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相続した物件はマヨヒガでした  作者: カブキマン


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新たな住人

『僕の部屋も用意してくれるかい?』


 とのことでマヨヒガに新たな住人が増えた。

 俺としても同性の友人が居てくれるのは嬉しいので普通に快諾した。

 そして今、俺たち四人はスナックで新たなマヨヒガ案について話し合っている。

 ちなみに今日はテュポーンは客側でママ役は旭だ。

 こっちは流石良家のお嬢様というべきか着物が似合い過ぎていた。


(似合い過ぎて何か極道の妻みてえだ)


 目力が強過ぎるんだよなあ。


「ベガスやマカオみたいな煌びやかで欲望に満ちた感じはどうだろうか」

「四人しか居ない欲望の街なんて惨めなだけよ。私は東南アジア風の小さな寒村が良いわ」

「使い魔や式神で賑わいは演出出来るだろうし問題はないさ」

「お人形遊びじゃないの」

「分かった上での楽しみ方もあるんだよ」


 話し合っているが今のところこれだ! という案は出ていない。

 俺としても色々候補はあるんだがイマイチ乗れない感じなのだ。


「異世界の怪物に過去の化石。すっかり馴染んでいるなコイツら」


 やたらと密着しながら俺に酒を注ぐ旭は俺の思うがままにとのこと。

 コイツ俺のこと好き過ぎだろ。


(俺も健全な男子、嬉しくないとは言わんが)


 一度手を出したらどこまで行きついてしまうのか怖いのだ。

 あと性欲はともかく恋愛となると過去の出来事が頭をよぎってしまうのでどうにも。

 浮気されたのまあ手痛い経験ってことで納得出来るがその後がな。

 自分がそういう人間なんだって思い知らされたようで……。


(止め止め。何でこんな辛気臭いこと考えてんだ俺ぁ)


 新しいマヨヒガについては思い浮かばないし新ネタでも――――あ。


「先生、どうかされましたか?」

「おじさま、どうかなされたの?」

「坊野、どうかしたのかい?」


 コイツら俺の機微に敏感過ぎだろ。

 確信あるけど今俺、そんな露骨に表情変えたりはしてなかったぞ。


「いやちょっと気になることを思い出してな」

「気になること?」

「丁度良いからお前ら専門家の話も聞かせてくれよ」

「僕らにということは超常関連かな? 構わないとも」

「テュポーンをこっちの日本に連れてった時のこと覚えてるか?」


 二人は頷いた。

 アーサーは事情を知らないので軽く説明してから本題に入る。

 二人が何か化け物退治? に行った後のことだ。


「手持無沙汰になってコーヒー飲んでたらミステリアス系のイケメン? に出会ってな」

「おじさまホントにイケメン大好きよね」


 その言い方は語弊を招くから止めて欲しい。

 いや好きだけどね。大好物だけどね。


「常に新ネタに使えそうな材料をお探しする姿勢は一ファンとしては嬉しい限りです」

「何故、疑問符を?」

「いや初見では男かと思ったんだが」

「女性だったのかい?」

「それがどうとも言えないんだわ。驚くほど男の匂いも女の匂いもしなくてさ」


 まあそこは良い。問題はその後だ。

 俺が見ていることに気付いた美形がこちらに近付いて来てこう言ったのだ。


「『君は……そうか、道理で。幾ら探しても会えないわけだ』と」

「それだけだと“そう”とは言えないのではなくって?」

「馬鹿め。先生が口にしたからには何か確証があるのだろうよ」

「どうなんだい?」


 三人も話の流れを察したらしい。


「その通り。続けてそいつはこう言ったんだ『何時かの僕によろしく』ってな」


 アーサーの件があったからこそ疑ってしまう。

 あの美形は俺からすればこれから訪れる未来の客人ではないのかと。


「先生の推察は間違っていないかと」

「その上で聞きたいことにも察しがつくわ」

「出会う前に出会ってしまって良かったのかということだね?」


 それも悩みの一つだ。

 未来のマヨヒガに訪れるのが過去の美形ならば下手なことを漏らせば過去の改変に繋がる可能性がある。

 そりゃ気を付けるつもりではあるけど俺は普通の一般人だ。

 プロである三人のように己を完全に律して情報を秘匿出来るかどうかは怪しい。


「どう思う?」

「大丈夫なんじゃない? 幾ら探しても会えないと言っていたのでしょう?」


 会えたというのならこの時間軸で出会うなら問題なしということではないのか。

 テュポーンの推察に旭とアーサーも同意を示す。


「おじさまもそこらは理解しているのではなくって?」

「いや理屈は分かるよ? でも不安じゃん」


 だから念のためプロのお墨付きを貰いたかったのだ。

 そして本当の悩みはここからなんだよ。


「あの子の年齢は多分、旭と同じぐらいだと思うのね」

「二十代前半ですか。となると訪れる時は未成年かもしれませ……」

「そこだよ!!」


 旭がびくっと体を震わせた。

 急に大声を出してごめんと謝罪しつつも俺は何だかなと思った。

 こんな常識的な反応なのに一族郎党半殺しにしてるんだよなって。

 しかもコスパが釣り合うなら族滅するつもりだったという……。


「マヨヒガに迷い込むレベルで何かを抱えた子供が来ますって予告されてだよ?」


 上手く対応出来る自信ねえわ。

 未来の情報を秘匿するどうこう以前にそこが気になって仕方ない。

 絶対空回りするってこれ。


「……確かにそれはちょっとハードル高いわね。私たちという前例もあるのだし」


 葛藤の末、人類を滅ぼそうとしていた合法ロリ。

 俺の新刊が出なきゃ人類を間引くつもりだったお嬢様。

 何もかもを失い自棄になっていた王様。

 マヨヒガに来る連中の抱えてるもんの最低レベルがこれらなんだぞ。

 旭はちょいと毛色が違うけど爆弾って意味では十分過ぎる。

 どないせーっちゅーねん。


「俺昔からそうなんだよ。事前に予告されてた小テストより抜き打ちのが良い点取れるの」


 そりゃ品行方正で真面目な優等生だったわけではないさ。

 それでも予告されりゃ事前に少しぐらい勉強はする。

 でも後者は完全に何もしてねえんだぞ? なのに前者より点良いんだ。

 緊張やらで思考が狭まるんだと思う。


「案ずることはない。君は一人ではないのだから」


 隣に座っていたアーサーがポンと俺の肩を叩いた。


「僕には前職の経験がある。人と接することについては中々のものだと自負しているよ」

「前職て。そんな別の会社に転職したみたいなノリで良いのかしら?」

「というかコイツ転職はしていないぞ。倒産して以降無職だ無職。無職の酔っ払いとか最悪だな」

「あとこの方、人と接することについてはとか言っちゃってるけど……ねえ?」

「人心を把握出来ず国が内乱で滅んだことを忘れたのか貴様?」

「物忘れに関しては仕方のないことよお姉さん。アーサーさんの年齢を考えなさいな」

「おっとジジイに対して酷だったか。敬老精神を持たねばな」


 君ら人の心がないんか?

 と思った瞬間、甲高い音が複数回鳴り響いた。

 見ればアーサーは酒瓶を構え、テュポーンはスプーン、旭は刀を抜いていた。

 目にも止まらぬ攻防が起こっていたらしい。スナックでするな。


「まあでもそうだな。困ったら皆に相談すれば良いよな」

「ええ。何時でも頼って頂戴な。それと丁度良い機会だし言っておくわ」

「ん?」

「新しいお客さんに私のことを話す時、色々ぼかしてくれているみたいだけど結構よ」


 客人の役に立つと思ったら遠慮なく話してくれて良いとのこと。

 テュポーンがそう言うと旭も同じように許可をくれた。

 そして、


「無論、僕も構わないよ」

「知り合いのアーサー王がとか言い出したらおじさまの頭が疑われるじゃないの」

「貴様、少しは考えてものを言え」


 睨み合う三人に俺は告げる。


「外でやれ」

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― 新着の感想 ―
仲が良さそうで何より。
そういえば旭はパンツ嗅いでたけど、取り返した? そのせいでアーサーに対するヘイト高いのかと思った
アーサーさん言われたい放題ですね。 旭には何と言うか、君はダメだろー。
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