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waltz  作者: ロスト
5/6

小さな幸せ。

春、夏…時は流れて季節は秋。



城沢が学校にこなくなってからもう一ヵ月か。



城沢の担任の教師は城沢が来れないのはとある事情があるからと言っていた。



城沢の担任の教師に城沢の家に行ってプリントを渡してほしいと言われた。



…そういえば、あいつと一緒に帰っていたのに俺はあいつの家を知らない。



俺はもう一度学校に戻った。


「あ、先生。」


「冬川君?どうしたの?」


「城沢の家が分からないので。地図か何か貰えますか?」



そして俺は城沢の家に向かった。




…ここが城沢の家か。



ピンポーン



「すいませーん。城沢さんいますかー。」




「夢のお友達ですか?」



「冬川って言います。城沢さんにプリントを持って来ました。」



「わざわざありがとうございます。渡しておきますね。」


「あ、あの!」


「あら、なんですか?」




何故俺はあんな事を言ってしまったんだろう。



俺は今城沢の部屋の前にいる。



お母さんに城沢に会わせてほしいと頼んだのだ。



緊張する。


手が震える。



恥ずかしながら女の子の部屋に入るのはこれが初めてなのだ。




コンコン


ドアをノックすると、中から「はい?」という声が聞こえた。


「冬川だ。入るぞ。」




ベッドに寝ている城沢の姿が目に飛び込む。



「あ、あの…ごめんなさい。今起きるね。」



「無理するな。そのまま寝てろ。な?」



城沢は辛そうにしていた。



「大丈夫か?熱あるのか?」


「ち、ちょっとだけ…ね。でも大丈夫。」



「そっか…。」



一ヵ月も学校を休むってどんな病気なんだろうか。


一般的な風邪なら長くても一週間位で治るはず…



「なあ、城沢。」



「ただの風邪です。」



「俺はまだ何も…」



「何の病気か聞こうとしたんでしょ?」



分かっていたのか…



「中学生の時も皆聞いて来たもん。皆そうやって気まずそうな顔して聞くんだよね。」


「中学生の時?こういう事が前にもあったのか?」



「身体が弱いから冷えて来るといつもこうなるの。毎年こうなってる。冬川くんにはまだ言ってなかったよね。ごめんね。」



「なあ、城沢。」



「だから風邪だって!何度も言わせないでよ!」



「"風邪"が治ったら俺とデートしてくれないか?」



「え…?」


一体何を言ってるんだ俺は…


「う…うん。分かった。」



おいおい、まじかよ。



「じゃ、そういう事で!早く元気になれよな!」



急に恥ずかしくなり、話を無理矢理切り上げて急いで外に出た。



二階を見上げると、部屋の窓から城沢が手を振っていた。


思わず俺も手を振った。



何なんだろうこの幸せな気持ちは…



俺は少しだけ、このつまらない世界を見直した。

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