平穏な時間。
『…あの日の事覚えてる?』
あの日の事?
『忘れちゃったんだ』
忘れたも何も、そんな事いきなり聞かれてすぐに答えられない。
『ばいばい。』
おい!ちょっと待てよ!
「…はっ!?はぁはぁ…夢だったのか?」
カーテンを開くと朝の日差しが差し込んで来た。
目をしかめ空を見上げる。
空は気持ち悪いくらいに晴れ渡っていた。
「何なんだよさっきの夢は…」
目覚めの悪い朝だ。
いつも通り俺は洗面所に行き、顔を洗う。
いつも通り着替えを済ませ、登校する。
いつも通りどうでもいい授業を受け、昼飯を食べる。
いつも通り午後の授業が始まり、終わる。
そして放課後になり、帰宅する。
いつもと何も変わらない下らない日常。
「あ、冬川くん!」
でも最近一つだけ何も変わらない下らない日常に変化がおきた。
「別に待って無くていいのに」
それは、帰宅する時いつも城沢が一緒な事。
「待ってなんかいませんよー!」
付き合ってるとかそんなんじゃないけど、何故かこいつは俺と一緒に帰りたがる。
まさかこいつ…
「俺の事が好きなのか?」
いたずらっぽく冗談混じりで聞いてみた。
「え!?でも、冬川くんにはもっと良い人がいると思うっていうか…何かその…」
「…俺は付き合ってくれとか言ってないんだけど。」
何故かちょっとへこんだ。
「え!そうなの!?告白されたかと思った。」
「お前が俺の事好きじゃないって分かっただけ良しとするよ。」
「えー何それひどい!」
こうして、平穏な時間は流れていった。




