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waltz  作者: ロスト
3/6

退屈な休日。

俺はいつの間にか眠ってしまっていた。


時計を見ると深夜三時だった。


もう一度眠りにつこうと思い目を閉じると、ふと思い出す昨日の事。


「『城沢 夢』…か。良い名前だな…。」


独り言を良いながら窓から夜空を見上げる。


明日もあの場所にあの子はいるだろうか?



そんな事を考えながら俺は眠りについた。







そして朝がやってくる。


今日は学校は休みだ。


家にいると気が滅入るから休みの日はいつもふらふらとそこら辺を歩いたり、ファミレスに行ったりしている。



さて、歯も磨いたし、服も着替えたし、どっかふらつくとするか。



取り敢えず街に向かった。


何も無い場所だけど、家にいて重い空気に耐えているよりかは街をふらついていた方が余程良い。




だが、本当にやる事が無い。


趣味も無いし、友達も少ないし、ましてや彼女なんていない俺にとって休みの日は苦痛でしか無かった。


尤も、学校にいても苦痛なんだが。




そんな事を考えながら歩いているといつの間にかあの丘に来てしまっていた。



「どんだけこの場所が好きなんだよ俺は…」


そう独り言を言ってベンチに座る俺。



ぼーっとして空を見上げる。


風が気持ちいい。



そういえば、丘と山の違いってなんなのだろうか?


山より低いのが丘と言われてはいるけど、そんな事言ったらエベレストより低いのは全部丘って事に…って、なんて下らない事考えてんだ俺は…。



あー暇だ。


毎週、毎週こんなんだよ…


俺も一回は楽しい休日ってのを送ってみてえよ…



こうなったら無理矢理あいつの家行って相手してもらうしかねえな。





「つーことでおじゃましまーす。」



「つーことでってどういう事?!俺何も聞かされて無いんだけど?!」



俺は無理矢理家に上がった。



「テメーこの(さかえ) 利樹(としき)様の家に勝手に上がるとは…タダじゃおかねえ!」



「相変わらず冴えねえ名前だなお前。」


「相変わらずって別に名前は変わったりする訳じゃ無いからね?!分かってる?!」



「今日からお前の名前たかしでいいや。」



「冴えねえ!俺が言うのもなんだけど冴えねえ!ていうか俺の名前馬鹿にすんなよな!」



という事で、今こいつの家にいる訳だが、やっぱりやる事が無い。



「暇だしどっか行くか?」


取り敢えず誘ってみる。



「へ?良いけど?どこ行くよ?」




「腹減ったしファミレスでも行くか?」


「さんせーい!行こうぜー」







ファミレスに来て扉を開けるとそこには昨日あの丘で会ったあいつがいた。



「いらっしゃいませー!あれ?昨日のヘンタイさんじゃ無いですか!」



こいつは人前で何を言っているんだろうか。


「お、おう。お、お前こんなとこでバイトしてたんだな、し、知らなかったよ。」



俺は半ギレ状態で言葉を返した。



「え!何?君達知り合いな訳?もしかして付き合ってるとか?!こんな可愛い子と付き合えるなんてお前の人生まんざらでも無いんじゃないか?あ、あれ?いねえし…」


「ヘンタイさんならもうあっちの席に行っちゃいましたよ?」


俺は栄のつまらない冗談を無視して一番奥の席に座った。



取り敢えずタバコに火をつける。



「あー!高校生がタバコ吸ってるー!」


栄が俺の前の席に座る。


「お前俺がタバコ吸ってるの知ってんだろうが。」



「何となくノリで言ってみただけだしー。そういえばさーお前の親は注意したりしないの?」



「親の話はやめろよ。気分が悪くなる。」



「お前いつもそうだよなー。なんで親の話はしたがらない訳?」


「知るかよ。」


「たまには話してくれても…」



「うっせえって言ってんだろ!」


机を叩き声を荒げる俺。



二人の間に沈黙が流れる。


親の話になると俺はつい感情的になってしまう。


あんな親の事、誰にも話したくなんかない。



「俺、帰るわ。」


そう一言栄に伝え俺は店を出た。





そしてやはり俺はこの場所に来ていた。



ただただ空を見上げる。



そして冷静になった時、ふと後悔する。

もっと感情を押さえられたんじゃないか、我慢出来たんじゃないか、色々な事を考えてしまう。



でも、あいつがしつこく聞いてこなかったら俺がキレる事も無かったのに。




…子供か俺は。




「…ーん…さーん!」




ん?遠くから声が聞こえる。




「ヘンタイさーん!」



城沢か…



「お前いい加減俺の名前覚えろよ!っていうか何しに来たんだ?」



「何しに来たなんて、酷いですよ!探したんですから!」


「探してくれなんて言った覚えは無い。」



「あーっ!そんな事言うんですね!」


「な、何だよ?」



「もう良いです!」



「お、おいちょっと待てって!」


「待ちません!探してくれなんて頼まれて無いらしいですから!」



「悪かった!謝るから!な?」


「じゃあそこに座りなさい!」


「は、はい!」





俺はこの後みっちり説教された。

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