誰ガ為ノ饗宴
饗宴ってきょうえんって読むんだって。漢字難しいね。
こんな読みにくいのにブクマつけてくれた方いるのマジで感謝。
第1号やで、うれしみを感じる。
「・・・・堅っ苦しい。」
シンがいるのは馬鹿でっかい屋敷の中の煌びやかに飾り付けられたパーティー会場。
ソフィアとステラのいた屋敷に比べて軽く3倍ほど広い。
なんでこんなに馬鹿でかく作ってんのや、と突っ込みたくなる。
そんな広々としたところに、1人で佇むシン。
ソフィアとステラがどこに行ったかといえば、もちろんドレスを着ている。
元々、来ていたドレスがあったのだがどこからかやってきた謎のメイドに
「これはいけません、お召し物をお変えにならなければ。」と言われそそくさと行ってしまった。
護衛から離すのもどうかとも思うが、心配はいらない。
仕掛けてくるならばもうちょい後だろう、空気がまだ穏やかだからな。
それに隠し玉もあるし。
「・・・にしても、遅いなぁ。」
かれこれ30分ほど待っているが一向に二人がやってこない。
「いい加減周りの視線がうっとうしいぜ・・・。」
周囲に眼を向けるとそそくさと俺から視線を逸らす貴族の大人たち。
分かるよ、子どもが一人ここにいるのが珍しいんだろ?
でも、俺は見世物ちゃうぞくらぁ!おん?
なんてことを考えてるとは噯気にも出さず、いい子ちゃんを続ける。
・・・まさかこんなところで叩き込まれたロールプレイ「いい子ちゃん」が役立つとは・・・。
冷静に考えてあの師匠、なんで礼儀作法なんか知ってんだ??
まぁ天下無双の傾奇者な人だし、で納得をしていたところに
「こんばんわ。」
1人、話しかけてくる人物が来た。
急に話しかけられてめちゃめちゃビビったが、平静を装いながらも声をかけてきた相手へと向き直る。
綺麗なオレンジの髪まとめていて濃紺色のドレスを着ている少女がいた。
「こ、こんばんわ?」
「にゃはは、そんな警戒しなくてえぇよ?」
少女は人懐っこい笑みを浮かべながら俺のそばに来る。
「うちはアカネ、アカネ・スワルト。よろしくね。」
「これはご丁寧に。私はシン。シン・ガナストと申します。先ほどはご挨拶が粗暴になってしまい申し訳ありません。若輩者故、場の雰囲気に緊張してしまいまして。
「そんな畏まんでええよ。うち、貴族ってわけでもあらへんし。」
「あ、そうなの?なーんだ、びっくりびっくり。」
「跡継ぎ候補の1人ってことぐらいやね。」
「申し訳ありません。情緒が安定しないのでお転婆はご容赦いただけますこと?」
やばい、思考がだいぶバグってロールプレイ出来なくなってきた。
「ふふふ、大丈夫やよ。気にしてへんから、そっちも気にせんで砕けた口調でお願いするわ。」
いたずらが成功したのか、機嫌よくニコニコ笑っているアカネ。
少なくとも悪意がある感じはしない。純粋にからかいに来た?
「それで、何か要件が?」
「ん?居場所を探してたんよ。」
「居場所?家族とかは?」
「おとんとおかんはお得意様の貴族さん達にご挨拶中。まわりが大人だらけやと良い子ちゃんするのは
疲れるねん。」
本当に疲れていたのだろう、壁にもたれ掛かるアカネ。
会話の中で一つ疑問に思ったことがある。
「跡継ぎ候補ってのは姫様候補と違うのか?」
「あー、あんた最近来た人やな?なんでも、最初は跡継ぎが男か女かわからなかったらしいんよ。けど、後々跡継ぎがどうやら姫さんらしいってことになってな。そこから姫様候補って呼び名に変わったんよ。」
「へー。俺が聞いたのは後ろ盾がある大臣が協会から保護した娘、商人の義理の娘の二人だけど。どっち?」
「商人のほうやね。」
あ、やっぱり。お転婆な感じがイメージにピッタリ。
「うちからも質問いい?」
「答えられる範囲なら。」
「東の国に行ったことある?」
「東の国??んー、海は渡ったことないからない・・・と思う。」
なんで疑問形なのかは、そこにも師匠の魔の手が忍び寄るぞ。
寝て起きたらジャングルから砂漠になってたりするんだから。
あの人なら海も走って渡れるのではないかと思ってる。
「ふーん、よくおとんとおかんって言葉の意味が分かったなぁ。初めて聞く人は大体意味を知らんのに。」
「・・・会話の流れ的に保護者だろ?」
まぁ、そうなんやけどー。とちょっと不満そうなアカネ。
「アカネ様。」
どう宥めようか、めんどくせえな。って思ってるとアカネを呼ぶ声が聞こえた。
「あ、シラヌイ!もー、遅いんよ。」
とてとてとて、と声の主がいる方へ移動するとそこにはめちゃめちゃイケメンがいた。
茶色の髪に、鋭く輝く青の瞳。APP18はあるね。
「申し訳ありません、ですが迂闊に歩き回られても困ります。」
「だって退屈やったんやもん。」
二人のやり取りからも親しげな雰囲気を感じる。
シラヌイと呼ばれたイケメンがアカネから視線を外し、俺へと向き直る。
「すまない、お嬢様が迷惑をお掛けした。」
「いえいえ、こちらもこのような場所で一人だったもので心細かったものですから、お嬢様のお心遣いが助かりました。」
「そうだったのですか、失礼ですが貴殿は?」
「シン・ガナストと申します。あなたのお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか。」
「こちらから名乗らなかった無礼をお詫びする。私はアカネ様の護衛を務めているシラヌイ・アカツキと申す。」
護衛ね。
「ご歓談中に申し訳ないが、旦那様と奥様がお嬢様をお呼びしている。このままお連れしても大丈夫だろうか?」
「もちろんです。こちらのことはお気になさらず、間もなく連れもやってくる頃ですので。」
「お心遣いに感謝する。お嬢様行きますよ。」
「えー、しゃあないなぁ。それじゃ、シンくんまたね。」
シラヌイを連れ、親の元へと帰っていくアカネ。
帰り際に俺に頭を下げていくシラヌイ、心遣いまで完璧かよ。
にしても・・・シラヌイ・アカツキ。
「あの人、そうとうつえぇな。」
仮に、シラヌイが敵に回った場合、ちょっと・・・いや、だいぶやべーかも。
参ったな、あれは想定外だ。
「シンくん。」
「んぉ?」
いつの間にか俺のそばに戻ってきていたアカネ。
「どした?忘れもんか?」
「ん、一個忘れ取ってな。耳かして。」
ちょいちょいと内緒話のように耳を貸せと言われたので近づく。
「 有能な大臣さんには気を付けたほうがええよ? 」
その言葉に驚き、アカネの顔を見る。
その顔は人懐っこい微笑みとは違う、怪しい微笑みだった。
「・・・なーる。最初から分かってたわけね。」
「にゃはは、なんのことやらー。・・・情報は力だよ、シンくん。これからも”蒼眼の黒猫亭”を御贔屓に。」
伝えることは全部伝えたと言わんばかりに、ひらりふわりと猫のように立ち去るアカネ。
「・・・化け猫に化かされた気分だぜ。」
それしか言えなかった。
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「ぬふふふ。」
「ずいぶんと楽しそうですね、アカネ様。」
「そりゃね!人が驚くのは至福の瞬間や。」
「それよりも、よろしかったのですか?情報のタダ出しなど、商会の|頭としてまずかったのでは?」
「未来への先行投資ってやつや。多分あれで商会の頭が誰かも気づいたんちゃう?頭は回るようやったし。それにあんたも随分楽しそうやったで?うちが合図を出さなかったらもっと話してたかったやろ?」
「否定はしません。」
「素直やないなぁ。やっぱり当たりなんやな?」
「はい、彼は強いです。おそらく私より。」
「・・・まじか?誇張抜きで?」
「間違いありません。ですが、それは彼が本気の場合です。」
「本気の場合?」
「彼はまだ甘さがあります。それを加味するなら、負けません。」
「うちのもだいぶおかしい強さやと思うけどなぁ。」
「それに・・・。」
「それに?」
「刀がないので。刀があれば本気でも勝ちます。」
「あぁー。」
アカネ・スワルト
蒼眼の黒猫亭、頭首夫妻の義理の娘
子宝に恵まれなかった頭首夫妻に猫かわいがりされている。
めちゃめちゃ頭が良かったため、すぐに商才を発揮し、お店を大商会まで育て上げた張本人。
表は夫妻が代表だが、本来の代表はアカネ。
情報屋としての一面もあり、かなーり情報通。
候補の一人が襲われた話も知ってるし、そこに現れた少年が影をやっつけたのも知ってる。
つまり、どこまで知ってるか俺もわかんない。
困ったときはアカネに情報ださせれば物語が進む気がした、作者にとってのお助けキャラ。
シラヌイ・アカツキ
超が3つぐらいつくイケメン。
礼儀正しく、誰に対しても分け隔てなく接するため女性に超人気。
勘のいいひとは気付くかもだけどかなり脳筋で刀とアカネの事しか考えてない戦闘民族。
一目見て強い弱いがわかるタイプのあれ。
アカネがシンに声をかけたのもシラヌイが「やべーのいます。」って教えたから。
礼儀はアカネに叩き込まれたらしい。
しょうがないね、じゃないと刀ちゃきちゃきしながら「おめぇ強いんか?おらわっくわくすっぞ!」とか言い出しかねないし。




