の日か必ずお前の隣に立てるように頑張るから。」


「そりゃ楽しみだな。」


2人で顔を見合わせ微笑みあう。

滅茶苦茶な一日の最後は穏やかに過ぎていく。

これにて序章完結!・・・ではなくもうちょっと続きます。

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