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ex00 過ぎし日に思いを馳せて

初投稿です。完全に趣味です。

生暖かい目で見守ってください。

騒がしく宴をする仲間たちから少し離れて、窓際の席に着き外を見る。

もう空は暗く、星がでていた。


・・・後、数日後にこの世界を賭けた最後の戦いがあるとは到底思えないな。


「・・・ふぅ。」


「どしたよ?」


私が星を見上げていると、一人の男が声をかけてきた。


ん?あぁ、お前か・・・。


「もうすぐ、神との戦いが始まるだろ?その戦いがどうなるか、少し不安でな。」


「なるへそなるへそ。」


「・・・お前はどうなんだ。」


「ん?俺?んー、そーだなー、とりあえず俺は俺がやれる事をやるっきゃねーしな。それを頑張るわ。」


こいつがやれる事、それは『神を倒す』という事だ。

こんな呑気な奴が神を倒せる存在だ、と思うと色々とやるせなくなる。


「随分な自信なんだな、副隊長殿?」


「あははは・・・・少し散歩行かねーか?隊長殿?」


・・・なるほどな


「いいぞ。」


「ありがとございます。」


店の中にいる皆に声をかけて、私達二人は外へと出てきた。

まぁ、ほとんどの奴は酔っ払っていたらか反応がなかった。


店をでて、少し歩くと林がある。その中に入り少し進むと開けた場所がある。

私達の目的地はここだ。


「ここも変わらないな。」


「そうだなぁ。」


この場所は私達にとって特別な場所。私とこいつの思い出がたくさんある場所。


「・・・。」


「・・・。」


空を見上げ星を見て、話を待つ。


「なぁ」


「何?」


「抱きしめていいか?」


「・・・うん。」


私がそう答えるとぎゅっと抱きしめてくる。

こいつは何時もそうだ、一人で抱え込んで、笑いながら誤魔化して、弱みを見せないくせに、人が弱っていると必ず助けて。


・・・こうやって、私に弱みを見せてくれるだけ、昔よりはマシになったかな。


「・・・俺さ」


「・・・うん。」


「怖いんだ。」


「うん。」


「そりゃ、俺様最強だし?神もよゆーで倒せるとは思うんだけどさ。」


「うん。」


「・・・誤魔化してすまん、やっぱ、怖い。」


「うん。」


こいつだけが神に唯一勝てる可能性がある者。私たちはそう信じている。

それは、この世界の全てを賭けて神との戦いに挑むという事。それがどれほどの重圧なのか、想像もつかない。


「・・・それに、今回は俺はお前らを守れない。」


神に対して全力を出すためにも、魔力、体力は温存しなければならない。

しかし、神と戦うには神が作ったゲートを通らなければならず、そのゲート周辺には幾多の魔物がいる。

私達、いや、この国全土の騎士、冒険者達はその魔物と戦う。

魔物もただ待っているだけではなく、こちら側に攻め込んでくると神は宣言していた。

最大規模の戦いになるだろう。


「大丈夫、私達もお前のおかげで強くなったから。」


「・・・あぁ、けれど・・・こんなこと言うのは最低なのかもしれないけどさ。」


この国最強、と言われていてもこいつも人間なんだ。


「・・・隊長にだけは・・・死んで欲しくないんだ・・・他のみんなにも死んで欲しくない、けど、隊長には、お前だけには死んで欲しくない・・・。」


こんなにも、私を愛してくれる男。こんなにも私が愛してる男。こいつと出会ってもう10年以上か。

こいつのせいで私も随分変わったよ。


「・・・大丈夫だよ。」


私は愛しい人の唇に自分の唇を重ねる。

そして愛しい人の名を呼ぶ。


「大丈夫、私は死なない。だから『シン』も生きて帰って来て。」


これは私のワガママだ。シンにさらに重圧をかけようとしてる。けれど、


「待ってるから。」


そんな私の言葉にシンは笑って頷いてくれる。


「あぁ、必ず帰ってくる。隊長の、『ステラ』の元に必ず。」


そう言って、シンとステラは顔を見合わせ笑いあう。

そんな2人を月は優しく照らす。


それから数日後に、運命の日がやってきた。


「・・・いよいよだな。」


「おう。」


この戦いで全てが決まるんだ。


「勝てるかな。」


シンが不安になるのも無理はない。これから戦う神は普通ではない。神の中でも最高位に属する神。神に生まれながら破壊と混沌を愛する最悪最凶の神。


そんなシンに仲間たちは声をかける。


「副隊長なら大丈夫っすよ!」


レオ


「バカの言う通りですよ、副隊長なら勝てます。」


「誰がバカだ!」


「あんた以外にいないでしょ、バカレオ!」


リリア


「・・・副隊長なら問題はない。もし、何かがあっても俺が戦う。」


ガノン


「もー、ガノンのおっちゃん!副隊長に何かあるわけないじゃん!だめだよー、そーゆーの!」


「ぬぅ・・・すまん。」


テステア


「無事に帰ってきなさい、まだデータ採取、終わってないんだから」


アリア


「・・・おとーさん、は、ノア、守るよ。」


ノア


ステラ隊のメンバー、一人ひとりがシンとステラに救われ、そしてシンとステラを尊敬している。

そして、シンの強さを信じている。


「魔物は任せてくださいっす!」


「私達が絶対に守ります。」


「問題はない。」


「にしし、ウチ達も強くなったしね。」


「副隊長も気をつけなさい。」


「・・・ノア、頑張る。」


皆最初に会った時より本当に変わった。


「お前が心配するのもわかるさ。」


私が言うと私の方に顔を向けるシン。

全く、お前にそんな顔は似合わないぞ。


「けれど、私達だって守られるだけではない。守りたいんだ、お前が帰って来る場所を。だから、こっちは私達に任せろ。」


そう言うとシンは少し俯いた。

そして、顔を上げた時はいつものシンだった。


「そだな!神は俺様に任せろ!お前らにこっちを任せる!」


全員で笑う。

本当に、シンに出会えて良かった。


そして、戦いの始まりを告げる声が聞こえる。


『やー、みなさん。運命の日がやってきたよ。』


空から聞こえる楽しそうな声。


『ふふ、今日の日を僕は楽しみにしてたんだ。この世界の命運を賭けた戦いを始めよう。』


地平線の彼方に光の塔が現れる。


『空間を弄ってみたんだ、僕の所に来れる魔法陣までたどり着けるのは誰かなぁ?』


そう、あの神はそんな事を平然とやってしまう。


『さぁ、この世界を賭けた死闘の準備は良いかい?』


私たちの答えはすでに決まっている。


『楽しみに待っているよ。それじゃ、がんばってね。』


それを最後に神の声は消えた。

さぁ、始まりだ。


「さぁ、始めよーぜ。」


「あぁ、始めよう。」


絶対に負けられない戦いが、始まる。


「俺達を、この世界に生きる者を舐めんなよ、神様よ。」


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