凱旋勇者からの難題~汝、『お味噌汁』を用意せよ~
昔々ある所に、魔王が現れました。
突然の脅威に人間は驚き、そして魔王軍は強大な力で次々と侵略しました。そうして数年が経つうちに3割もの土地が奪われ、人々は大いに嘆きました。
すると、そこへ1人の勇者が現れます。彼は誰にも負けない力と勇気を持っており、「自分こそが魔王を倒す」と宣言しました。
勇者は各地で猛威を振るう魔王軍を倒しながら仲間を集め、ついに魔王を討伐しました。
その吉報は勇者達の凱旋によって世界中を駆け巡り、人々は大いに喜びました。それは皇帝も例外ではなく、どんなものでも用意すると勇者へ宣言しました。
勇者は深く考え。そして答えました。
「私は……」
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「これが、この『勇者への料理選手権』の切っ掛けです。……そして!今宵勇者の仲間達が導き出したスープが用意されました!うーん、いい匂いだ!
まずは『魅せる火車』、魔術師ミータの『カーニボブイヨン』!古今東西あらゆる獣の肉・骨・脂フル活用とのこと!野性の味を香辛料で刺激的に纏めた逸品!続いて『蜂の眼』、弓師ベタリアの『ナチュラルピュレ』!およそ我々が想像し得る野菜を全て使ったとのこと!名前に違わぬ自然豊かな香りです!おっとこれは『新たな清貧』、僧侶ホルスティの『ミルキーシチュー』!なんと、具が無い!搾りたて聖牛の乳へ特製ソースを混ぜ込んだとのこと!どれも美味しそうです!」
魔術師は両手を大きく振り、弓師は静かに周りを見つめ、僧侶は恭しくお辞儀をした。三者三様の対応だが、全員瞳には強い自信を燃やしていた。
「さあ、勇者様。貴方の望む理想の『お味噌汁』があるはずです。是非召し上がってください!」
「は、ハイ」
もちろん、これらの料理は味噌汁には欠片も掠っていない。だが、仲間達がこれらを用意する為にかけた手間を知っている為、馬鹿正直に「これらは全然違う」とはとても言えなかった。
「(ああ、これなら…)」
確かに「お味噌汁が飲みたい」とは言った。だがこの世界に無いものなので軽く流されると思ったのだ。まさか全力で用意しようとするなんて思いもしなかった。
「(素直に『家へ帰らせて』って言えば良かった!)」
Noと言えない日本人勇者の後悔は伝説の転移魔術まで持ち出した『第10回勇者への料理選手権』まで続く__。




