ミドリノキノコ4
俺は楽しそうで愉快な雰囲気を感じながらも、ぞっとした。
別にボードゲームなのだろうが、不思議と不気味なリアリティがあったのだ。
よくよく見ればそのゲームボードには携帯ゲームのような液晶画面も付いていて、地上の詳しい様子も見ることができるらしい。
見てみればなんてことない。
簡単にコマを動かしては、世界地図のあっちこっちで戦争をして兵器を使っていくゲームらしかった。
時々焼け焦げた都市を拡大しては廃墟になった風景を見てニヤニヤしている二人。
人間が映っているのはかは確認出来なかったが……。
今時のテレビゲームも携帯ゲームも、こんなもんなのだろうしこのくらいのクオリィティはあるんだろうな。
俺はゲームにもそんなに興味がないから詳しくはないが、ゲーム好きな友人から聞いた情報やたまに見せてくれる雑誌から推測してみた。
ただ使っている兵器というのはほとんどが核兵器だった。
あー、普段使えない核をこういうゲームで使いたいって訳ね。
なんだかな、別に俺がゲームをしてる訳でもないし、そもそもゲームだと解っている癖に、俺は隣の男に何気なくこう話しかけた。
「なあ、これは違法って言うんじゃないか」 男はボードゲームの二人をしばらく眺めた後、こちらを向き、虚ろだった目を細めにやりと笑う。
そして嬉しそうに答える。
まさにこの質問を待っていたとも言わんばかりだ。
「何をおっしゃいます。これは夢ですよ。夢を見るだけで罪に問われるのですか」
ああそうだ、これは夢だったんだ。
俺だって解ってたじゃないか。
何を可笑しなことを聞いたのだろう。
夢を見て違法になる訳がない。
夢でどんなに人を殺しても殺人罪になる訳がない。
そりゃあ、倫理とか道徳なんかでは罪になるのかもしれないだろうけど、法的にはなんの問題もない。
夢を見るのは個人の自由だ。
壁には沢山のドアがあった。
まだ部屋があるのだろう。
ドアは基本的に壁や廊下と同じく木製で色は塗られていないものが多かったが、たまに色が塗られているものがあった。
原色の派手なものもあったし、この古びた建物と薄暗い廊下に合っているくすんだ暗い色のものもあった。
共通点と言えば、色はとても綺麗に斑なく塗られていたことだ。
その中に一つだけ奇妙な部屋があった。