ソフィアはすげー良いやつ、ステラは・・・
そんなこんなで、ステラとソフィアに修行をつけるようになった俺。
二人ともひっじょーに真面目に取り組んでおり、まだ一週間ほどしか経っていないにも関わらず、メキメキと腕を上げている。
ソフィアは無詠唱魔術をわずか数日で習得。今や光の壁や道などコネコネ動かしてみて創意工夫してる。
驚いたのは「あ、これ乗れるんですね。」と自分で出した魔術に乗ってたこと。
とってもおどろきました。イメージって言ったのは俺だけど、自由過ぎない?
ステラは元々身体能力が高かったのもあってか、動きのキレが良くなってきた。
組み手やってて、たまにヒヤッとすることもある。
まだ負けたくないから、余裕そうなふりしてるけど。
「う~む、二人とも天才なんじゃ?」
成長率は少なく見積もっても常人の数か月分。それをたった1週間で習得している。
特にステラ、1週間前とは別人だ。
「俺も負けてらんないよな。」
今後はどんなトレーニングメニューにしょうか・・・。
ステラはまだしも、ソフィアに関してはなぁ。
俺、魔術は基礎の基礎しか知らないし、もっとまじめに魔女の話を聞いとくべきだったか・・・。
「・・・いや、話を聞かせてやるかわりにって、変な実験薬飲まされそうだからいいか。」
二人の今後について考えながら、お昼の食堂へと向かう。
今日は何を作ろうか考えていると、食堂から香ばしい良いにおいが漂ってきた。
誰かが昼食を作っているようだ。
「よいしょっと。」
「ソフィア、こっちは多分これで大丈夫そう。」
中に入ってみると、ソフィアとステラが料理を作っていた。
「あ、シン?お疲れ様。」
「よっ、お疲れさん二人とも。」
俺の存在に気づいた二人に挨拶をした。ソフィアはニコニコしているが、ステラはいつも仏頂面。
「料理してるようだけど、二人分にしては量が多いような。どしたん?」
辺りを見渡せば多種多様な料理の数々。
俺がいない間も、料理は基本誰かがやってるって聞いてたけど二人もするんだね。
「皆さんの分の昼食を作っていたんです。守ってもらっているのに自分だけ何もしないのは嫌だったので、自分のできることを精一杯やろうと思って。」
結局一人じゃ大変でステラに手伝ってもらってますけど、と笑うソフィア。
「ほーん、にしても見事なもんだねぇ。全部おいしそうだ。」
出来上がった料理を見ていると、視界の端に何かが見えたので、そちらに目を向けると。
『トラベルさん』『アイゼルさん』『ランさん』『リンさん』などなど
名前が書かれたカードを見つけた。
「このカードはもしかして?」
「はい、皆さんの分に添えるカードです。」
おー、まじか。
「そりゃ、めちゃくちゃ丁寧だねぇ。しかも、1人1人味付け違うでしょ?」
「わかるんですか?」
「鼻がちょっとばかし効くので、同じ料理でも一品一品匂いが違うのはわかるよ。」
「犬かお前は。」
ステラにジト目で見つめられるが、しょうがないじゃない!
胃の中に入れて大丈夫、大丈夫じゃないって鼻で見分けるのが一番効率がいいんだもん!
「皆さんがおいしく食べれるように、好きなものと味を一人一人聞いてきました。」
「そりゃまたご丁寧に。」
「少しでも皆さんに恩返しがしたくて。私はもう後ろを向きません、前を向いて精一杯頑張りたいと思うんです。」
そう言ってほほ笑むソフィアの表情はとてもとても輝いて見えた。
「さいですか。俺の分ってあったりする?」
なんとなく照れくさくなったので、空気を換えるために別の話題を振ってみた。
「ありますよ、ステラ持ってきて。」
「・・・ああ。」
俺の好きな味って伝えたっけなぁ、なんて思っているとお盆にのった料理が運ばれてきた。
「おー!めちゃめちゃ美味そう!」
お盆の上にあったのは皮までしっかりとパリパリに焼かれた鶏肉の香草焼き、その付け合わせであろう野菜のサラダ、それからなんと米!やっぱ米よ米!
香草の良い匂いに食欲を刺激されるぜ!!!
「つい先ほど出来上がったので、まだ温かいですよ。」
「いただきまーす!」
鶏肉を一口サイズに切り分け、口の中に放り込む。
一口嚙むごとに、ハーブの香りと鶏肉の旨味が広がり俺の食欲をさらに刺激する。
しかもこれ、ハーブだけでじゃなくて・・・
「・・・ぺパの実?」
「すごい!正解です。」
なんとなく呟いた一言に答えをくれるソフィア。
「ぺパの実を細かく砕いて香草と一緒に焼いてみました。どうですか?」
「はちゃめちゃに美味くて飯が進む。」
野菜もしゃきしゃきでうめぇ、味の濃い鶏肉と水々しい野菜がまさにパーフェクトにマッチ。
そこに米!鶏肉、米、野菜!!!
最高にうめぇ!!!
☆★
すごい幸せそうな顔をして、食事をするシン。
そんな様子を嬉しそうに彼女は見ている。
「言わなくていいの?」
「・・・うん。」
「ふーん、野菜とお肉の下ごしらえ、調理も自分でしたのに?」
「いいんだ、直接になると悪態しかつけなくなるから。」
「本人は気にしてないみたいだけど?」
「わかって言ってるでしょ。」
「バレたか。」
そんな乙女たちの会話などつゆ知らず、「うめぇ、うめぇ。」と呑気な奴が一人。
☆★
「ごちそーさまでした!」
いやぁ、美味かった美味かった!
「お粗末様でした。お気に召しました?」
「ん!超が8個ぐらい付くほど美味かった!」
また食いたいし、お礼もちゃんと言っとかんとな。
「ありがとーな、ステラ!美味かった!」
「「っっ!?」」
ん?なんで二人ともビクゥってなってんの?
「んぁ?違った?てっきりステラが作ったもんだと思ってたけど。」
「えーっと、合ってますよ。知ってたんですか?」
んぇ?どゆこと???
「知らんよ?なんとなくそう思っただけ。」
なんで二人とも変な物見るような目で見るの?
ステラは今に始まったことじゃないけど、ソフィアまで。
ま、いっか。
「また作って食わせてくれよな。んじゃ、俺行くよ。」
お盆を片付けながら、二人に声をかけてトラベルさんのところに行かねーとな。
「シ、シン!」
「おん?」
出口に向かう俺を珍しくステラが呼び止める。
「き、気が向いたらまた・・・作ってやる・・・。」
徐々に尻すぼみになっていく言葉でもちゃんと聞き取れた。
「おー!楽しみにしてる!またな!」
そう声を出して、赤くなりそうな顔を背けて目的地を目指す。
★
なんでこんなにも顔が熱いんだっ!!!




