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うるさいお父さん ※その第三怪

作者: ふぁーぷる
掲載日:2020/08/03

「あなた煩いのよ!」


「毎日毎日、電車で乗り合わせた人の文句ばかり」


「鼻がマスクから出てったとか」


「大声で喋ってたとか」


「家に持ち帰らずにその場所でその人に言ったらどうなのよ」


「あ〜もういや、ほんとウザい」


 家で日々の出来事ぐらい話してもいいだろうよ、ダメなのか、ハ?

 文句じゃなく出来事報告じゃないか。

 こちらこそ気が滅入るは…。

 ガミガミ嫁め!



「ダメよ、パパは電車じゃ狸寝入りだから」


「見て見ぬ振りしかしない弱い大人だから」


「学校で言ってたそういうのって偽善者だって」


 中2の娘が言う通り。

 どこで目撃されたのかは分からないが狸寝入りの事なかれ主義。

 はらわた煮えくりだけど、狸寝入り。



「ダメだよ!パパにそんな事言っちゃ」


「迂闊に注意したら逆恨みされて刺されるよ!」


 高3の長男が言う通り今の世は危険だ。

 みんなが押し込めた鬱憤を腹に溜め込んでいる。

 ちょっと突けば暴発する可能性がある。

 危険だ。



 発車待ちの電車。

 あーだこうだ家で言われ、また腹立たしい出来事が展開している。

 電車に乗るとストレスが溜まる。


 ぶつぶつぶつぶつ、念仏みたいに喋る女の声が聞こえる。

 非常に煩い!

 何を言ってるのか聞き取りにくい声量だが、

 ぶつぶつぶつぶつ…耳障りだ。


 相手、女だし、日頃の鬱憤もあるので狸寝入りをやめて隣を勢い

 よく向く。


 …。


 …。


 そこは座席の一番端で誰も居ない。

 帰りの電車。

 夜の帳が降りて対面の窓ガラスに自分の姿が映っている。

 そこにも誰も映って居ない。


 疲れてるのか。


 空耳か。


 気を取り直して狸寝入りに入る。


 ぶつぶつぶつぶつ、ぶつぶつぶつぶつ聞こえ始める。


 何なんだ!

 うるせ〜。


 狸寝入りの目を薄目で開くと…。


 ぶつぶつぶつぶつ、ぶつぶつぶつぶつ

 女の口調で喋りまくる自分が見えた。








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