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暗躍する翼 白と黒の君を添えて

『影と交差する刹那 2』に大事な『片翼』のことを書き忘れる痛恨のミス!

ハイドのセリフに『片翼』の言葉を付け加え、修正しました。



「・・・・・。」


今度こそ、確実にとどめをさした。

身体の内側を黒曜の刃によって無数に貫ぬかれ、倒れたハイドはもうピクリとも動かない。


戦いが終わり、身体を脱力感と虚無感が襲う。

間違いなく、強敵だった。急所に何発ぶち込んでも、ケロッとしてやがった。

それに・・・後ろを振り向き、俺のせいで危険な目に合わせてしまった3人を見る。

すぐそばには、俺のミスを肩代わりしてくれたオボロの遺体。


俺のせいだ。俺がもっと早く・・・。


焦燥、後悔、師との約束を破ってしまったこと、そして人を自分が殺めたという事実がシンの首を真綿のように締め上げる。

気持ち悪い、頭が回らない、感情が沈む、誰か・・・。


「シン。」


「ぁ・・・ステラ。」


いつの間にか3人が近づいてきていた。


「大丈夫・・・ではなさそうだな。顔色も悪い。」


いつもの刺々しいステラではなく、純粋に心配してくれているのがわかる。


「ん・・・大丈夫だ、魔力を使い過ぎただけ。」


事実、俺の使用できる魔力は極端に少ない。

『造形』自体が魔力の馬鹿食いをする魔術なので、小型のナイフ1本作るだけでも疲れる。

何回も使用するのはかなり負担がある。


「それより・・・先に進もう。早く外に出ないと。」


「ああ・・・、遺体は後で憲兵に知らせて、回収してもらおう。ソフィア、捕まえている奴らは?」


「うん、大丈夫。しばらくは拘束が持つと思うよ。けど、誰か残ってた方が良いかな?」


「いや、残るのはやめておいた方がいいかも。外まではまだ距離があるかもしれないし、分散するのは得策じゃないと思う。」


「・・・そうだな、まずは私たちの身の安全を確保しないと。」


「・・・・・・・・。」


「ん?どうした?」


2人と話を進めていると、マリオンが俺のそばにやってきた。


「・・・・・ありがとう、良い子だね。」


そう言ってマリオンは俺の頭を撫で始めた。

・・・・ほ?


「へ?は?・・・ほ?」


「私を・・・助けてくれた。頑張って・・・戦ってくれて、ありがとう。」


なでりこなでりこ。とされるがままになる。


「・・・そうだな。シンのおかげで私たちも助かった。ありがとう。」

「本当にありがとうございます。」


ソフィアと珍しくステラからも直接お礼を言われる。


「で、でも、俺が油断しなければ・・・。」


「お前がいなかったら、私たちは確実に死んでいた。」


「少しでも戦える気になっていましたが、まだまだです。シンのサポートをしようとしましたが手が出せませんでした。シンに辛い思いをさせてしまいました。」


「これはシン1人の責任じゃない、私たちはお前の強さに甘え過ぎていた。せめて、お前が感じた苦しみぐらい一緒に背負う。」


「あ・・・ぅ・・・・。」


3人のまっすぐな感謝の言葉に思わず俯いてしまう。

重たかった心が少しだけ軽くなった。


なでりこなでりこ。


「わ、わかったから!もう先を急ごうぜ。」


「あ・・・・。」


気恥ずかしくなり、無理矢理なでるのを辞めさせ、扉へと進もうとすると名残惜しそうな声が聞こえた。

えぇい!こちとら健全な少年じゃい!女の子に囲まれるとドキドキするんじゃ!

・・・・・ありがとな。


3人を促し、外へと続いているであろう扉へと足を進めようとする。

けれど、ある1人の人物が扉を開け、登場したことによって止まる。


「おぉ、君たち!無事だったか!」


「ヨハネス様?」


俺たちの前に現れたのは、さっき会ったヨハネ・・・プ?だかのおっさん。

おっさんは周りを見渡すと、悲痛な表情を浮かべ、こちらへと近づいてきた。


「随分・・・ひどい状況だね。だが、大丈夫だ。もうすぐここに憲兵たちが来てくれる。安心してよい。」


ステラ、ソフィアはほっとした表情を浮かべている。

めちゃめちゃ良すぎるタイミングじゃん。


「ヨハネ・・ス様もよくご無事で。」


2人にだけ見えるように、後ろ手に「待て」を送る。

一応、アカネから教えてもらった該当者だから、()()かけてみるか。


「あぁ、何分急なことで対処が遅れてしまい、君たちを放っておいてしまい申し訳ない。」


「いえ、むしろ助けに来てくださり感謝します。…聞き間違いでなければ、ダレダ大臣が合図のようなものを言っていたと思うのですが・・・。」


「あぁ、彼の言葉の後に襲撃があったからね。だが、彼は今どこを探してもいないのだ。重要参考人として探させよう。」


「ありがとうございます。こちらのマリオン様とソフィア様に襲撃にきた『片翼』のハイドは死亡、6名拘束済みです。」


「そうか、ハイドは死んだか。こちらの不手際を解決してくれて感謝する。急ぎここを出よう。」


・・・・・・おやおやおやおや?


「ハイドをご存じで?」


「ん?あぁ。『影』の一人だった者だ、優秀だったのだが何故裏切りを・・・。」


「影の所属と知りながら、『片翼』が何かに反応しないのはなぜですか?」


ぴたり、と。俺たちに背を向け歩き出そうとしていたおっさんが止まる。


「聞き忘れていたよ、『片翼』とは「ハイドは全部しゃべったぞ?」・・・・。」


これはハッタリ、死人に口なしってね。


「・・・全く、計画通りに事は運ばんものだな。」

こちらに振り向き直したヨハネスは、優しげな微笑を浮かべ穏やかな口調で話してはいるが、どこか不気味な雰囲気を漂わせていた。


「・・・。」


「小僧、いつから気付いていた?」


「最初から。」


嘘じゃない、アカネから言われて警戒しただけなんだが。


「・・・そうか、あの小娘の入れ知恵か。最初に処分するべきはあの猫のようだったな。」


ヨハネスの言葉に、周囲の空気が凍り付いた。

ステラ、ソフィアは信じられないといった表情でヨハネスを見つめている。


「何が目的なんだよ、おっさん。」


シンが問いかけると、ヨハネスはゆっくりとその言葉を発した。


「世界の、破壊だ。」

その口調は穏やかさを保ちながらも、その言葉には狂気が潜んでいた。


「世界の破壊・・・。待て待て、いきなりスケールがでかすぎんだろ。一国の事から、なんで世界に繋がんだよ。」


「我らが組織の名は『凶翼』。この腐りきった世界を一度壊し、真に平等な世界を創造しようとする組織だ。今の世界は間違っているのだ!手と手を取り合いながら平等に生きる?ふざけるな!何が平等だと言えるのだ?この世界は不平等なのだ!だから我々は!この世界をリセットし、新たな世界を作り直す!」


身振り手振りを加えながら教えてくれるヨハネス。

怒りを通り越して、呆れる。


「ふざけんなよ、それがどうしてソフィアを狙う理由になるんだ。」


ヨハネスは嘲笑うように、マリオンに指を差し


「簡単な話だ。そこの人形(マリオン)を利用するのに邪魔だったからだ。」


マリオンが?


「この国には、『選定石』というものがあるのを知っているだろう?王の素質を持つ者が触れることで、その正当性を示すと言われている。だが、選定石は、素質を持つ者にしか反応しない、と言われているが…それは少し違う。正確には、『上に立つ者の資質』を持つ者に反応するのだ。それは、カリスマ性、統率力、民を思う心・・・そういった、上に立つ者に求められるべき、高貴な魂の輝きだ。」


ヨハネスはソフィアを見つめた。


「お前の母親、エレノアは王妃だ。」


「・・・そう、ですか。けど・・・マリオンさんとの関係が分かりません。」


・・・ある程度の予想はできる。

マリオンが決して襲われない理由、単純に考えても『上』からの情報統制がされてる事実。

けど、ここでそれを突き付けるのは・・・。


「お前の母はまさにその『資質』を強く持っていた。民を愛し、国を憂うその心は、選定石に強く共鳴した。我々は、その『資質』を人形(マリオン)に移植したのだ。」


ヨハネスの言葉に、ソフィア、ステラの2人は息をのんだ。


「つまり、この娘は・・・。」


ステラが言葉を詰まらせながら言うと、ヨハネスは冷酷な笑みを浮かべた。


「そうだ。マリオンは、王妃様の『資質』を受け継いだ、選定石に反応するホムンクルスなのだ。だから、彼女は王妃の替え玉として利用し、国民を欺くことができる。」


ヨハネスの説明で、全てが繋がってしまった。

なぜマリオンが母親に瓜二つなのか。全ては、世界をリセットするという彼らの狂った計画のためだったのだ。選定石に反応する「上に立つ者の資質」は、単なる力ではなく、王妃としての正当性を示すための重要な要素だった。


「お母さんは、お母さんは一体どこにいるんですか。」


急に突き付けられた事実という言葉の衝撃を受けてなお、彼女は前へと進もうとしている。



「彼女は今も生きている。死なれては困るからな。ただ・・・深い眠りについている。我々の計画が完了するまで、永遠に目覚めることはないだろうがな。」


「っっっ!!!」


「ストップだ、ステラ!」


今にも飛び掛かりそうなステラを抑える。


「何故だ!何故止める!」


ステラは俺を睨みつけている

相当怒ってはいるが、話は通りそうだ。


「死なせたくないからだ・・・扉の先に、()()()のがいる。」


「まずい?」


「さっきの奴らなんか、目じゃない。とんでもなく()()()奴らだ・・・。今の俺じゃ、お前らを守れない。」


「!」


シンがステラにそれを伝える事実、何度も自分たちを助けてくれた少年の身体が小刻みに震えているのに気付き、ステラの頭は急速に冷える。

魔力の枯渇で、今にも倒れそうな少年はそれでもなお、自分たちを守ろうとしていること。その瞳には『諦める』なんて微塵も感じさせない、光があること。


「・・・そうか。なら一緒に戦おう。」


「・・・ステラ?」


「1人が無理なら、2人で。」


「2人が無理なら、3人で。」

ステラの言葉にソフィアが続いた。


「次は、私たちが頑張る番だ。」

だから、とその先はソフィアが紡ぐ。

「一緒に、やりましょう。」


「・・・・ほんとーに、頼もしいぜ。」


2人の言葉に、奮い立つシン。

とんでもなくまずいのがなんだってんだ。こちとら天上天下唯我独尊(ししょう)異能生命体を相手してたんだ。

負けてたまるか。


「・・・全く。ガキどもはこれだから困る・・・。」


ヨハネスの言葉と共に、背後の扉が徐々に開いていく。


「貴様らはここで死ぬ。せめて安らかに逝け。」


扉が開き切り、その闇夜から現れたのは・・・・・。


「やっほー、でございます。」


どこぞで見たことがある自由人(メイド)だった。


制作裏話

アドリブでキャラが動くので困る。

元々「ハイド」なんて敵キャラいないし、「オボロ」は他の影の首切らねえし!

「オボロ」を敵にして、「造形」まで出す予定だったのに!

良い奴過ぎて、何故か3人庇うし!


プロットなんざ、ないに等しくなってます。立て直さないと。

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